自己啓発支援センター(R)
Self-Development Support Center



☆ライフプランから始める本気の自己啓発を支援します☆


所長 釼地邦秀
Kenchi, Kunihide



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開設(2014年6月22日)

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自己啓発百科>努力の仕方

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【はじめに】

(1)
何ごとにも努力は大切ですが、努力をするにあたっては数多くのコツがあります。このページでは「努力の仕方」と題して、さまざまなヒントを紹介していきます。人生目標や自己啓発目標が中核になりますが仕事上の目標にも役立つと思っています。貴方のおかれた状況に対応させながら活用していただければ幸です。

(2)
全体は六つのブロックに区分されています。
・基本的な心構え
・目標設定のヒント
・実行計画作成のヒント
・実行(自己動機づけ)のヒント
・振り返りとフィードバックのヒント
・その他

(3)
このページの内容は他のページの内容と重複することがあります。「自己啓発」と「努力」は深い関係があるので致し方ありません。あらかじめご了承ください。




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【目次】

*目次はブロック別になっています。
*ブロック内の項目については(それらの整合性を確保するために)掲載順序を入れ替えることがあります。
*引き続き増補を予定しています。



【基本的な心構え】▶[ブロック]へ
メメント・モリ ▶[本文]へ
運命と自己努力 ▶[本文]へ
ライフプランを作成する ▶[本文]へ
努力の方向と取り組み意欲 ▶[本文]へ
目標・計画、そして実行 ▶[本文]へ
ポジティブ思考 ▶[本文]へ



【目標設定のヒント】▶[ブロック]へ
明確な目標設定 ▶[本文]へ
目標の難易度 ▶[本文]へ
さまざまな目標を使い分ける ▶[本文]へ
中間目標の活用 ▶[本文]へ
目標の体系化 ▶[本文]へ



【実行計画作成のヒント】▶[ブロック]へ
実行計画の必要性 ▶[本文]へ
シミュレーションを忘れずに ▶[本文]へ
実行計画表の作成 ▶[本文]へ
実行計画表の細分化 ▶[本文]へ


【実行(自己動機づけ)のヒント】▶[ブロック]へ
目標意識を持ち続ける ▶[本文]へ
小まめに進度チェックをする ▶[本文]へ
小さな目標達成を繰り返す ▶[本文]へ
幸運を呼び込む ▶[本文]へ
忙しくても投げ出さない ▶[本文]へ


【振り返りとフィードバックのヒント】▶[ブロック]へ
振り返りとフィードバックの意味 ▶[本文]へ
日々の振り返り_ワークシート ▶[本文]へ
最終の振り返りとフィードバックの方法 ▶[本文]へ
目標未達成の時の対処法 ▶[本文]へ





【事例紹介】▶[ブロック]へ
胸に秘めていた人生目標を実現したサラリーマン_井上富雄氏 ▶[本文]へ
帝国ホテル取締役総料理長であった故・村上信夫さんの自己啓発 ▶[本文]へ
自分の「好き」を活かしたイラストレーター ▶[本文]へ
ライフプランから始める本気の自己啓発_偉人の話 ▶[本文]へ
長い年月をかけて人生目標を実現した凡夫の話 ▶[本文]へ




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***** 【基本的な心構え】 *****


◆メメント・モリ

すでに他のページでご覧になっているかもしれませんが、「努力」に関する大切な原点ですので再掲しておきます。

メメント・モリ(memento mori)とはラテン語で「死を想え」という意味です(注)。ただし、「死を想え」とは「死を想って、生を充実させよ」という意味です。意味を取り違えないようにしてください。

もう少し具体的に言うと、一日中「死を想う」必要はありません。就寝前に1回、あるいは朝夜2回といったことでよいと思います。日中は、公私を問わず「なすべきこと」に精一杯取り組んでください。そうしないと気持ちが滅入ってしまいます。「人生は一度切り、それを忘れずに精一杯生きてほしい」というのが私の申し上げたいことです。「24時間、死を想え」ということではありませんので、くれぐれも誤解のないようにお願いします。


土光敏夫は毎日、早朝と就寝の前に法華経を読誦していました。また次のようにも語っています。「人間は宇宙の原理で生まれてくるわけだから、生まれてきた以上、各自がこの自分の一生をどう生きるかを真剣に考えるべきだろう。このことだけはいっておきたい。自分の一生だもの、二回ないんだからね」。土光敏夫 新装版『土光敏夫 信念の言葉』 PHP研究所。


ネスレ日本・社長兼CEOの高岡浩三さんは父親も祖父も42歳で亡くなったので自分も42歳で死ぬと覚悟を決め、「人生を逆算して生きてきた」と述べています。高岡浩三 『逆算力』 日経BP社。


山本有三は次のように言っています。「たったひとりしかない自分を、たった一度しかない一生を、ほんとうにかゞやかし出さなかったら、人間、うまれてきたかいがないじゃないか」。山本有三 『路傍の石』 新潮社。


私自身は、30代以降、就寝時と起床時に「五蘊皆空(ごうんかいくう)・桜花たるべし」と唱えてきました。五蘊皆空は般若心経にある言葉で「身も心も、すべて空である」という意味です。ですので、「五蘊皆空・桜花たるべし」という言葉には「身も心もすべて空なのだから、桜の花のように精一杯生きよう」という意味になります。


本項で申し上げたいことは、「一度切りの人生を本気で生きようと決心することが本気の努力を生み出す」ということです。



【注】

「メメント・モリ」、この言葉については以下を参照しました。

◇田辺元「メメント・モリ」『田辺元全集』(第13巻)筑摩書房(昭和39年)(pp.163-175)。

◇藤原新也『メメント・モリ』情報センター出版局(1983年)(p.4-5)。


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◆運命と自己努力

「努力」とは目標達成に向かっての行為ですが、目標達成に関しては「運命と自己努力」について、自分なりの考え方を整理しておく必要があります。なぜならば、その考え方によって「努力という行為」が大きく変わるからです。

例えば、「運命は変えられない、すべては神仏の定めることである」という運命観を持っている人と、「運命は変えられる、運命は自ら切り開いて行くことができる」という運命観を持っている人とでは、「努力という行為」は随分と違ったものになるでしょう。

以下においては「運命という言葉の意味」「運命と工夫・努力との関係」について順に説明してまいります。それらをヒントにしてあなた自身の運命観を定めて下さい。あなたの人生における、あなた自身の運命観なのですから(究極的には)他人がどう言おうと関係ありません。自分自身の運命観を定めて目標の実現に取り組んでいきましょう。


(1)運命という言葉の意味

『広辞苑』(第6版)では「運命とは人知・人力を及ぼし切れない巡り合わせ」と定義されています(p.295)。ここではその定義に少し補足を加え、「人知・人力を及ぼし切れない巡り合わせ」と考えるかどうかは本人次第、すなわち<主観的>なものである考えます。また「及ぼし切れない……」と言うことですから、運命に対して<ある程度は人知・人力を及ぼすことができる>と考えることにします。すなわち、結果としての運命については、それ自体を変えることはできませんが、それへの解釈についての自由があると考え、未来の運命については自分自身の自由意思を働かせ得るなにがしかの余地があると考えることにする、ということです(注)。

過去に起きたことは、できるだけ<将来に活かす>方向で解釈しましょう。他方、将来については<人事を尽くす>という心構えを持ちたいもです。運命として自分に与えられた条件や制約があり100%思うとおりにはならないでしょうが、自分の自由意思を有効な行為に具体化することによって望む将来像を実現する<確率>を高めることができると考えるのです。ただし、思っているだけ、願っているだけでは駄目です。目標に置き換え、計画に具体化し、実行することが必要です。


【注】

 「運命は100%おおいなる存在が司っている。人間が自由意思だと思っているその意思決定自体もおおいなる存在の意思なのである」という考え方もあるかもしれませんが、私はそのような立場を取りません。すなわち、運命については自分自身の自由意思を働かせ得る<なにがしかの余地がある>と考えることにしています。おそらく、私がそのように考えるよう、運命が定めたのでしょう。


(2)運命と工夫・努力との関係

さて、自分の自由意思によって自分の望む将来を期するのであれば、自分に与えられた条件や制約のもとで「精一杯の工夫と努力をすること」が必要です。できないことはできないし、どうしようもないことはどうしようもありませんが、できることをやらないのでは話になりません。「天命の下(もと)で人事を尽くす、人事を尽くして天命を待つ」と言い切れるくらいの工夫と努力をしたいものです。そうすれば、万が一、目標が未達成に終わっても、自分の人生に<納得>することができるでしょう。このことは<自分の人生を終えるとき>に大きな支えとなります。どうか記憶に留めておいてください。


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ライフプランを作成する

このサイトでは、ライフプラン(人生目的+人生目標)に整合性を持たせて自己啓発プラン(自己啓発目標+実行計画)を設計するよう勧めています。つまり、人生目的→人生目標→自己啓発目標→実行計画→実行という構成にするのです。

そうすると、自己啓発目標の達成が人生目標の達成や人生目的につながっているとの自覚が生まれ、自分自身を継続的に動機づけることが出来ます。努力を継続できるようになる、ということです。

一度切りの人生を本気で生きようというのであればライフプランは必須だと思います。どうか前向きに検討してみてください。



【付記】

(1)
まだライフプランを創っていない方は本サイトの[自己啓発の進め方>プロローグ]を御覧下さい。ライフプランについての簡潔な説明があります。▶[プロローグ]へ

(2)
拙著『ライフプランから始める本気の自己啓発』も役に立つと思います。

IMG_0118.JPG▶[内容紹介]へ



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◆努力の方向と取り組み意欲

努力については、その方向と取り組み意欲を考慮に入れなければなりません。


【努力の方向】

努力への意欲がいくら高くても、その方向が不適切なものであったならば、報われることはないでしょう。言い換えるならば、目的や目標をしっかりと定めることが肝要である、ということです。一番確かなのはライフプランを作成することです。


【取り組み意欲】

努力の方向が適切であっても、取り組み意欲が低ければ、報われることはないでしょう。より具体的にいうならば、適切な目標に向かって「努力の質」を高め、「努力の量」を増やすことです。一番確かなのは実行計画を作ることです。


以上の2点は前項の「ライフプランを作成する」と次項の「目標・計画、そして実行」でお分かり頂けると思いますが、大切なことですので独立の項目として掲げました。復習、あるいは予習としてお受取り下さい。



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◆目標・計画、そして実行

ごくごく当たり前のことですが「努力」には対象、つまり「目標」が必要です。しかし、目標を持つだけでは不十分なのです。なぜならば、「いつまでに達成するのか」「どのようにして取り組むのか」が決まっていないからです。たとえば、「英検2級の資格を取ろう」という目標だけでは不十分でしょう。「いつまでに取得するのか」「どのような方法で取り組むのか」が決まっていないからです。

かくして、「目標」の次には「計画」が必要になるのです。いわゆる5W1Hを決めるわけです。

そして最後が実行、「実行無ければ成果無し」です。継続的な実行のためには自己動機づけのコツを身につけておくことが大切になります。

目標・計画・実行のヒントについてはそれぞれのブロックを参照してください。


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◆ポジティブ思考

何かの目標に向かって努力をしていくにあたっては「ポジティブ思考」が大切です。以下には、六つのポイントを掲げておきますので参考にしてください。


(1)心底から達成を願う目標を持つ

「目標」については、その要点を前項で説明しましたが、ポジティブ思考の観点から、もう少し詳しく説明します。復習をかねてお読みください。

さて、ポジティブ思考を持つにはどうしたらよいでしょうか。

そのためには、「何をやるか、いつまでにやるか、どこまでやるか」、それらを明確にすることが必要なのです。これがポジティブ思考の原点となります。

思考がポジティブになれば、言動もポジティブになります。やる気も増します、忍耐力もつきます。当然、目標達成の可能性も高まります。

念のために申し上げますが、何をやるか(つまり目標項目や方向)だけでは不十分です。いつまでにやるか、どこまでやるか、つまり、期限と目標値を明確にすることが肝要です。そのことを忘れないようにしてください。そのためには、実行計画の作成をお勧めします。実行計画は(このあとに述べる)中間チェックや、振り返りとフィードバックにも役立ちます。


(2)小まめに中間チェック(進度チェック)をする

実行計画(表)にはあらかじめ中間チェック、すなわち進度チェックの日を設定しておきましょう。最低でも1ヶ月に1回はチェックしたいものです。小まめなチェックが「継続的なやる気の」確保につながるからです。すなわち、小まめな進捗状況のチェックは遅れを早目に発見することにつながり、修復の時間や手間は少なくて済み、「やる気」も維持されます。反対に、「予定どおり」ということであれば、「よし! この調子でいこう!」となるでしょう。いずれにしても「継続的なやる気」の確保につながるのです。私は実行計画を一日単位にまで分割し、毎日進度チェックをしています。


(3)振り返りとフィードバックを有効に活用する

実行計画の終了時点では振り返りとフィードバックを行いましょう。それによって次の目標設定への意欲を高めることができます。以下においては、達成状況を三つに分類して説明します。

