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▶[第5回目:文頭]


連載講座:組織活性化と管理者の役割>第2章 動機づけ

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【はじめに】

管理者の役割の第2ステージは「動機づけ」です。動機づけについての理論的な説明と実践のヒントを提供します。前章と同じようなことを申し上げて恐縮ですが、前置きが2つあります。


(1)
まず「実践と理論」についての復習です。プロローグで述べたように理論は役に立ちます。それを忘れないで頂きたいのです。「どうやるか(know how)」についての背景に「何故そうすると良いのか(know why)」という理論的な理解があれば実践の時に納得感・安心感を持って取り組むことが出来ます。また、理論的な理解があれば(その理論に依拠しながら)自社・自職場固有の状況に合った、自分なりの実践方法を開発していくことも出来るのです。実践だけではなく、理論だけではなく、両方を融合させながら管理者としての能力を高めていただきたいと思っています。理論については要点を分かりやすく説明してまいりますので前向きに取り組んでみて下さい。関心を持った理論については、さらに深く学んでいただければ幸いです。引用・参考資料も記載しておきます。

(2)
2つ目は「経営幹部のための実践ヒント」と「管理者のための実践ヒント」の関係についてです。この講座は「管理者のための実践ヒント」を主題にしていますが、管理者の方々の役割は経営幹部(役員クラス)の方針や指示に対応したものにならなければいけません。ですので、「管理者のための実践ヒント」を紹介する前に「経営幹部のための実践ヒント」を掲げる必要があるのです。たとえば、「動機づけ」というとすぐに「賃金制度の改善」が浮かんで来ます。しかしそれは全社的な導入・展開となるのが通常ですから「経営幹部のための実践ヒント」というとになります。それを踏まえて「管理者のための実践ヒント」を述べなければなりません。たとえば、「公正な人事評価を行う」といった役割の説明になるわけです。このことは6つの役割のすべての説明に共通しますのであらかじめ御承知おき下さい。



【キーワード】

管理者の役割/動機づけのメカニズム/人間が行動を起こす条件/企業における欲求充足のメカニズム/マズローの欲求リストと実践のヒント/三隅の欲求リストと実践のヒント/釼地の欲求リストと実践のヒント/部下の欲求を知る方法/動機づけの実践ヒント(一覧表)


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【目次】

(あらかじめ詳細項目を一覧したい方は 7.「動機づけ」の実践ヒント(一覧表)を御覧下さい)

1.動機づけのメカニズム(図表-7) ▶[本文]へ
1-1.人間が行動を起こす条件
1-2.企業における欲求充足のメカニズム

2.「動機づけ」を管理者の役割とした理論的根拠(図表-1再掲) ▶[本文]へ

3.マズローの欲求リストと実践ヒント(その1) ▶[本文]へ
3-1.生理的欲求
3-2.安全の欲求
3-3.所属と愛の欲求

3.マズローの欲求リストと実践ヒント(その2)(図表-8) ▶[本文]へ
3-4.承認の欲求
3-5.自己実現の欲求

4.三隅の欲求リストと実践ヒント ▶[本文]へ
4-1.職務内容と自己の能力や経験がよく合致していること
4-2.自律性が高い(自分の仕事のやり方は自分で決められる)こと
4-3.「給料」がよいこと
4-4.仕事の継続性・安全性が十分に保証されていること

5.釼地の欲求リストと実践ヒント ▶[本文]へ
5-1.より多い給与・賞与
5-2.職務上の達成感
5-3.成果に対応した承認
5-4.教育訓練の機会

6.部下の欲求を知る方法(図表-9) ▶[本文]へ

7.「動機づけ」の実践ヒント(一覧表) ▶[本文]へ



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1.動機づけのメカニズム

ここでは後段で紹介する「実践ヒント」をより良く理解するために、前提となる「動機づけのメカニズム」を明らかにしていきます。

「動機づけのメカニズム」とは人間が行動を起こすメカニズムという意味です。部下を動機づけるとは、部下に行動を起こさせることですから、人間が行動を起こすメカニズムを知らなければ適切な方法を取ることは出来ません。反対に、人間が行動を起こすメカニズム(つまり動機づけのメカニズム)を理解すれば、自分の部下に合った動機づけの方法を取ることが出来るのです。闇雲に動機づけのhow to を適用するのではなく、動機づけのメカニズムを理解したうえで、もっとも適切な方法を採用していただきたいと思います。

理論的な理解と実践経験を積めば、自分の部下・自分の職場に合った動機づけの方法を自分自身で開発していくことも出来るようになりますしかも、ここで一度理解してしまえば一生涯にわたって活用出来るのです。自分で自分を動機づけることも出来るようになります。数ページで終わりますし、出来るだけ分かりやすく説明しますので、途中で投げ出さずに最後までお付き合い下さい☆