(達成状況1) ほぼ計画どおりに達成できた、満足している
計画していた期限と目標値をほぼ達成できた場合、あなたは大きな満足感を得ることができるでしょう。そして自分が成長したことを実感し、取り組み意欲もさらに高まると思います。しかし、振り返りとフィードバックは達成できた時にも必要なのです。成功の要因を分析して次なる計画の作成に活かしていただきたいのです。成功要因をしっかりと認識して次回にも活かす、その成功要因に工夫改良を加えてさらに有効性を高める、といった方向で取り組んでください。念のために、改善すべき問題点の有無もチェックしておきましょう。これらを繰り返すことにより目標の達成率を高めるノウハウ(know-how)も蓄積されていくのです。

(達成状況2) かろうじて及第点レベルの達成、まあまあの満足感である
この結果にはいろいろなケースがあるでしょう。たとえば、計画していた期限までに取り組み事項は消化したが達成のレベルが目標値より低くなってしまった、計画していた目標値には到達したが計画期限を延長することになってしまった、などです。これらの結果から学ぶべきことは以下の二つです。一つ目は、「まあこれで良しとしよう」と自己満足しないことです。計画どおりに達成できた時の気持ちを想像して、そうならなかった残念さ悔しさを感じて欲しいのです。そしてその気持ちを次の取り組みへのスプリングボード(springboard)にしてください。二つ目は、計画どおり完了できなかった原因を分析して改善策を考えます。そうすることによってこそ実行計画の妥当性と取り組み意欲をいっそう高めていくことができるのです。

(達成状況3) まったくできなかった、満足感は無い
この場合にはひたすら失敗の原因分析をし、次回への対策を考えることになります。ただし、たんなる「反対語」は対策になりません。失敗の原因として「よく読まなかった」、対策として「注意深く読む」は駄目です。「注意深く読む」ための具体的な方法、改善行動に直結する方法で表現しておきましょう。たとえば、「重要なところは線を引きながら読む」と表現した方が改善行動に結びつきやすいのです。「努力が足りなかった」、「今度は頑張る」も駄目です。どう頑張るのか、実際の改善行動に結びつくように対策を考えてください。
 また、良く考えずに他人や外的事情に責任転嫁してはいけません。なぜならば、失敗の原因を自分以外に求めると、改善の糸口を見つけることが難しくなり、なによりも自分自身の成長につながらないからです。仕事が忙しすぎた、残業が多すぎた、会社・上司の支援が無かった……と言っても埒(らち)が明きません。失敗の原因は「他責」として捉えるのではなく、できるだけ「自責」として捉えましょう。仕事の効率化を図ったか、忙しい中で自己啓発を続ける工夫をしたか、会社・上司が納得するような形で支援の要請をしたか、と考えて欲しいのです。そうすれば改善の方法を見つけていくことができますし、失敗から学んで成長していくこともできます。簡単なことではないかもしれませんが頭の片隅に留めておいてください。


(4)最善策が無理なら次善の策を探す

目標遂行(PDCA)の全過程で必要になる心構えです。私は「最善の策が無理なら、次善の策でいく。諦めるよりはずっとよい」をモットーにしています。


(5)明日に繋げる

これも目標遂行(PDCA)の全過程で必要になる心構えです。何らかの事情で計画どおり遂行できない時には「少しでも取り組み、明日に繋げる」ことが大切です。本当に少しでよいのです。前日の復習でもよいし、新しい単語を一つ覚えてもよい。時間で言うならば、30分でも10分でもよいのです。そうすることにより、気持ちが途切れず、明日に繋がります。


(6)自分を支えてくれる「杖ことば」を持つ

自分を支えてくれる、元気にしてくれる言葉(杖ことば)を持ちましょう。以下には本サイトの[私の杖ことば]から、自分自身で創った言葉を三つほど掲げておきますので参考にしてください。

#009: I can do it !
日本語に訳さないでこのまま発声しています。語呂の良い適切な日本語に訳せないからです。時には、心の中で唱えることもあります。実はこの言葉には思い出があります。私自身が学位論文の執筆に苦労していた頃、「学位論文の執筆に悩んでいた時に指導教授から You can do it ! と言われて元気を取り戻した」という文章に出会ったのです。当時、私はすでに大学教員になっており、孤独な研究・執筆作業を続けていました。その文章を読んで、一瞬「羨ましい...」という気持ちになりましたが、すぐに [ I can do it ! ]という言葉が浮かんできたのです。私にとっては、けっこう効き目のある言葉です。

#013: 実行無ければ結果無し
「棚から牡丹餅」という諺を知らないわけではないのですが、私は「実行無ければ結果無し!」を「杖ことば」にしています。時には、「やらなければ終わらない!」と言い換えたりしています。今一つやる気が起きない時、気のすすまない事をしなければならない時など、いろいろな場面で使えます。声に出しても良いですし、自己暗示をかけるように無言のまま数回繰り返しても良いです。機会があったら一度試してみて下さい。

#023: 一歩ずつ前に、一歩だけでも前に
この言葉は私が創ったのですが、古(いにしえ)の格言には「千里の道も一歩から」という諺があります。『老子』の第64章にある「千里の行(こう)も、足下(そっか)より始まる」が元になっているようです。小川環樹(2005) 『老子』 中央公論社 p.123. 

また、「象一匹を食べるにはどうすればいいか?」→「ひと口ずつ食べる!」といった問答もあります。ブライアン・トレーシー(著)・門田美鈴(訳)(2002) 『カエルを食べてしまえ!』 ダイヤモンド社 p.22. 

私は大学の教員になりたいと思ってから実際に大学の教員になるまでに(20歳から42歳まで)22年かかりました。学位論文を完成させるためにも長い年月を費やしました。今振り返ると、まさに「一歩ずつ前に、一歩だけでも前に」の繰り返しでした。


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 ***** 【目標設定のヒント】 *****


◆明確な目標設定

「目標設定」には、目標項目だけでなく、目標値と達成期限が必要です。


(1)目標値を明確にする。

「曖昧な表現の目標値よりは、明確な表現の目標値の方が目標達成意欲を促進する」ということです。目標についてのさまざまな研究もこのことを報告していますが我々の経験に照らしても納得できることです。たとえば、「できるところまで頑張ってやろう」と思った時と「○○を必達目標値にして頑張ろう」と決めた時とでは、あなたのやる気のレベルに違いがあったことと思います。

さらに、目標値を明確にしておくと「達成したかどうかの判断」が明瞭になります。たとえば、「これで一応達成にしておこう」といった中途半端な判定が無くなり、「目標達成!」と断定できるようになるということです。このことは「達成感」を考えた時にはとても大きな違いであり、あとあとの「やる気」にも違いが出ます。

以上のような理由があるので目標値はできるだけ数値で決めてください。それが無理な場合には箇条書きなど、できるだけ具体的に表現しておくことが肝要です。なお、これらのことは中間目標の目標値についても同様です。お忘れ無きよう、お願いします。


(2)達成期限を明確にする。

目標には達成期限が欠かせません。その理由は二つ。一つは「やる気」が高まります。もう一つは「達成感」を得ることができるからです。


たとえば、「英検2級の資格を取る」という決め方と、「1年以内に取得する」という決め方では自分の「やる気」に大きな違いが生じるでしょう。ここでは具体的な年月日を例示できませんが、できるだけ具体的な年月日で期限設定をしてください。


達成期限が明確になっていると、「設定期限までに完了したかどうか」が明瞭になるので(達成した場合には)明快な達成感を味わうことができます。さらに、その達成感は次の目標設定意欲を高めます。


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◆目標の難易度

目標の難易度を適切に設定することが大切です。

言うまでも無く、目標の難易度は「やる気」に大きな影響を与えます。そしてその難易度は「目標値のレベル」と「達成期限」の両方から影響を受けます。ですので、目標の難易度についてはその両方から検討していかなければなりません。以下においてはそのことを考えてみましょう。

まず目標値のレベルについてですが、さまざまな設定方法があります。たとえば、「明らかに達成できないほどの高いレベルを掲げて一歩でもそれに近づこうとする」、「自分の能力よりやや高めのレベルに設定する」、「達成の可能性が五分五分のレベルで設定する」、「前提条件や自己の能力などを冷静に判断しそれに対応したレベルで設定する」などです。

他方、達成期限についても目標値の場合と同じような多様性があります。たとえば、「少し短めに設定する」、「少し余裕を持たせて設定する」、「十分に余裕を持たせて設定する」、「合理的な必達期限として設定する」などです。

それでは、目標の難易度、つまり「目標値のレベル」と「達成期限」はどのように設定するとよいのでしょうか。統一的な方式のようなものがあるのでしょうか。その答えは(残念ながら)ケース・バイ・ケースということになってしまいます。なぜならば、目標項目や各人の個性・能力、および置かれた状況などが百人百様なので統一的な方式を設定することができないのです(注)。ですので、目標値のレベルと達成期限を設定する時には「自分のやる気が一番高まるように」設定しましょう。



【付記】

(1)
 一般的には、「達成確率50%」すなわち「五分五分の達成確率」の時が一番やるき気を高めると言われています。

(2)
 必要に応じて、「変更」と「中断」についての判断基準を明確にしておきます。たとえば、「1級を2回受験して合格できなかったら、2級に切り替える」「3年間、挑戦して達成できなかったら第2候補の目標に切り替える」といった判断基準です。どうなったら変更するか、どうなったら中断するかは大変に悩ましい意思決定であり、ややもすると時だけが過ぎていくことになりかねません。そうならないためには、変更や中断の判断基準を前もって決めておくのも一つの対処方法になります。


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◆さまざまな目標を使い分ける

このページ「努力の仕方」では、「上手に努力するには目標(と実行計画)が大切である」と申し上げておりますが、その目標にはさまざまな種類があります。そこで本項では、それらのうちの主だったものを紹介します。目標設定の時の参考にしてください。ただし、「目標」については、さまざまな種類とさまざまな定義があります。ここで紹介するのは私が用いている種類と定義です。あらかじめ、ご承知おきください。



◇必達目標・努力目標・方針目標

必達目標とは「なにがなんでも、絶対に達成する」という、堅い決意で設定する目標のことです。通常は目標値と期限も設定します。【例示】○○○○年○月の○○資格試験に合格する。

努力目標とは「その目標達成に向かって、できるかぎりの努力をしよう」という気持ちで設定する目標のことです。必達目標ほどの切迫感はありません。目標値と期限については、あるていどの幅をもって設定することもあります。【例示】入社後、2,3年のうちに、日常英会話ができるようになる。

方針目標とは「その方向に向かって、できるだけ努力していこう」という目標です。努力の方向だけを決め、目標値や期限は設定しません。【例示】定年後は健康第一でいこう。


「方針目標」は私の造語です。



◇長期目標・中期目標・短期目標

長期・中期・短期の定義は一定ではありませんが、長期目標の達成期限は4~5年以上、中期目標の達成期限は2~3年、短期は1年以下、といったところが一応の目安になります。

短期目標については、期・月・旬・週・日と、細分化することも考えましょう。細分化した方が(頻繁に進度チェックができるので)自己動機づけに効果的です。



◇人生目的・人生目標・自己啓発目標

人生目的とは「自分の一生をかけて実現したい成果」のことです。

人生目標は人生目的を達成するために設ける中間的な目標です。

そして、自己啓発目標は人生目標を達成するための手段的な目標という位置づけになります。

本気で自己啓発に取り組もうというのであれば、自己啓発目標を人生目標(および人生目的)に整合させて設定する必要があります。なぜならば、そうすることによって、自己啓発目標の達成→人生目標の達成→人生目的の達成という関係性を構築することができるからです。当然、あなたの自己啓発は「やった方がよいこと」から「やらなければならないこと」に変わります。したがって、三日坊主になることもありません。


人生目的は必ず実現すべきものとして決定する必要はありません。実現出来るにこしたことはありませんが一生実現出来なくても構わないのです。なぜならば、人生目的は人生を歩んで行く時の方向を示す役割、すなわち「人生の指針」という役割を持っているからです。


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◆中間目標の活用

自分にとって負荷の重い目標については、それを分割し、中間目標として設定してみましょう。

たとえば100単位の作業量は、5回とか10回に分割するのです。つまり、20単位ずつ5回、あるいは10単位ずつ10回に分割するわけです。

作業量を1/2ずつにする方法もあります。たとえば、100単位の作業量を50・25・13・12といったように複数の中間目標に分割するのです。あとになればなるほど負荷が減るので心理的にも取り組みやすくなります。

あるいは、1年単位の目標を月単位に分割するとか、月単位の目標を週単位に分割することもできます。

このようにすると心理的な負荷が軽減され取り組みやすくなります。しかも(中間目標を達成するたびに)それなりの達成感を味わうことが出来るので継続的に取り組み意欲を刺激することができるのです。


【付記】

中間目標は「中間」の目標のことです。中期目標とは違いますので、間違わないでください。中間目標は長期目標にも、中期目標にも、短期目標にも設定可能な目標です。



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◆目標の体系化

目標は「体系化」しましょう。そうしないと、複数の目標間の整合性を確保できず、優先順位が不明瞭になり、ひいては取り組み意欲の低下にも繋がりかねません。

理想の体系化は「人生目的」から始めることです。人生目的が定まっていない人は「現時点における最上位目標」を基点としての体系化を図ります。たとえば、中期目標→年度目標→自己啓発目標といった感じです。そのうえで、なるべく早めに「人生目的」を見つけましょう。(人生目的が決まると、現在の目標が適切なのか不適切なのかも分かります)。


私が勧めているのは、人生目的→人生目標→自己啓発目標という組み立てです。以下の例示(図表)を参照してください。なお、詳細はリンク先に説明があります。▶[詳細説明のページへ]



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***** 【実行計画作成のヒント】 *****


◆実行計画の必要性

実行計画が必要性な理由は(少なくとも)五つあります。

(1)
目標達成のためには目標項目・目標値・達成期限・達成手段を詳細・具体的に決めなければならないからです。目標項目だけでは目標の達成は不確かなものになってしまいます。目標の達成には目標項目だけではなく、「目標値」、「達成期限」、「達成手段」の詳細・具体的な設定を欠かすことができません。これらの要件は実行計画の作成によって満たされるのです。


(2)
詳細・具体的なシミュレーションを行うため。シミュレーション(simulation)とは模擬実験のことです。ここでは「実際の取り組みの前に、起こりそうな問題をあらかじめ想定し、その対策を考えておくこと」、という意味で使用しています。

実行計画の作成においては熟慮のうえで「目標値」、「達成期限」、「達成手段」が設定されます。ですので、その過程で詳細・具体的なシミュレーションを行うことができるのです。すなわち、「目標値」を変えながら、「達成期限」を変えながら、「達成手段」の修正を行いながらシミュレーションをすることができます。したがって、「実現可能性」はいっそう高まります。


(3)
実行計画の作成は「やる気」を高めます。なぜならば、詳細・具体的なシミュレーションを行って作成した実行計画は、現実的な与件のもとで一番「実現可能性」の高い計画として完成するからです。


(4)
進捗状況のチェックが可能になるので「継続的なやる気」を確保できます。実行計画があると計画的に進捗状況のチェックができます。というのも、あらかじめ中間チェックの日を設定しておくことができるからです。たとえば中間目標(値)をセットしておき、その目標達成期日を中間チェックの日に設定しておくことができます。あるいは、月ごとにチェックの日を決めておくことも可能でしょう。その小まめなチェックが「継続的なやる気の」確保につながるのです。なぜならば、小まめな進捗状況のチェックは遅れを早目に発見することにつながるからです。修復の時間や手間は少なくて済み、「やる気」も維持されます。反対に、「予定どおり」ということであれば、「よし! この調子でいこう!」となるでしょう。いずれにしても「継続的なやる気」の確保につながります。


(5)
計画期間満了時点での「振り返り」に欠かせません。実行計画を持つことにより、適切な「振り返り」が可能になります。計画を立て(plan)、実行し(do)、設定した期日に振り返りをする(check & act)ということです。上手くいかなかったところを見直して改善し、次の計画に活かしていくのです。上手くいったところも同じです。それを次の計画に再活用していくことができます。場合によっては、さらに工夫を加えて、より良い方法として取り込んでいくことができるかもしれません。



このように、実行計画は目標の達成に欠かせないものとなっています。もちろん作成しなくて良い場合もあるでしょうが、安易に「計画は不要。日々、心掛けるだけ」と決めつけないようにしましょう。面倒がらずに適切な実行計画を作成し、それによって目標の達成を確かなものにしてください。


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◆シミュレーションを忘れずに

「実行計画の必要性」のところで説明しましたが、シミュレーション(simulation)とは模擬実験のことです。ここでは「実際の取り組みの前に、実行のプロセスを想定しながら、起こりそうな問題をあらかじめ予想し、その対策を考えること」、という意味で使用しています。

たとえば、目標達成にはどのくらいの年月が必要か、どの段階でどの位の費用が必要になるか、会社の仕事と両立できるか、家族の了解は得られるか等々、取り組みの手順に従ってあらかじめ確認するのです。そして問題が予想されたら、事前の対策を講じたり、問題が起きた場合の対応策をあらかじめ考えておきます。このシミュレーションは目標達成率を高めるための必須の作業です。「念入りなシミュレーション」を忘れないようにしましょう。以下にはシミュレーションをする時の着眼点を掲げておきますので参考にしてください。



目標値は適切ですか。


達成期限は適切ですか。


達成手段は適切ですか。


目標の達成に必要な時間・日数・月数・年数。とくに、日々どのくらいの時間を充当できるか、よく検討しましょう。


目標の達成に必要な費用額とその調達方法。家計費と対応させながら検討します。


目標の達成に必要な能力の有無。現有能力だけでなく将来的な増強の可能性をも含めて検討します。


目標の達成に関わりをもつ環境条件〈政治・経済・業界など〉の将来予測。とくに「資格の価値」は環境条件の変化により変動するので、資格の将来性についてはよく検討してください。


仕事との兼ね合い。繁忙期、異動・転勤についても対策を考えておきます。


家族の理解・協力。手を抜かずに十分な説明・説得をしましょう。


自分と家族の健康。とくに、要介護者の有無とその対応策を考えておく必要があります。


その他、個人的な特殊事情の有無を確認し必要な対策を考えておきましょう。


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◆実行計画表の作成

【はじめに】

シミュレーションが終わった実行計画は「実行計画表」に具体化します。なぜならば以下のようなメリットがあるからです。


作表の過程で細部にわたる(最終的な)シミュレーションができる。


完成した実行計画表により計画の全体を一目で捉えることができる。


実行計画表には「実行スケジュール」が書き込まれるので進捗状況のチェックが可能になる。


実行計画表を自分の目につくようにしておけば(たとえば自室の壁に貼ったり、自分のパソコンのデスクトップに置いておけば)自己動機づけに役立つ。


計画期間満了時点での「振り返り」に欠かせない。実行計画表を持つことにより、適切な「振り返り」が可能になる。計画を立て(plan)、実行し(do)、設定した期日に振り返りをする(check & act)ということである。上手くいかなかったところを見直して改善し、次の計画に活かしていく。上手くいったところも同じ。それを次の計画に再活用していくことができる。場合によっては、さらに工夫を加えて、より良い方法として取り込んでいくことができるかもしれない。



【実行計画表への記載事項】

実行計画表を作成するときには「5W2H」を使って記載事項の確認をし、同時に最終のシミュレーションを行います。すなわち、「目標値」を変えながら、「達成期限」を変えながら、「達成手段」の修正を行いながらシミュレーションをするのです。


1:What(何を)

「何を目標にするのか」、「目標値をどの位に設定するのか」を明らかにします。目標項目と目標値を設定するということです。必要に応じて副次目標(細分化した目標項目)や中間目標値も設定します。


2:When(いつ)

何時までに目標を達成するのか、その期間を決める(期限を設定する)作業です。われわれが仕事で良く使う「納期」と同じです。達成期限の設定には自分を動機づけ、目標の達成確率を高めるという機能もあります。

なお、長期間を要する目標の場合には副次目標(細分化した目標項目)や中間目標値を設定し、それらに対応させるかたちで「進度チェックの時期」を設定しておきましょう。こまめに進度チェックをするということは遅れを早目に発見することになり、修復の時間や手間は少なくて済みます。反対に予定どおりということであれば、「よし! この調子でいこう!」ということになるでしょう。いずれにしても自己動機づけに役立つのです。


3:Why(なぜ)

「なぜ、その目標を設定するのか」、それを自問し目標設定の理由を再確認します。その場合には以下のことも考慮に入れるとよいでしょう。

(1)自分が設定した目標の位置づけを確認する。

自分が抱いている複数の目標の中で、その目標がどういう位置づけになっているかを確認するということです。たとえば、「英検1級合格」という目標は「海外勤務」という上位目標につながっている場合があります。この場合、それを認識することによって(英検1級合格という)目標に対する取り組み意欲が高まります。

(2)目標達成によって生ずるであろう、さまざまな副次メリットを考える。

目標達成によるメリットが多いほど取り組み意欲が高まります。英検1級の例でいうならば、「達成感を味わうことができる」、「海外勤務の可能性が高まる」、「職場の後輩や同僚から尊敬される」、「上司の評価が高まる」、「資格手当がつく」、「子供の学習意欲を高める」、などなど。できるだけ多く掲げてみましょう。


4:Who(誰が)

これは行為の主体の確認になります。「誰が」ということです。目標設定の主体は本人自身ですので、とくに説明は要らないと思います。誰の為でもない、自分の為の目標なのです。その結果として、家族や職場、社会の役に立てれば言うこと無しです。

ただ、一つ注意すべきことがあります。それは関係者に及ぼす影響です。プラスの影響については問題ありませんが、マイナスの影響(とその対策)を考えておく必要があるでしょう。家族・同僚・会社などにマイナスの影響を及ぼさないか、事前のチェック(と対策)が必要になります。


5:Where(どこで)

目標に向かって取り組む場は、目標によって変わります。自宅、職場、セミナー会場、大学など。目標によっては、国内・国外といった選択肢があるかもしれません。(与えられた条件の中で)もっとも適切な場を選択しましょう。


6:How(いかにして)

どのようにして目標を達成するか、その手段・方法を用意する作業です。目標項目が決まり、目標値が決まり、期限が設定されても、いかにして達成するかの手段が決まっていなければ事は成就しません。たいへん重要なステージになります。よく考え、シミュレーションをしながら、最適の手段を構築してください。


7:How much(いくらで)

目標達成に要する費用のことです。必要な費用を見積もり、その手当の可能性を検討し、予算化します。さらに、実施段階に入ってからは適時に予算との照合を行います。



【付記】

(1)
実行計画表の作成と最終のシミュレーションについて。シミュレーションは実行計画を作るときに行っていますが、実行計画表を作成しながら最終のシミュレーションを行います。目標達成の確率を高めるためには「想定外」を極力少なくする必要があるからです。

(2)
Why(なぜ)、Who(誰が)、How much(いくらで)などについては「実行計画表」の備考欄や別紙に記入しましょう。



【実行計画表の作成要領】

実行計画表の作成については[記入サンプル」、および[自己啓発実行計画表_例示]を参照してください。


【記入サンプル】

サンプル.jpg

LinkIcon実行計画表(記入サンプル)_ pdf

LinkIcon実行計画表(ブランクフォーム)_ pdf



1段目は[実行計画表]というタイトルになっています。2段目は[目標項目(目標値)]の記入欄です。3段目が[予備欄]、4段目は[年(年度)]となっており、その下が予備の月を含めて16ヶ月に分割されています。左側は[目標達成手段]、1次手段・2次手段・3次手段に分けて記入します。



【自己啓発実行計画表_例示】

例示.jpg

LinkIcon自己啓発実行計画表(例示)_ pdf



【付記】

(1)
自己啓発実行計画表の詳細については、本サイトのページ[自己啓発プラン]をご覧ください。▶[自己啓発プラン]のページへ

(2)
「実行計画表」が完成したら、つねに目に付くようにしておきます。私はデスクトップにショ―トカットを表示しておき、いつでも見ることが出来るようにしてあります。また、縮小して手帳にも挟んであります。一日に何回も見るので有効な自己動機づけになります。少なくとも1日2回、起床後と就寝前には見るようにしましょう。進捗状況を毎日確認するのです。遅れは少ない内に追いつくようにしましょう。

(3)
物事は思っているだけでは実現しません。ごく当たり前のことです。計画表を作っただけで目標が実現するということはないのです。あなたの計画表は、あなたが実行するために作るのですから、実行されなければ意味がありません。本気の自己啓発を考えているあなたには余計なことかもしれませんが、どうしても”実行”を強調しておきたいのです。


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◆実行計画表の細分化

実行計画表が完成したら、それを細分化しましょう。そうすることによって、達成意欲が高まります。

その理由は(少し極端な例ですが)年間計画だけで取り組む場合と、日々の実行計画を作って取り組む場合を比べてみれば、すぐに分かることです。もう少し丁寧に説明するならば、以下のような理由があるからです。


長期計画(たとえば年間計画)だけだと、月間計画、週間計画、日ごとの計画が無いので、日々の目標が不明瞭になってしまいます。したがって、「やる気」に火がつきにくくなります。


長期計画だけだと、どうしても先延ばしになってしまいます。少し何かがあると、すぐに、「今日、1日くらいサボっても大丈夫だろう……」という気持ちが起きてきます。


適切な振り返りができなくなります。仮に1年計画だけで取り組むと、振り返りは1年後となってしまいます。これでは振り返りにならないでしょう。しかし、月間計画を作っていると、1ヶ月ごとに振り返りができます。もし遅れが出ても残りの月数の中で取り返すことができるでしょう。週間計画、日々の計画があれば、週単位・1日単位で対策を講ずることができます。


目標の達成は最高の自己動機づけになりますが、目標の達成(未達成)は計画期間の最後にしか分かりません。年間計画だけだと、そのチャンスは1年に1回ということになります。しかし、月間計画、週間計画、日々の計画を作成しているならば、毎月・毎週・毎日、そのチャンスがあるわけです。


理想は「日々の計画」を持つことです。そうすることにより、(目標は細分化されるので)達成確率が高まり、毎日達成感を味わうことができるようになります。仮に未達成の日があっても、翌日以降(1日単位で)対策を取っていくことができるのです。


まとめ。日々の計画の遂行が週間計画の遂行に結びつき、週間計画の遂行が月間計画・年間計画の遂行につながっています。年間計画は月間計画>週間計画>日々の計画に細分化しましょう!