1-1.人間が行動を起こす条件

「部下を動機づける」とは一定の目標に向かって部下に積極的な行動を起こさせることです。したがって、管理者は人間が行動を起こす条件を理解していなければ適切に部下を動機づけることは出来ません。そこで以下においては、順序立ててその条件を明らかにしていきます。

条件は2つありますが、第1の条件は「欲求」の存在です。「その人(たとえば、あなたの部下)が何らかの欲求をもっていること」、それが1つ目の条件になります。例をあげると、「もっと収入を増やしたい」、「はやく課長になりたい」、「海外勤務をしたい」、といった欲求です。心理学には「人は欲求を満たそうとして行動する」という基本命題がありますが、「欲求」は人間行動の基点になるのです

しかしながら、実は、欲求だけでは行動は喚起されません。たとえば、「海外勤務をしたい」という欲求を抱いていても、何らかの理由で、100%海外勤務が不可能なことが分かっている場合、その人は海外勤務を実現するための行動を起こすことはありません。たとえば、一定水準以上の業績が条件になっている場合、その達成が100%不可能と考えている人は海外勤務を実現するための行動を起こすことはないでしょう。すなわち、行動の基点が欲求にあるとしても、それだけでは行動は喚起されないのです。「欲求が充足される可能性の認識」があって初めて行動が喚起される(すなわち、動機づけられる)のですかくして、ある人間が、ある行動を起こすには、最低限2つの条件が揃わなければならないということが分かります。

 (1)何らかの欲求があること。
 (2)取り得る何らかの行動がその欲求を充足させ得るとの認識があること。

以上のことを表したのが図表-7「人間行動の基本プロセス」です。すなわち、「海外勤務をしたい」という欲求を持っている人は、まずこのプロセスを“事前”に考えます。そして海外勤務実現のための行動をとることによって海外勤務が実現すると認識した時、はじめて”実際の行動”を起こすのです。すなわち、海外勤務の実現に向けて動機づけられるのです。

念のために、このことを部下への”動機づけ”の観点から復習するならば、(1)その人(たとえば、あなたの部下)が、海外勤務をしたいという欲求を持っているか否かの確認をする、(2)(持っていることが分かったら)必要な準備行動をすれば、すなわち業績などの必要条件を満たせば海外勤務が実現可能なことを認識させる、(3)そうすることによって、その人は海外勤務に必要な行動(たとえば必要とされる業績の実現に向けての行動)を開始する、すなわち動機づけられる、ということになるわけです。




図表-7 人間行動の基本プロセス

人間行動の基本プロセス.jpg




1-2.企業における欲求充足のメカニズム

企業における欲求充足のメカニズムについて先の例示で復習するならば、「海外勤務をしたいという欲求がある」→「海外勤務を実現するためには業績などの必要条件を充たす必要があるが、それは可能であると思う」→「実際に行動を起こし、必要条件を満たし」→「結果として海外勤務が実現する」というプロセスになるわけです。

そのうえで、もう一歩踏み込んだ話になります。それは、「企業活動に参加している人達は企業目標の実現に貢献すること、つまり”組織貢献”を期待されているので、個人の欲求充足は組織貢献と統合される形で行われる」ということです。すなわち、企業活動の場における欲求充足のポイントは「個人の欲求充足」と「組織貢献」の両方を実現するというところにあるのです(図表-7の[説明事例]参照)

海外勤務の事例を続けるならば、設定条件として「一定水準以上の業績をあげること」、「規定の勤続年数を充たすこと」、「規定の語学能力を身につけること」、「上司の推薦を得ること」といったことを考えることが出来ますが、それらの有効性は「個人の欲求充足」レベルと「組織貢献」のレベルによって総合的に判断されるのです。たとえば、「勤続年数」だけを条件とするよりも「業績」を条件に入れた方が組織貢献度は高まるでしょう。

かくして、どのような欲求に対し、どのような条件を設定するかが企業活動の場における動機づけの要諦になるのです。管理者は自分の部下の”欲求”を知り、「個人の欲求充足」レベルと「組織貢献」レベルの両方が出来るだけ高まるような条件を設定していく必要があるのです




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2.「動機づけ」を管理者の役割とした理論的根拠

組織活性化のための管理者の役割を念頭に置いた場合、「目標設定」と共に真っ先に想起されるのは部下の「動機づけ」であり、このことに異論を挟む管理者はいないと思います。それが実践的な観点から「動機づけ」を取り上げた理由です。加えて、研究者達もそれぞれの観点から動機づけの重要性に触れています。たとえば、すでに紹介したニューストロム=デイビスの[経路-目標モデル]は動機づけのプロセスを説明したものなのですまずはそれを復習しておきましょう。そのうえで、動機づけの重要性に言及している他の研究を幾つか紹介し、「実践のヒント」へと展開していきます。

【付記】
今度は「動機づけ」に注目して復習して下さい。念のため、(カッコ)内に補足説明を入れておきました。用語については、「リーダー」=管理者、「従業員」=部下、「業務目標」=部下の個人目標、「組織目標」=管理者が所管する組織の目標、と解釈して下さい。