【付記

このサイトでは「ライフプランから始める本気の自己啓発」を勧めています。ですので、ライフプランから日々の計画までは、以下のような整合性をもつことになります。

ライフプラン(人生目的+人生目標+自己啓発目標)→年間計画>月間計画>週間計画>日々の計画。

私は今年(2020年9月に)喜寿を迎えますが、年間計画~月間計画までをパソコンで管理し、週間計画と毎日の計画を手帳で管理しています。まず、就寝前に一日の振り返りをし、手帳の週間計画を確認・修正しています。そのうえで、翌日の計画(為すべきこと)を手帳からポストイットに書き写して見開きの反対ページに貼っておきます。当日は優先度・重要度に従って処理し、完了した項目を横線で消していきます。この作業を繰り返しながら週間計画(時には月間計画)の確認・修正を行うのです。毎日のこの作業自体が翌日への取り組み意欲を高めてくれます。歳をとり随分と疲れやすくなってきたので、まさに一日一歩といった感じですが、現在は14冊目の執筆に取り組んでいます。[記:2020年7月31日]


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 ***** 【実行(自己動機づけ)のヒント】 *****


◆目標意識を持ち続ける

(1) 「実行計画表」を自己動機づけに活用する

作成した「実行計画表」はつねに目に付くようにしておきましょう。自己動機づけの有効な素材として「実行計画表」を活用するのです。たとえば、壁に貼ったり、縮小して手帳に貼り付けたり、パソコンのデスクトップにショートカット(アイコン)を置いたりと、いろいろな工夫ができると思います。計画は実行するために作るものです。実行しない計画では意味がありません。一日一回は「実行計画表」を見て進度チェックをしましょう。その作業自体が自己動機づけになるのです。他にも、似たような工夫があるので二、三紹介しておきます。


私は現在ある本の完成・出版を目標にしていますが、先に表紙を作って、そのファイルをデスクトップに置いてあります。そうすると、一日に何回もその表紙を見ることができ、見るたびに「決めた日までに出版しよう!」との気持ちが湧いてきます。


工夫と努力をして目標を達成した有名人の写真をインターネットで探し、パソコンの壁紙にしていたこともあります。パソコンを起動する度にその人が現れ、「お前も頑張れ!」と言うのです(そのように感じていました)。デジタルフォトフレームや携帯電話の待ち受け画面を活用しても良いと思います。


若い頃、中小企業診断士になるための受験勉強をしていたときの話です。皆さんには笑われそうですが、先輩が持っていた中小企業診断士のバッジをコピーさせてもらい、切り抜いて紙のバッジを作り手帳に貼っていました。手帳を開く度に目に入ってくるので自己動機づけにはとても効果がありました。


貴方も自分なりの方法を考案して下さい。それによって、あなたに合った動機づけの方法(自分専用の動機づけの仕組み)を獲得することができます。いろいろと考えながら作っている時も楽しいですよ☆



(2)目標を達成した時の自分をイメージしてみる

自分が立てた実行計画表を見ながら、目標が実現した状態をイメージするのです。中間目標を達成した時をイメージしても良いです。

繰り返しになりますが、私の現在の目標は次著の出版です。表紙を先に作り、それをパソコンに置いてあります。ショートカット(アイコン)をデスクトップに置いてあるのでいつでも表紙を見ることができます。また、IEの「お気に入り」にはアマゾンの自分の著者ページを登録してあります。ですので、いつでも出版時のイメージを持つことができます。

中小企業診断士の資格に挑戦していた時は、診断協会の会員バッジを胸に付けてセミナー講師をしている自分をイメージしていましたし、大学院受験の時には大学の教壇に立って学生達に講義をしている自分をイメージしていました。あなたも、自分の目標に合わせて、いろいろと工夫をしてみてください。


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◆小まめに進度チェックをする

目標の達成を確かなものにするには計画と実行が必要ですが、振り返りとフィードバックも必須の作業になります。ここではその理由を説明します。ただし、計画は目標や期間によって多種多様になりますので、以下には私の振り返り方法を披露して本項の説明とします。

私は長期計画~月間計画までをパソコンで管理し、週間計画と毎日の計画を手帳で管理しています。まず、就寝前に一日の振り返りをし、手帳の週間計画を確認・修正します。そのうえで、翌日の計画(為すべきこと)を手帳からポストイットに書き写して見開きの反対ページに貼っておきます。当日は優先度・重要度に従って処理し、完了した項目を横線で消していきます。この作業を繰り返しながら週間計画(時には月間計画)の確認・修正を行うのです。毎日のこの作業自体が翌日への取り組み意欲を高めてくれます。

◇毎日、計画遂行状況を確認するということは1日単位での計画修正が可能になるということです。1週間に一度、あるいは1ヶ月に一度の振り返りと比べてみればその有効性は容易に想像できるでしょう。一般に計画は遅れがちになりますので、早めに小刻みに進度チェックをするのはとても大切なことになります。

◇予定どおり進めることができた場合には達成感を味わうことができ、目標に対する取り組み意欲が高まります。不十分な結果に終わった時には(良い意味で)自責の念を感じることができます。つまり、奮起の切っ掛けになります。

◇したがって、「振り返り」を毎日繰り返すことは三日坊主の対策にもなるのです。



【付記】

 私は手帳を使って日々の振り返りをしていますが、【図】はそのイメージです。


【図】
BST.jpg



毎日やると決めたことが常時3項目ほどあります。表頭(ひょうとう)部分のアルファベットがその省略表記です。人に見せる物ではないので暗号のようになっています。たとえば、[TW]はポストイットに書き出した項目(その日やるべきこと)の全体を意味しています。[ZZ]は坐禅のことです。他方、表側(ひょうそく)は暦日とその日の総合評価欄[BST]の2列になっています。

各項目の評価については、予定どおりできたら[○]、まったくできなかったら[×]、中程度の場合には[△]を付けています。ただし、総合評価欄「BST」は「できた/できなかった」ではなく、今日一日ベストを尽くしたかどうかを[○・△・ ×]で記入します。

つまり、計画どおりできたかどうかという「成果」の評価と、今日一日、自分として精一杯の「工夫と努力」をしたかどうかの両面から評価しているのです。この方式は30代から続けています。めったにないことですが、一つの項目でも三日連続で[×]が付くと自責の念にかられ、「明日こそは!」という気持ちが湧いてきます。私にとっては有効な動機づけ方法になっています。


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◆小さな目標達成を繰り返す

「目標達成の体験」は動機づけにたいへん効果があります。ですから自分でその機会を増やしていく工夫をしましょう。

紹介する方法は四つあります。

①充分に達成可能な目標(レベル)から取り組む、②中長期実行計画に取り組んでいる時にはスケジュール(あるいは目標値)を細分化し中間目標を設定する、③小まめな振り返りをする、④自分への褒美を設定する。

以下はそれらの詳細説明です。




充分に達成可能な目標(レベル)から取り組む。この方法は行動変容技法の一つであるシェイピング(shaping)という考え方を応用したものです。シェイピングとは、「できるところから始め、少しずつ本来の目標(レベル)に近づけていく方法」のことです。「漸次的接近法」ともいいます。[自己啓発に役立つシート集>036:shaping(シェイピング)_解説シート]もご覧ください。▶[シェイピングの 本文]へ


中長期実行計画に取り組んでいる時にはスケジュール(あるいは目標値)を細分化し中間目標を設定する。中長期実行計画は、それを(できる限り)細分化します。たとえば、年間計画を月次計画に割り振り、さらに週間計画や日々の計画にまで細分化します。あるいは、100の目標を20→40→60→80→100と5段階に分割します。そのようにすることによって心理的な負担が軽くなり、やる気が高まり、目標達成の確率が高まります。


小まめな振り返りをする。細分化したスケジュール(あるいは目標値)に対応させながら小まめな振り返り(進度チェック)をします。たとえば、週単位、一日単位の振り返りをするのです。すでに述べたとおり細分化されたスケジュールや目標値の達成は容易になります。したがって、小まめな振り返りによって小さな達成感を何回も感じ取ることができます。「今日も予定どおりにできた。明日も頑張ろう」という気持ちが湧いてきます。かりに予定どおりできないことがあっても、細分化したスケジュール(あるいは目標値)であれば、遅れを取り戻すのは容易です。


自分への褒美を設定する。自分で自分に褒美を用意するのです。決めたとおりにできた時には(達成感自体が褒美になりますが、併せて)褒美をもらえるようにしておくということです。以下はその例示ですが、いろいろな方法があるので、自分に合った褒美を工夫してください。褒美を考える、そのプロセスにも、取り組み意欲を高める効果があります。


今週の目標を達成したら、「映画を観に行く」、「CDを買う」、「DVDを買う」など。


今月の目標を達成したら、「日帰りドライブに行く」、「ネクタイを買う」、「ゴルフに行く」など。


中間目標を達成したら、「一泊二日の旅行に行く」、「背広を新調する」、「有名ブランドの財布を買う」など。


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◆幸運を呼び込む

ライフプランから始める本気の自己啓発においては、「幸運は呼び込むものである」という立場をとります。

以下は、幸運を呼び込むための方法です。

心の底から実現を希求する目標を持つこと
心の底から実現を希求する目標を持つと気持ちが変わります。気持ちが変われば行動が変わります。行動が変われば幸運を呼び込む<確率>が高まるのです。そのためには心から実現を希求する目標を持つことが欠かせません。それが原点です。

◇実行計画を作成すること
実行計画を作成すると目標が明確になります。すなわち、いつまでに・何を・どうやるかが明確になります。同時に、進度チェックと振り返りができるようになります。したがって、心から実現を希求する目標を持ち続けることに効果があるのです。

◇つねに目標を意識していること
実行計画の作成、日々のTO DO LIST作成、日々の進度チェックが基本となります。

真剣な努力を継続すること
実行計画にそって真剣な努力を継続します。計画どおりできない状況になっても、少しでも取り組み、気持ちを翌日に繋げます。真剣な取り組みを習慣化するのです。

人脈を活かす、人脈を広げる
人に頼り切ると言うことではなく、幸運を呼び込む機会を増やすということです。

以上のことを実行すると<幸運を呼び込む確率>が高まります。



【付記】_私の体験談

10数年勤務した金融機関を退職して経営コンサルタントの道に入ったあと、思ったように仕事が入らず、経済的にも困り果てていた頃の話です。

先輩のコンサルタントが月刊雑誌のコラムを書かないかと勧めてくれました。精魂込めて書いた記事が(編集者に)認められ、その月刊誌の別冊付録を書くことになったのです。『活き活きした職場をつくる小集団活動導入の手引き』という別冊です。

これにも精魂を注ぎました。その結果、「付録だけを購入したい」という多くの注文があって増刷するほどの評価を得ることができたのです。

そして、幸運がやってきました。その月刊誌の定期購読をしているS社の社長から小集団活動導入の指導依頼があったのです。

これにも精魂を注ぎ、リピートをもらい、2年間指導を続けました。生活は安定し、仕事は増え、大学院入学への道も開けました。そして、人生目標であった大学の教員になれたのです。詳細は本サイトの「自己啓発の軌跡」をご覧ください。[自己啓発の軌跡]へ



【関連資料】

*参考文献_『人生目標を見つけて自分のやる気を高めよう』[内容紹介]へ
*関連記事_「チャンスを捕らえるためには不断の工夫と努力が肝要です」[本文]へ
*関連記事_「偶然は準備のない者に微笑まない」[本文]へ



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◆忙しくても投げ出さない

自己啓発は、目標を持ち実行計画をたて実際に取り組みを始めても、忙しさに紛れてついつい一日延ばしになってしまう可能性があります。そして二日・三日と「取り組み無し」の日が続くと、いつのまにかやる気も失せてしまうのです。このことは、考えようによっては非常に危険な状態なのです。なぜならば、知らず知らずのうちに取り組み意欲を失ってしまうからです

では、それを防ぐにはどうしたらよいのでしょうか? もちろん、対策は数多くあるでしょう。なぜならば、目標も、個性も、状況も多種多様だからです。そこで以下においては汎用性の高い方法を一つ紹介します。私自身が数十年にわたって活用してきた簡単な方法です。それは……

「少しでもよいから手を付ける」という対策です。

どんなに忙しくても、どんなに疲れていていても、3分や5分は時間を取れるし、頑張りもできるでしょう。その時間だけでも取り組むのです。3分間あれば、英単語一個は覚えられます。新しい単語を覚えるのが苦痛なら、前日の復習でもよいのです。5分間あれば、新書の半ページは読めるでしょう。3分の1頁でも、昨日読んだところの復習でもよいのです。

私には経営コンサルタントと大学教員の両方の仕事に就いていた時期がありましたが、その中でも自己啓発(実行計画)への取り組みを投げ出した日はありませんでした。どんなに忙しくても、どんなに疲れていても、かならず少しは取り組みました。この習慣は喜寿を迎えた現在も続いています。執筆していても加齢のせいですぐに疲れます。体調も安定しません。しかし、実行計画を投げ出すことはありません。一行だけでも書いています。一日一行というと笑われるかもしれませんが、その一行が自分の取り組み意欲を明日に繋いでくれるのです。そこが大切だと思っています。

何も手を付けないと、いつのまにかやる気が失せてしまいます。少しでもよいから手を付け、取り組み意欲を明日に繋げましょう!


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 ***** 【振り返りとフィードバックのヒント】 *****


◆振り返りとフィードバックの意味

「振り返り」とは実行計画と結果の照合のことです。実行計画との差異を明らかにします。通常は達成期限が到来した時に行いますが、中間目標を設定した時にはその達成期限が到来した時にも行います。さらには、目標達成に向けての実行中に問題が発生したり、発生しそうになった時にも行う場合があります。

フィードバック(feedback)」には生物学・心理学・情報技術などの研究分野ごとにさまざまな意味があります。ここでは「目標に取り組んできた経過の状況や最終の結果を当初の計画と照合して振り返り、そこから得た教訓をそれ以降の取り組みに反映させること」と定義しています。

達成期限が到来した時の振り返り結果は次の目標(実行計画)に反映させます。また、中間目標の達成期限に行った場合には(必要に応じ)それ以降の計画修正に反映させます。実行中に行った振り返りについても同様です。


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日々の振り返り_ワークシート

【はじめに】

「ライフプランからはじめる自己啓発」をモットーとしている本サイトではP(Plan:計画)、D(Do:実行)、S(See:振り返り)をセットとして扱っています。

計画だけで実行が無いのであれば目標の達成はありえません。また、実行に対する振り返りが無ければ進捗状況を把握できず、期日までの達成が危ういものとなります。

そこで今回は[日々の振り返りシート]を紹介しますが、「毎日、振り返りをするのは面倒……」などと言わないでください。日々の振り返りには見逃すことのできないメリットがあるからです。

(1)
その日に予定していたことを成し遂げた時には達成感を味わうことができます。そしてその達成感は翌日への意欲を高めてくれます。

(2)
未達成の時には「自責の念」にかられ、「明日こそは頑張ろう!」という気持ちが起きてきます。達成にせよ、未達成にせよ、いずれにしても日々の振り返りは自己動機づけに有効なのです。

(3)
さらには、毎日振り返りを行うことにより計画の遅れを最小限にすることができます。なぜならば、一日単位で対策を取れるからです。

(4)
「書くこと」によって自分への意識づけがより確かなものになります。箇条書きでよいですから億劫がらずに取り組みましょう。2,3週間続ければ「習慣」になります☆



【ワークシートについて】

「ライフプランからはじめる本気の自己啓発」に取り組んでいる方を念頭において作成しました。ライフプランを作成していない人(人生目的や人生目標を持っていない人)は自分の現状に合わせて活用してください。たとえば、「人生目的」や「人生目標」の欄は空欄とし、それ以外の欄を使います。

なお、ライフプランを持っていない人はこの機会に作成してみてはいかがでしょう。ぜひ、取り組んでみてください。ライフプランと自己啓発プランの概要、および、それぞれの計画表は本サイトの[自己啓発の進め方]で見ることがきます。▶[自己啓発の進め方]へ

ワークシートはダウンロードしてお使いください。「ワード」のファイルにしてありますので、あなたの都合に合わせた修正が可能です。

文書1.png

LinkIcon日々の振り返りシート_docx



【振り返り記入の手順】

毎日、その日の振り返り欄(○○日の振り返り欄)に記入し、そのあとでワークシート全体をコピーして最上部(1ページ目)に貼り付けます。つまり、2ページ目以降に控を残していくわけです。

次に、最上部のワークシートの振り返り欄と第○週の目標欄を参照しながら翌日の目標欄(○○日の目標欄)を更新します。必要な項目は手帳などに転記しておきましょう。

さいごに、振り返り欄の(当日分の)記入事項を削除して翌日の振り返り記入に備えます。

記入作業は就寝前のゆったりした時間帯が良いです。

毎日の習慣にしてください。そうすることによって、少しずつ、自分を磨いていくことができます☆

週の目標や月の目標、そして年の目標については、それぞれ(週・月・年)の単位で確認(更新)してください。



【付記】

対策について。対策は「行動用語」で書きます。行動用語とは改善行動に直結する具体的な表現のことです。たとえば、「努力が足りなかった」「次回頑張る」は駄目です。どう努力するのか、どう頑張るのか、実際の改善行動に結びつくような対策を考えましょう。

また、良く考えずに他人や外的事情に責任転嫁してはいけません。なぜならば、失敗の原因を自分以外に求めると、改善の糸口を見つけることが難しくなり、なによりも自分自身の成長につながらないからです。仕事が忙しすぎた、残業が多すぎた、家族の協力が無かった、専門学校の講師の講義が下手だった……と言っても埒(らち)が明きません。

失敗の原因は「他責」として捉えるのではなく、できるだけ「自責」として捉えましょう。仕事の効率化を図ったか、忙しい中で自己啓発を続ける工夫をしたか、家族からの協力を得られるように説明したか、講師には分からないところを質問したか、と考えて欲しいのです。そうすれば改善の方法を見つけていくことができますし、失敗から学んで成長していくこともできます。簡単なことではないかもしれませんが頭の片隅に留めておいてください。




本項は[自己啓発支援センター> 自己啓発百科>自己啓発に役立つシート集>043:日々の振り返り_ワークシート]からの再掲です。ご了承ください。



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◆最終の振り返りとフィードバックの方法

以下においては達成期限が到来した日に行う振り返りとフィードバックについて説明します。他の二つのケース(中間の振り返りと実行中の振り返り)についても同様の考え方で行ってください。


(達成状況1) 「ほぼ計画どおりに達成できた、満足している」。計画していた期限と目標値をほぼ達成できた場合、あなたは大きな満足感を得ることができるでしょう。そして自分が成長したことを実感し、さらなる計画作成への意欲も高まると思います。

しかし、振り返りとフィードバックは達成できた時にも必要なのです。成功の要因を分析して次なる計画の作成に活かしていただきたいのです。その成功要因をしっかりと認識して次回にも活かす、その成功要因に工夫改良を加えてさらに有効性を高める、といった方向で取り組んでください。念のため、成功要因以外の改善必要事項が無いか、それもチェックしておきましょう。これらを繰り返すことにより目標の達成率を高めるノウハウ(know-how)も蓄積されていきます。

なお、計画どおりに達成できた時には取り組みを支えてくれた人たちにも感謝しましょう。そして、機会があったら、今度はあなたが、他の人の取り組みを支援してください。


(達成状況2) 「かろうじて及第点レベルの達成、まあまあの満足感である」。この結果にはいろいろなケースがあるでしょう。たとえば、計画していた期限までに取り組み事項は消化したが達成のレベルが目標値より低くなってしまった、計画していた目標値には到達したが計画期限を延長することになってしまった、などです。これらの結果から学ぶべきことは以下の二つです。

一つ目は、「まあこれで良しとしよう」と自己満足しないことです。計画どおりに達成できた時の気持ちを想像して、そうならなかった残念さ悔しさを感じて欲しいのです。そしてその気持ちを次の取り組みへのスプリングボード(springboard)にしてください。

二つ目は、計画どおり完了できなかった原因を分析して改善策を考えます。そうすることによって実行計画の作成や目標の達成に向けた取り組みレベルを徐々に高めていくことができます。


(達成状況3) 「まったくできなかった、満足感は無い」。この場合にはひたすら失敗の原因分析をし、次回への対策を考えることになります。

ただし、たんなる「反対語」は対策になりません。失敗の原因として「よく読まなかった」、対策として「注意深く読む」は駄目です。「注意深く読む」ための具体的な方法、改善行動に直結する方法で表現しておきましょう。たとえば、「重要なところは線を引きながら読む」と表現した方が改善行動に結びつきやすいのです。「努力が足りなかった」「今度は頑張る」も駄目です。どう頑張るのか、実際の改善行動に結びつくような対策を考え、それを行動用語(具体的な行動を表す用語)で表現しておきましょう。

また、良く考えずに他人や外的事情に責任転嫁してはいけません。なぜならば、失敗の原因を自分以外に求めると、改善の糸口を見つけることが難しくなり、なによりも自分自身の成長につながらないからです。仕事が忙しすぎた、残業が多すぎた、家族の協力が無かった、専門学校の講師の講義が下手だった……と言っても埒(らち)が明きません。失敗の原因は「他責」として捉えるのではなく、できるだけ「自責」として捉えましょう。仕事の効率化を図ったか、忙しい中で自己啓発を続ける工夫をしたか、家族からの協力を得られるように説明したか、講師には分からないところを質問したか、と考えて欲しいのです。そうすれば改善の方法を見つけていくことができますし、失敗から学んで成長していくこともできます。簡単なことではないかもしれませんが頭の片隅に留めておいてください。



【付記】

振り返りとフィードバックには以下に示すようなメリットがあります。億劫がらずに、ぜひ実施しましょう。

◇計画作成能力が高まる
◇問題予見能力・問題解決能力が高まる
◇達成時には次の目標への取り組み意欲が高まる
◇未達成の場合でも、十分な振り返りを行うことによって将来に役立つ多くのことを学ぶことができる。



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◆目標未達成の時の対処法

目標が未達成に終わったからといって、すべてを投げ捨てることは止めましょう!

「最善が駄目なら次善を考えましょう。諦めるよりはずっとよいと思います」。

「出来ることを探しましょう」。

「負け犬にならないように」。


ヒント(1)_同じ目標項目、同じ目標値で再挑戦。

ヒント(2)_同じ目標項目で実現可能な目標値に変更する。

ヒント(3)_類似の分野で実現可能な目標項目(目標値)に変更する。

ヒント(4)_迂回路を探す。

ヒント(5)_計画の段階で、目標未達成の時の対処法を決めておく



【付記】

目標未達成から立ち直る時の原動力は「ライフプラン」です。

ライフプラン=人生目的+人生目標+自己啓発目標。

しっかりとしたライフプランがあれば、何度でも立ち直れます。

ライフプランについては「自己啓発の進め方」の第3章「ライフプラン」のページをご覧ください。▶[ライフプラン]へ


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***** 【事例紹介】 *****


胸に秘めていた人生目標を実現したサラリーマン_井上富雄氏

サラリーマンであった井上富雄氏(以下、敬称略)が人生目標を設定し、それを実現していった過程を紹介します。「サラリーマンが人生目標を持つには、どのように考え、どのように行動すべきか」、そのことについて多くの有益な示唆を与えてくれる事例です。

井上富雄は昭和4年(1929年)生まれ。早くに父を亡くし、苦学をして社会人となりました。すなわち、旧制の中学校(山口県・柳井中学)、神戸経済大学の経営計録講習所を経て、当時はまだ無名の小さな会社であった日本IBMに入社したのです。いまの学歴でいえば、高校2年程度の学校教育を終えただけで社会人としての第一歩を踏み出したようなものです。しかも入社直後、21歳の時から23歳にかけて(当時は不治の病といわれていた)結核を患い、完全に復帰したのは25歳の時でした。しかしその療養体験から、「人間、とにかくこの地球上に一度しか生まれてこない。死んだらおしまいだ。生きている間に、できるだけいろいろなことをしておきたい」という気持ちを持つようになったのです。

かくして彼は「人生25年計画」を胸に秘め自分の道を切り開いていくようになりました。その主な成果が次に紹介する履歴です。

27歳で技術課長、33歳で技術部長、34歳で人事部長になりました。そして38歳の時には人事・総務・事務管理担当取締役となり、44歳で常務になりました。しかし、自己の人生計画に基づいて47歳で退職、経営コンサルタントの道に入ったのです。

その後はコンサルタント会社(ジャパン・マネジメント・アドバイス)を設立し社長に就任。久光製薬の役員、日本能率協会、日本生産性本部、社会教育協会などの顧問・参与・理事などを務めました。企業や自治体の指導、講演活動にも東奔西走。1991年までに指導した企業は1500社、教育した経営者・管理者は10万名を越えたといいます。さらに(年代は不詳ですが)米国スタンフォード大学大学院エグゼクティブ・スクールを修了。デール・カーネギー経営者スクールの講師を務めたこともあります。

さて、このような人生を歩んできた彼が考え実行してきたのは次のようなことでした。


(1)
死を思い、日々を精一杯生きる。すでに紹介したことですが、彼は日本IBMに入社した直後、21歳の時から23歳にかけて(当時は不治の病といわれていた)結核を患い、完全に復帰したのは25歳の時でした。その経験が基になっているのです。我々は、ともすると自分の生が無限に続くような錯覚を抱き、ついつい日々を粗末にしがちですが、それは大いなる間違いで、人はいつ死んでもおかしくないのです。それを忘れること無く日々を精一杯生きなければならないと思います。彼は次のように記しています。「自室に『時間は矢の如く過ぎ去る』との張り紙をしたり、新聞の死亡告知記事のスクラップ帳を自作して故人の冥福を祈り、そのうえで自分の日々の全力投球への思いを確認してきた」。


(2)
人生計画(ライフプラン)を持つ。療養生活を終えて会社に復帰した彼は早く遅れを取り戻そうとしたのですが定時までの業務をこなすだけで精一杯でした。そこで、「これではいけない! 人生計画をたてて、あせらずに、気長にやっていこう。この弱い体をいたわりながら、少しずつ体を丈夫にしていこう。そして一回しかない人生をできるだけ長生きしよう」、「人間、とにかくこの地球上に一度しか生まれてこない。死んだらおしまいだ。生きている間に、できるだけいろいろなことをしておきたい」と決意し長期人生計画を作成、実行に移したのです。これが「人生25年計画」の始まりでした。すなわち、仕事・学習・趣味・資産づくり・家庭の五つの分野ごとに25年先までの年度別目標と具体的な実行項目を設定し、それら目標の実現に取り組んだのです。以降、この「人生25年計画」は毎年更新され続けました。


(3)
工夫と努力を伴った実行。計画は実行するためにあり、その実行は工夫と努力を伴ったものでなければなりません。彼は次のように述べています。「私はそのサラリーマンとしてのライフワークを、IBMの中で見つけ、それを手に入れることができた。それが可能であったのはチャンスに恵まれたということも大きいであろう。しかし私は自分の運命の大部分は、自分自身で切り開いていくことができるものだと信じていたので、IBM時代の20数年間、独自の工夫と努力を続けてきた。そして現在は第2の人生ではなく、<二人目>の人生を工夫と努力を重ねながら歩んでいる。二人目の人生における私のライフワークは経営コンサルタントである」(要旨)。

続けて、彼の言葉をいくつか紹介しておきます。


いつ道の途中で交通事故にあって死ぬようなことに出あうかも知れないがその場合でも死の直前に、恐らく60代の現在までの、自分の人生に誇りを持つことができるし、後悔もしないで済むと思う。そのためにも毎日毎日全力投球を心がけながら、将来、さらに95歳までの人生設計、生涯設計に向かって努力をしていきたい。


夢と目標と計画が固まっても、実行に移さなければ、はじめから何もなかったに等しい。労せずして実り多い収穫を得ようと思うのは間違いである。


(4)
会社(上司)に貢献する。前項で紹介したとおり、井上はIBM時代の20数年間にわたって独自の工夫と努力を続けました。その工夫と努力について彼の強調するのが「会社(上司)に貢献する」ということです。彼は次のように述べています。「私は、自分の『人生25年計画』に沿ったライフワークを手に入れるという戦略のもとに、会社から与えられたそのときそのときの仕事に全力投球をして、すぐれた成果をあげることに努力をした。同時に私は、私なりに精一杯の努力をして、上司が私の味方をしてくれるような条件づくり(たとえば上司の目標達成に部下の立場から全力を尽くすといったこと)をしてきたつもりである。仕事に対するこういう積極的な姿勢は、上司を味方に引き入れることになるだけではなく、私自身の能力を向上させる上でも、大いに役立ったのであり、一石二鳥、一石三鳥の成果を得ることができた」。つまり彼は会社(上司)に貢献することと自分の人生計画の推進を、相反するものとしてではなく相補的なものとして統合したのです。


【この事例から得られるヒント】

井上のこの事例からはどのようなヒントを得ることができるでしょうか。事例から得られるヒントは読み手によってさまざまでしょうが私は以下のようなヒントを得ることができると思います

(1)
死を思い、日々を精一杯生きる。この考え方・姿勢は彼の活躍の原点になっています。わざわざ死を覚悟するほどの病気をする必要はありませんが、健康な人は自分の健康に感謝するとともに、「人生には終わりがあること」「自分の人生は一回切りであること」を忘れないようにしたいものです。

(2)
自分の人生を計画する、つまり人生計画を立てる。我々は、ともすれば無計画に日々を送りがちです。12月を迎えて、「何をしたか分からないまま、もう1年が経ってしまった」と思うこともあります。一度しか無い大切な人生です。「気がついたら何もまとまったことをしないうちに人生の最後を迎えてしまった」ということのないように、計画を立てて人生を歩んでいきたいものです。

(3)
工夫と努力を伴った実行。計画は実行するために作るものです。実行しないのならば計画を作る意味はありません。そして、実行には工夫と努力が必要なのです。「夢と目標と計画が固まっても、実行に移さなければ、はじめから何もなかったに等しい。労せずして実り多い収穫を得ようと思うのは間違いである」という井上の言葉を忘れないようにしたいものです。

(4)
サラリーマンが自分の人生計画を実現するためには会社(上司)に貢献することを忘れてはならない。すでに紹介したように、彼は次のように言っていました。「会社から与えられたそのときそのときの仕事に全力投球をして、すぐれた成果をあげることに努力をした。同時に私は、私なりに精一杯の努力をして、上司が私の味方をしてくれるような条件づくり(たとえば上司の目標達成に部下の立場から全力を尽くすといったこと)をしてきたつもりである。私自身の能力を向上させる上でも、大いに役立ったのであり、一石二鳥、一石三鳥の成果を得ることができた」。つまり会社(上司)に貢献することと自分の人生計画の推進を、相反するものとしてではなく相補的なものとして統合することが肝心なのです。

(5)
人生計画を持つことによって「やる気」を長期的に維持できる。心からその実現を望んでおり、なおかつ実現可能性のある人生計画(人生目標)を持つことは長期的な「やる気」の源になります。彼も、「将来、さらに95歳までの人生設計、生涯設計に向かって努力をしていきたい」と記していました。



【引用・参考資料】

(1)
井上富雄 『人生設計・ライフワークの原理・原則』 総合法令 1994年。

(2)
井上富雄 『新ライフワークのすすめ』 明日香出版社 1991年。

(3)
井上富雄 『サラリーマンの生涯設計』 実業之日本社 昭和54年。

(4)
井上富雄 『ライフワークの見つけ方』 主婦と生活社 昭和53年。


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帝国ホテル取締役総料理長であった故・村上信夫さんの自己啓発

帝国ホテル取締役総料理長であった故・村上信夫さんの自己啓発について、その一端を紹介します。

村上さんは1921年に小さな食堂を営んでいた両親の長男として神田で生まれましたが、さまざまな事情で家運は衰え、1932年(尋常小学校5年生の時)に結核で両親を亡くしました。そして、6年生の時、知り合いの人の口利きで浅草にあった「ブラジルコーヒー」に住み込みの小僧として入ったのです。

少し脇道にそれますが……、当時もらえなかった卒業証書は、1988年にNHKの番組で母校の生徒達にカレー作りを教えた際に(ごほうびとして)もらうことができました。ただし、日付けは収録のあった年月日となっていたので、村上さんはその脇に鉛筆で昭和9年3月24日と記したとのことです。

さて、話を元に戻します。

ブラジルコーヒーでの仕事場はカステラ工場、朝4時に起床して工場に行き、石釜の火入れや原材料の下ごしらえなどをしました。そのご、先輩達が本格的な作業を開始すると、次から次へと雑用が湧いてきて目が回るほどの忙しさになります。1日の仕事が終わるのは夜の9時か10時でした。しかし、一人前になりたいという気持ちが強かったので、仕事を辛いと思ったことはありませんでした。

やがて、少しずつ料理作りを手伝うようになり、3年間がアッという間に過ぎ、15歳になっていましたが、親切だった料理長の原山さんに励まされブラジルコーヒを出ることにしたのです。「コックを目指しているなら、ここにいたら駄目だ」というのが原山さんの助言でした。村上さんは原山さんの骨折りで帝国ホテルに願書を出すことができましたが、応募者が多く、返事が来るのは何時になるか見当もつきません。ときどき庶務に挨拶にいってもなかなか埒があきません。そこで、いくつものレストランで武者修行を重ねながら返事を待つことにしたのです。

かくして、レストランを転々としながら武者修行を重ねているうち、有楽町の「リッツ」に推薦してもらう機会を得ました。ところが店の経営が傾き帝国ホテルに買い取られてしまったのです。しかし、従業員も一緒でした。彼は「まるで、ひょうたんから駒だった」と回顧しています。18歳になっており西洋料理はひととおり身につけていたという自負があったものの「洗い場」からの再スタートでした。

そして数年後、いろいろな調理場を回りながら腕を磨いてきた村上さんに「フランス語」の勉強が必要になってきたのです。彼は尋常小学校しか出ていません。漢字はほとんど書けず、横文字は全くお手上げでした。そこで、一念発起してしてフランス語を習い始めました。アテネフランセで学んだあと、コックを対象とした新橋のフランス語教室に通い、文法や発音の基礎から学びました。「一日の激務を終え、眠いのをこらえて頑張り続けた」と言います。週に3回通ったそうです。勉強時間は終電までの時間帯でした。「若い頃の必死の勉強は身につく。そして、まだまだ実力は伴わなかったものの、西洋料理の本場、フランスの言葉を懸命に学んだという自信がついたのも大きかった」、村上さんはこう振り返っています。

やがて、戦争が始まり、陸軍に入隊。上官からは「漢字を勉強しろ」と言われる始末でした。そこで、辞書を購入、仲間や上官に添削してもらいながら(寸暇を惜しんで)漢字を覚え、文章の書き方を習得していったそうです。その時の辞書は今でも手許にあるそうですが、前線にも携行していたので負傷した時の血痕が残っていると言います。

さて、村上さんの自己啓発についてはまだまだ紹介したいことがたくさんありますが、もう一つだけ紹介してこの項を閉じることにします。

「コック人生は幸運の連続だった。人にも恵まれた。しかし、それは準備し、努力した結果でもある。新館料理長になって数年後から38年間、帰宅してから1日1時間、料理の勉強を欠かさないできた。80歳をこえても、練って待つ夢があるのは幸せだと思う」(要旨)。

村上さんは2005年8月2日に千葉県松戸市小金原の自宅にて心不全で亡くなりました。享年84でした。



【引用・参考資料】

村上信夫 『帝国ホテル 厨房物語』 日本経済新聞社 2004年。



【付記】

本項は[自己啓発支援センター>自己啓発百科>自己啓発の事例紹介>062: 「帝国ホテル取締役総料理長であった故・村上信夫さんの自己啓発]の再掲です。


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◆自分の「好き」を活かしたイラストレーター

押金美和(おしかねみわ)さんは法政大学の社会学部を卒業してOLになりましたが、絵を描くのが大好きで「イラストレーターになりたい」という夢も持っていました。ですので、OLとして働きながらも、機会があれば絵を描いていました。

その原動力はイギリスのロックグループ「コールドプレイ(COLD PLAY)」のクリス・マーティン。クリスの透き通った歌声が大好きだったのです。音楽を絵にする、押金さんは彼らの曲を聴きながらイメージを膨らませイラストを描き続けました。

さらにはイラスト制作の勉強会に参加するようになり、企業の公募やコンクールにも片っ端から応募するようになったのです。

やがて、小さな仕事を切っ掛けにして徐々にイラストを描く仕事が入るようになりました。

そこで彼女は「絵に専念する」と決心します。OLを辞め、美術館でのアルバイトを始めたのです。「お金を使わずに絵の勉強ができる」というのがその理由でした。

押金さんはそのごも工夫と努力を重ね、今や正真正銘の「イラストレーター」として活躍しています。彼女の作品はウェブサイト(HP)でも見ることができます。



【引用・参考資料】

(1)夏川賀央 『働く「しあわせ」の見つけ方』 かんき出版 2010年 pp.26-30.
(2)押金美和_HP [http://www.oshikanemiwa.com/jp/career/index.html] (2017/12/01).



【付記】

本項は自己啓発百科>自己啓発の事例>#055[OLからイラストレーターになった押金美和さん]の再掲です。




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◆ライフプランから始める本気の自己啓発_偉人の話

本多静六という人がいました。この人は一生を計画的に生き抜いた偉人です。

少し、長くなりますが以下に履歴の要点を紹介しますの。「ライフプランから始める本気の自己啓発」に関心のある方はぜひ読んでみてください。

✤          ✤          ✤

本多静六氏(以下、敬称略)は1866年に埼玉県南埼玉郡で折原家・8人兄弟の第6子として生を受けました。父・禄三郎は埼玉県第18区の副区長をしていましたが、静六が11歳の時に脳溢血で亡くなり、家族はたちまち貧乏な生活に陥ってしまいました。腕白遊びばかりしていた静六はこの状況を転機として勉学に励むようになったのです。彼は次のように記しています。「かくて11の秋からは麦踏みもやり、学校へ行く前には朝草刈りもし、翌年の冬からは夜学へもすすんで通いだした。また学校の成績もぐんぐんよくなり、興味も不思議なほど出て、ついには『学問をして偉い人になってやろう』などという考えさえもつようになった」。

かくして学問への興味は次第に膨らんでいき、東京での勉学を強く望むようになりましたが、当時の家計状況ではそのような望みが叶うはずもありません。「農閑期の半年間だけ」という条件で、ようやく希望が叶ったのは15の秋のことでした。行き先は兄が教えを受けたことのある(元・岩槻藩塾長)島村泰先生のところ、「内弟子兼学僕」という処遇でした。半年間とはいえ、念願が叶った静六は猛烈に勉強し、半年後にはいったん田舎の家に戻りました。そのあとは、米搗き仕事をしながら四書五経などを諳誦し、夜には小学校の先生のところで改めて講釈をしてもらうといった方法で勉強を続けたのです。すなわち、他の人達が中学に通って勉強する時代を、半年は東京で内弟子兼学僕、半年は郷里で米搗きをしながらの勉強で過ごしたわけです。しかも、この変則的な勉強方法を15歳から18歳まで4年間続けたのです。その結果、彼の学力と向学心はますます高まりました。

そして一つのチャンスが訪れます。それは18歳になった年の12月のことでした。島村先生から「昨年新たにできた官立学校で山林学校というのがあるが、新時代の専門学を教えるのだし、半官費で安い学校だから、お前一つやってみないか」と言われたのです。彼は勧められるままに受験を決め、受験勉強に取り組み、合格しました。しかし、成績は合格者50人中の50番目、最下位でした。

ともあれ、3月3日、授業開始。7月には第1学期試験を迎えることになりましたが、結果は「落第」。当時、山林学校というのは生徒のほとんどが中学か師範学校の卒業生で、変則的な勉強をしてきた彼にとっては無理も無いことだったと思います。しかし彼は今までの努力を考え、苦しい生活の中から学費を出してくれた父母や兄のことを考え、急に真っ暗な谷底へ落ち込んだような気持ちになりました。そしてついには「死んでお詫びをしよう」と遺書を書き、夜も更けてから古井戸に「ずるり」と逆さに滑り込んだのです。ところが片手が井戸内部の井桁に引っ掛かってしまい、どうしても外せません。そんなさなかに浮かんで来たのが自分を励ます父の顔でした。結局、彼は死にきれずに井戸から這いだし、「死んだつもりでいま一度やり直そう」と決意を新たにしました。それ以降、彼は猛烈に勉強し成績最優秀生として銀時計を授与されるまでに成長したのです。

明治19年7月になり、東京山林学校は駒場農学校と合併されて東京農林学校と称せられるようになりました。彼は寄宿舎に入り苦学を続けます。そうこうするうちに、本多家への婿入りの話が持ち上がったのです。本科2年生、24歳の春でした。勉学に集中したかった彼は気乗りがしません。結婚謝絶の難問を出せば逃げ切れるだろうと考え、仲介者を通じて「4年間のドイツ私費留学」を条件に出したのです。ところが、あに図らんや、本多家はその条件を(気概ある若者の申し出と受け取り)承諾したのです。結局彼は学生中に結婚して本多家から通学することになりました。生活は一変し、「まるで乞食から一躍大名にでもなったような気がした」そうです。

かくして新婚生活に入ったものの、その陶酔もわずかで、彼は本来の努力生活に戻りました。昼は暗くなるまで学校に留まり、夜は12時過ぎまで(しばしば2時・3時までも)勉強を続け、ついには6月締め切りの卒業論文を2月初めに書き上げてしまったのです。そうしてそれを提出、(特例として)卒業試験をまたずに3月23日に横浜からドイツに向かいました。船酔いに悩まされながらも、なんとかマルセーユに上陸、陸路パリを経由してやっとベルリンに着きました。横浜を出てから40日余りが経っていました。

ドイツ留学中にも(言葉の壁・本多家からの送金途絶など)幾多の苦労がありましたが、持ち前の工夫・努力・忍耐力で乗り切り、最終的にはミュンヘン大学からドクトルの学位を授与されたのです。彼は「これこそ私にとっては血涙を拭って戦いとった貴き努力の結晶であり、終生忘れることのできない光栄であった」と記しています。

帰国した彼は東京農林学校から名称変更になった帝国大学農科大学(現・東京大学農学部)の助教授に任ぜられ、東京専門学校(現・早稲田大学)にも出講しました。彼は研究の熱意と勇気に燃えつつ、ほとんど寝食を忘れて刻苦精励、自己の使命に向かって邁進し、ついには林学博士の学位を授与されたのです。日本で最初の林学博士でした。かくして(日本の帝国大学からも)学位を授与され教授に昇進した彼は、さまざまな分野でいっそうの活躍をし多大な業績を残したのです。日比谷公園の設計、関東大震災後の帝都復興計画の原案作成などはその代表的なものであり、大小3百余冊の著作も残しました。 

さてそれでは、本題である「本多静六の人生計画」について紹介していくことにします。彼が「わが生涯の予定」として人生計画を作成したのはドイツから戻り助教授になった25歳の頃でした。彼は満25歳を基点として次のような人生計画を作成したのです。

【第1】
満40歳までの15年間は、馬鹿と笑われようが、ケチと罵られようが、一途に奮闘努力、勤倹貯蓄、もって一身一家の独立安定の基礎を築くこと。

【第2】
満40歳より満60歳までの20年間は、専門(大学教授)の職務を通じてもっぱら学問のため、国家社会のために働き抜くこと。

【第3】
満60歳以上の10年間は、国恩、世恩に報いるため、一切の名利を超越し、勤行布施のお礼奉公につとめること。

【第4】
幸い70歳以上に生き延びることができたら、居を山紫水明の温泉郷に卜(ぼく)し、晴耕雨読の晩年を楽しむこと。

【第5】
広く万巻の書を読み、遠く万里の道を往くこと。

以上が彼の最初の人生計画でした。しかし70歳を越えた頃、彼は次のように振り返っています。「幸い私も、中道において倒れることもなく、またイヤになって投げ出すこともなく、ついに、70歳以上、晴耕雨読の第4期時代にまで到達するに至った。あるのもは予想以上に、またあるものは多少の遺憾を残して、ともかく一応の完遂をとげたのである」。その後、彼は社会奉仕を中核とした「新・人生計画」を作成し85歳で亡くなるまで計画的な人生を歩み続けたのです。

最後に二つ、本多静六の実行力について紹介しておきます。彼は「人生即努力、努力即幸福」を自己の行動指針としていましたが、その指針に沿って「4分の1貯金」と「1日1頁の原稿執筆」を(ほぼ完全に)守り抜きました。貧困生活を体験した彼は、ある程度の収入が得られるようになった頃から収入の4分の1を貯蓄することによってその後の蓄財の原資を作りだしたのです。そして膨大な財を成し、晩年にはそのほとんどを(匿名で)寄付してしまいました。また、大小3百余冊の著作も1日1頁の原稿執筆(のちには1日3頁といった執筆努力)によって実現されたものでした。



【この事例から得られるヒント】

さて、この事例からはどのようなヒントを得ることができるでしょうか。参考までに私の気づいたことをいくつか掲げておきます。一部は井上富雄の事例のところで掲げたヒントと重なるところがあるかもしれませんが、「重なりがあるということはそれだけ重要なヒントなのだ」と考えてください。

(1)
人生目標が「やる気」の源になることが分かる。本書では「自分の一生の間にぜひとも実現したい重要な目標」を人生目標と定義しています。「やる気が起きない」、「やる気が続かない」といった症状に対する最も根本的な対策は「人生目標」を持つことだと思います。

(2)
人生目標があれば障害があってもそれを乗り越える意欲つまり「やる気」を維持できることが分かる。なぜならば人生目標は「自分の一生の間にぜひとも実現したい重要な目標」だからです。簡単には諦められない、何としても実現したい目標だからです。

(3)
人生目標は目標達成のための工夫と、努力・忍耐力を生み出す。人生目標を持てば自ずと「やる気」が生まれますが、それとともに「工夫、努力・忍耐力」も生まれます。

(4)
障害を乗り越えて人生目標を達成した経験はさらに新たな人生目標を生み出し、「やる気」のレベルをいっそう高める。かりに目標を達成できなくても、最善を尽くした結果に悔いは残らないでしょう。のみならず実現可能な新目標を見つけ出し再挑戦する勇気が湧いてくる可能性もあります。

(5)
人生目標は長期的な目標である。他方、生死の時期は(一般に)予見できない。したがって、目標達成の時期と自分の命の燃え尽きる時期が一致するとは限りません。このことについて本多は次のように言っています。「人生計画の中道に倒るるとも、倒れる直前までその道を踏み外していなかったら、それで潔しとする」。この事例からは、そのような覚悟を持って人生目標の達成に邁進すべきことを学ぶことができます。



【引用・参考資料】

(1)本多静六 『本多静六伝記 体験八十五年』 実業之日本社 2006年(初版)。  

(2)本多静六 『人生計画の立て方』(新装版) 実業之日本社 2005年 (初版)。


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◆長い年月をかけて人生目標を実現した凡夫の話

 長い年月をかけて人生目標を実現した凡夫とは私(釼地邦秀)のことです。井上や本多に並ぶような経歴ではありませんしが、凡夫の事例であればこそ読者の身近に感じていただけるのではないかと思っています。なんらかの参考になることを願っています。

 私は1943年生まれです。高校を終えるまでは北海道・小樽で過ごしました。父・輿志雄は薬剤師で薬問屋を経営していたのですが私が小学生のころ従業員に使い込みをされて倒産、その後は負債を引き継いだ状態で個人経営の薬局を営んでいました。母・キミは家計の遣り繰りに随分と苦労していたようです。
 高校2年になると家族の間で少しずつ大学進学の話が出てきました。私を含めた家族の希望は北大の薬学部に入ることです。しかし、次第にそれが危うくなっていきました。中学時代の成績はクラスでも上位にいた私でしたが高校に入ってからは伸び悩み、とても北大を受験する成績にはなれなかったのです。繰り返された父の大手術・長期の療養、母の入院、店の手伝い、教員との人間関係など、幾つもの理由が思い浮かびますが、詰まるところ自分の気概が不足していたのだと思います。
 かくして、受験した大学は亜細亜大学だけでした。自分の学力と家庭の経済力を考えた末に(当時は入学が容易で学費も安かった)亜細亜大学商学部を受験し、入学したのです。そして木造の古い学生寮(4人部屋)に入りました。
 しかし2年目、学期始めの身体検査で胸部に異常が見つかったのです。当時、亜細亜大学では2年次に原書講読という必修科目があり、その授業の担当教員が学生相談に応ずるシステムになっていましたので私はその担当の先生のところへ相談に行きました。それが杉本常(ひさし)先生でした。私は先生の助言を受けて小樽に戻り、10ヶ月ほどの療養生活を送りました。幸い学業に戻ることができた私は3年になると迷うこと無く先生のゼミに応募しペーパーテストと面接を経て合格しました。先生の主専攻は経営管理論、温厚で学生思いの先生でした。研究室はもちろん、ご自宅にまで出入りをさせていただいたものです。そんなわけで、大学3・4年はゼミの幹事を務め、大学祭での展示、論文集の発行、合宿など、ゼミ活動に熱中していました。400字詰め原稿用紙278枚という卒業論文は今見てもよく書いたものだと、我ながら感心します。幸いなことに、大学は4年間で卒業することができました。
 ところで、私が杉本先生から受けた影響はとても大きいものでした。このあとの展開に関係が深いので、要点だけですが記しておくことにします。それは「大学教員」という職業についてです。私自身が先生の助言・指導を受けながら大学生活を送っていたこともあって「大学教員」に憧れを抱くようになったのです。「知的な職業であり、若者の育成にも貢献できる。なんと素晴らしい職業だろう」と思いました。この思いは高まる一方で、就職を考える時期になると「大学教員になりたい」と、その道を模索し続けるようになったのです。しかし、いくつもの障害があって結局は大学院受験は諦めざるを得ませんでした。その間に就活の山場は過ぎてしまい有名企業はすでに募集完了、遅れ遅れの就活の末に中ノ郷信用組合というところに就職することになったのです。
 著名な社会事業家であった賀川豊彦が創設した組合だったので両親もまずまず安心した様子、わたしの社会人生活が始まりました。配属先は墨田区の寺島支店・得意先係でした。スクーターに乗って客先を訪問する仕事です。かくして、特別な不満も無く勤務を続け、24歳の時には結婚し、まもなく二人の子供も授かりました。
 ところがその後、時々「大学教員」が頭をもたげてくるようになったのです。そしてその思いは膨らむ一方でした。悶々とした日々が続き、数ヶ月後に得た結論は「中小企業診断士試験の受験」というものでした。というのも、大学教員になるための情報収集をしている中で「著名な経営コンサルタントになれば(大学院を経ずに)大学教員になれることもある」という情報を得たのです。中小企業診断士の資格をとって、著名な経営コンサルタントになり、大学の教員を目指す、というプロセスです。それは「夢のまた夢」というべきプロセスでしたが当時の私にはその道しか思いつきませんでした。そして熟慮の末、「業務にも役立つので資格取得だけでも挑戦してみよう!」と決めたのです。2年後、私は試験に合格し中小企業診断士の資格を取得しました。中ノ郷信用組合では初めてのことでした。しかし依然として「夢のまた夢」であるプロセスに踏み出す勇気は出てこず、信用組合職員として勤務する日々が続きました。
 ところが、32歳の時に1回目の転機が訪れたのです。日本能率協会・中小企業センターと日本マンパワーが共同で主催する経営コンサルタント養成コースの開講でした。私はさっそく申し込み、平日夜間と土日の授業に休むことなく参加しました。そして養成コースの終了間際、思いがけないことが起きたのです。主催責任者であった日本能率協会・中小企業センター社長の阿部松一氏から「有期の研修生を若干名採用しても良い」という話があったのです。考え抜いた私は「応募」を決意しました。幸いなことに採用面接は合格でした。3名の研修生が選ばれ、私もその内の1名となることができたのです。「もう、あとには戻れない」という悲壮感があったのを覚えています。かくして、33歳で中ノ郷信用組合を退職、日本能率協会中小企業センターの有期研修生になりました。
 なお、この意志決定をするにあたっては私の背中を押してくれた一冊の本がありました。岸本英夫の『死を見つめる心 ~ガンとたたかった十年間~』(講談社)という本です。この本を読んで「一度だけの人生なのだから自分の夢を追いかけてみよう!」と決心したのです。「著名な経営コンサルタントになり、大学教員を目指す。大学教員になって学生の育成に携わり、著書を1冊出版する。もし、大学教員になれなかったら経営コンサルタントで生きていく」との人生目標が生まれた瞬間でした。
 日本能率協会・中小企業センターでは経営コンサルタントという仕事の厳しさを骨の髄までたたき込まれ、独立した時には36歳になっていました。しかも思ったように仕事が入らず悪戦苦闘の毎日でした。
 そこで養成コースで知り合った先輩コンサルタントに相談したところ、月刊経営雑誌の編集者を紹介してくれたのです。その編集者から依頼された初仕事は「経営相談」の頁でした。「どんな小さな仕事でも全力で取り組む」と決めていましたので、そのコラムも練りに練って執筆しました。結果、リピートをもらえるようになり、さらには、「別冊付録を書いてみませんか?」という話になったのです。その雑誌は別冊付録がセットになっている月刊雑誌でした。私が二つ返事で引き受けたのは言うまでもありません。タイトルは『活き活きした職場をつくる「小集団活動」導入の手引き』。日本能率協会・中小企業センターの時代に数社の指導経験があり、自信を持って書けるテーマでした。いつものように全力投球、完成した付録は好評で、「付録だけを欲しい」という要望に応えて増刷をしたほどでした。
 そんな中で2回目の転機が訪れたのです。ある日、編集者から電話があり、「別冊付録を読んだ経営者が釼地先生の指導を受けたいと言っている」とのこと。夢のような話でした。さっそく、会社を訪問し社長と面談、数日後に企画書を持参して再面談しました。その結果、1年間のコンサルティング契約が成立したのです。そして全力投球で取り組んだ成果が評価され2年目の継続指導に入りました。生活はやや安定し、やっと一息つけるようになったのです。
 そこで私は再び重大な意志決定をしました。それは「大学院を受験する」というものでした。やっと一息つけるようになったとはいえ、まだまだ経済的には不安定な状態であり、手許に蓄えを持っていたい気持ちがありましたが受験を決心したのです。明治大学大学院・経営学研究科・博士前期課程の受験でした。当時は社会人入試も無く、若い受験生に混じって正規の試験を受けたのです。結果は「合格」、これもまた夢を見ているようでした。中ノ郷時代にも(将来を考えて)英語の勉強を続けていたのが功を奏したのです。入学時の私は37歳になっていました。かくして、週の半分は大学院、残りの半分はコンサルティング、土・日は大学院の予習という生活が2年間続き、経営学修士の学位を得て大学院を修了したのは39歳の時でした。
 そして3回目の転機が訪れたのです。大学院修了と同時に日本能率協会・社内教育事業部から入職の誘いがあり教育コンサルタント(正職員)として入職したのです。生活は安定し、コンサルタントとしての実力も日ごとに増していきました。単行書としての処女作『小集団活動活性化マニュアル』(日本能率協会)を出版したのもその頃のことです。
 しかし間もなく4回目の転機が訪れたのです。それは「岡崎女子短期大学の専任講師にならないか」という話でした。明治大学・大学院の指導教授・藤芳誠一先生から「岡崎女子短期大学が経営実務科を新設するにあたり専任教員の紹介を依頼された。君が良ければ推薦する」とのお話です。私は「お願いします」と即答しました。日本能率協会の仕事は魅力溢れるものであり、チーフ教育コンサルタントに昇格していましたが、人生目標実現のために退職を申し出たのです。42歳の時でした。
 「大学教員になって学生の育成に携わり、著書を1冊出版する」との人生目標を抱いて中ノ郷信用組合を退職したのが33歳でしたから9年掛かって人生目標を達成したことになります。さらに「大学教員になりたい」との希望を抱いていた学生時代から数えると20数年が経っていました。私にとっては長く波乱に満ちた年月でしたが、入学式に教員として参列した時には達成感で胸が一杯でした。そして、「学生に敬愛される良い先生になろう!」と自分に誓ったのです。
 さて、事例としてはここまでの記述で良いと思うので以降の話は要点だけにしておきます。46歳で岡崎女子短期大学助教授の職を辞し、國學院大學・栃木短期大学・商学科助教授(のちに教授)となりました(その間、亜細亜大学非常勤講師も兼務)。50歳になってからは学位の取得を新たな人生目標にして研究を進めました。同時に独学で第2外国語の勉強を開始。57歳の時、明治大学に提出した学位請求論文の審査に合格して博士(経営学)の学位を授与されました。研究者・教育者・経営コンサルタントとしての道筋が開けたのです。
 ところが60歳の時に5回目の転機が訪れました。縁あって実践女子大学に(人間社会学部教授として)招聘されたのです。さらに66歳の時には実践女子大学・大学院・人間社会研究科の開設により大学院も兼担、10年間の勤務を終えて70歳で定年を迎えました。在職中は学部で経営学概論・経営管理論・キャリアデザイン論・演習などを担当し、大学院ではリーダーシップ特論・経営管理特論・特別研究Ⅰ・特別研究Ⅱなどを担当しました。岡崎女子短期大学の教員になってから実践女子大学を退職するまでの教員歴は28年、死ぬまでに1冊書ければ悔いは無いと思っていた著書は6冊にもなりました。
 なお、実践女子大学に移籍すると同時に退職後の人生目標を設定していましたので最後にその概要を付記しておきます。それは自己啓発支援サイトの開設と自己啓発をテーマにした著作です。サイトの開設については、書籍による基礎勉強、導入ソフトの比較検討、サイトの試作・試行などに取り組みながら開設に備えていきました。また、6冊目の著作『ライフプランから始める本気の自己啓発』は65歳の頃から構想・執筆に入り、70歳になった年の11月(退職直前)に出版したものです。さらに実践女子大学在職中にはキャリアカウンセラー養成講座を修了し、伝統寺院での仏道修行に取り組み、仏教系大学の大学院にも1年半ほど正規の院生として在籍していました。すべて退職後の人生目標「自己啓発支援サイトの開設・運営」と「自己啓発をテーマにした著作活動」を念頭においたものでした。
 2020年7月現在、自己啓発支援サイト(自己啓発支援センター)の運営は6周年を過ぎました。また、著作は13冊にもなりました。長い道程でしたが人生目標があったお陰で「やる気」を失うこと無く歩み続けることができた次第です。これからも「サイトの更新」と「自己啓発をテーマにした著作活動」を続けていくつもりです。

【この事例によって私が提供したいヒント】

 さて、この事例からはどのようなヒントを得ることができるでしょうか。私がこの事例によって提供したいと思っているヒントを(参考までに)いくつか掲げておきます。なお、一部は井上・本多の事例のところで掲げたヒントと重なるところがあるかもしれませんが、「重なりがあるということはそれだけ重要なヒントなのだ」とお考えください。

(1)一度だけの人生なのだから自分の夢を追いかけてみよう!
 私が33歳で中ノ郷信用組合を退職し日本能率協会中小企業センターに有期研修生として入職することを決めた時、私の背中を押してくれた一冊の本がありました。すでに紹介済みですが岸本英夫の『死を見つめる心 ~ガンとたたかった十年間~』(講談社)という本です。この本を読んで「一度だけの人生なのだから自分の夢を追いかけてみよう!」と決心したのです。「著名な経営コンサルタントになり、大学教員を目指す。大学教員になって学生の育成に携わり、著書を1冊出版する。もし、大学教員になれなかったら経営コンサルタントで生きていく」との人生目標が生まれた瞬間でした。「一度だけの人生なのだから自分の夢を追いかけてみよう!」という気持ちは現在でも私の「やる気」の源になっています。

(2) 「メメント・モリ」を心に刻む
 私が「やる気」について一番強調したいことは「人生には限りがある」、「人生は一度きり」、「光陰は矢の如し」ということです。これらのことを胸に深く刻み込めば「やる気」は自然に生まれてくると思っています。まさに「やる気」の源泉だと思うのです。以下には箇条書きで関連のヒントを記しておきます。

◇「メメント・モリ(memento mori)」はラテン語の宗教用語で「死を思え」という意味です。私にとってはこれが「やる気」の源になっています。具体的には、無常を説いた般若心経を読誦(どくじゅ)し、坐禅を組み、年末には遺書を書いています。そうすると「死を思いつつ、精一杯生きる」という気持ちが湧いてくるのです。さらに、手帳には「五薀皆空(ごうんかいくう)、桜花たるべし」と書き込んであります。「心身はすべて空なのだから、桜の花のように精一杯生きよう!」という意味で使っています。一日一回はそれを見ます。「五薀皆空」は般若心経に書かれている言葉です。

◇先に掲げた井上富雄は新聞に掲載された有名人の死亡告知記事を切り取ってスクラップ・ブックをつくり、折に触れてそれに目を通し人生意識(精一杯生きようという意識)を呼び起こしたと記していました。(井上富雄『人生設計・ライフワークの原理・原則』総合法令)。

◇土光敏夫氏は毎日、早朝と就寝の前に法華経を読誦していました。また次のようにも語っています。「人間は宇宙の原理で生まれてくるわけだから、生まれてきた以上、各自がこの自分の一生をどう生きるかを真剣に考えるべきだろう。このことだけはいっておきたい。自分の一生だもの、二回ないんだからね」。(土光敏夫『土光敏夫 信念の言葉』PHP研究所)。

◇ネスレ日本・社長兼CEOの高岡浩三氏は父親も祖父も42歳で亡くなったので自分も42歳で死ぬと覚悟を決め、人生を逆算して生きてきたと述べています。(高岡浩三『逆算力』日経BP社)。

◇山本有三は次のように言っています。「たったひとりしかない自分を、たった一度しかない一生を、ほんとうにかゞやかし出さなかったら、人間、うまれてきたかいがないじゃないか」。(山本有三『路傍の石』新潮社)。

(3)千慮決断、不惑実行
 私の「杖ことば」です。よくよく考え、考え抜いたら迷わずに実行するという意味です。どんな意思決定にも何らかのリスクや不確実性はあるものです。考えないのは愚かなことですが、考えてばかりでは物事は前に進みません。どこかで割り切る必要があると思うのです。
 瀬戸内海の島にあるハンセン病の国立療養所・長島愛生園の精神科に(意を決して)勤務することにした神谷美恵子氏がその時の胸の内を表した言葉も紹介しておきます。「新しい道にどんな困難が伴おうとも、これ以外に自分の生きる道はないのだとわかったひとは、思い切って高いところからとびおりるような気持ちでそれをえらびとるほかはない。ティリッヒのいう『生存への勇気』をここでふるいおこしうるかどうかによって、その後の一生に天と地の差がおこる」。(神谷美恵子『生きがいについて』みすず書房)。 

(4)凡夫でも工夫と努力を積み重ねれば人生目標を達成することができる
 工夫と努力を重ねれば必ず人生目標を達成できるという意味ではありません。工夫と努力を重ねれば目標達成の可能性が高まる(工夫と努力を重ねないで目標達成を願うのは虫が良すぎる)と言いたいのです。「人生目標の実現に寄与することならば、どんな小さな事でも全力で取り組む」という姿勢が大切だと思います。さらに、「精一杯の工夫と努力を重ねていると幸運に恵まれる機会も増えてくる」と実感しています。

(5)健康管理の重要性
 私は学生時代に胸を病み療養生活をした経験があります。それ以降、健康には気を配るようにしてきました。人の寿命は人智の及ばぬところで決まりますが、自分にできることはすべきだと考えています。


【引用・参考資料】

◇釼地邦秀 『ライフプランから始める本気の自己啓発』 三恵社 2013年 (初版)。
◇釼地邦秀 『人生目標を見つけて自分のやる気を高めよう』 Kinde版/POD版 2020年。  


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