図表-1 ニューズトロム=デイビスの経路-目標モデル(再掲)
図表:経路-目標.jpg


■(プロセス1):リーダーは従業員の欲求を確認する(欲求の確認は動機づけの出発点です)

■(プロセス2):適切なる業務目標が設定される

■(プロセス3):リーダーは報酬を業務目標の達成に結びつける(欲求を充足させ得る条件を設定するということです)

■(プロセス4):リーダーは従業員が業務目標を達成できるように支援する

■(プロセス5):従業員は満足感を得て動機づけられリーダーを受け入れる(目標達成に向かって意欲的に取り組んでいる状態です)

■(プロセス6):望ましい業務遂行結果が実現し(業務目標が達成され)、従業員は報酬を手にする(欲求が充足されます)

■(プロセス7):従業員の欲求充足と組織目標の達成がより良く実現される(個人の欲求充足と組織貢献が実現されます)



ニューズトロム=デイビスだけではなく、バーナードも組織の3要素として「共通の目的」、「協働意欲」、および、「コミュニケーション」を掲げ、共通の目的を達成するためには、それに向かっての協働意欲の喚起(すなわち動機づけ)が必須の一条件になるとしています。さらには、ローラーが[業績=意欲×能力]という定義式を用いて、「業績実現のためには部下の意欲の喚起(すなわち動機づけ)が必須の条件になる」としていたことも思い出して頂けるでしょう。

次回からはマズロー(Maslow, A. H.)、三隅、釼地が提示している「欲求リスト」を用い、どんな欲求に着目して、どんな条件設定をすれば「個人の欲求充足」レベルと「組織貢献」レベルの両方を高めることが出来るのか、そのための実践ヒントを提供します

[第5回目:文末]■








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▶[第6回目:文頭]



3.マズローの欲求リストと実践ヒント(その1)

これから動機づけの実践ヒントを紹介していくのですが事前に「行動を喚起する2条件」の復習・確認をしておきます。

(1)
「人は欲求を満たそうとして行動する」という心理学の基本命題を忘れないようにして下さい。「欲求」が行動の基点になるということです。行動喚起(動機づけ)の第1の条件となります。

(2)
人が行動を起こすためにはもう一つの条件が必要でした。「取り得る何らかの行動がその欲求を充足させ得るとの認識があること」という条件です。つまり、「頑張って取り組めばなんとか望みを叶えることが出来る(欲求を充足させることが出来る)と思っていること」、これが第2の条件です。

これらのことを踏まえたうえで、人間が持っている欲求を明らかにし、”欲求充足”と”組織貢献”につながる実践ヒントを提供していきます。



それでは本題に入ります。マズロー(Maslow, A. H.)は、「人は欲求を満たそうとして行動する」という心理学の命題を前提にした上で、基本的な5つの欲求として、生理的欲求、安全の欲求、所属と愛の欲求、承認の欲求、自己実現の欲求を掲げています。以下においては、これらの欲求に対応させながら実践のヒントを提示していきます。



3-1.生理的欲求

生理的欲求(the physiological needs)は人間という有機体が自らの生命を維持するために抱く欲求であり、たとえば、水、食物、睡眠などへの欲求をいいます。したがって、これらの欲求充足と組織貢献が両立する条件を設定すれば良いのですが、水、食物、睡眠などは、現代社会のほとんどにおいて充足されているので、行動への基点にはなりません。つまり、現代の企業経営の場では使えないのです。たとえば、欲求充足の条件として「業務目標の達成」を設定し、「業務目標を達成すれば水と食物をあげる」という報酬を対応させても動機づけにはならないでしょう。なぜならば、現代社会においては「水と食料」はほぼ充足されており(したがって)欲求の対象にはならないからです。満たされた欲求は行動の基点にはならないのです。


3-2.安全の欲求

安全の欲求(the safety needs)とは、たとえば、安全、安定、恐怖からの自由などの欲求をいいます、生理的欲求と同様に、これらの欲求も現代社会においてはほぼ充足されており、企業経営の場では(ほとんど)使えません。



3-3.所属と愛の欲求

所属と愛の欲求(the belongingness and love needs)とは、家族、友人、同僚などとの親和的な関係への欲求です。集団の一員でありたい、より良い人間関係の中で過ごしたいといった欲求のことです。これは現代社会においても、まだ充足されきっていないので行動への基点としての活用が可能です。たとえば、人間関係の良い職場を希望する人は大勢いるでしょう。すなわち、この欲求を抱いている人はまだ数多く存在するので、この欲求に対応した欲求充足の方法を用いれば、それらの人達を動機づけることが可能になるのです。ただし、企業経営の場においては個人の欲求を充足させると共に組織貢献を引き出せるような方策を取ることが必要になります。それを忘れないで下さい。それでは実践ヒントを紹介していきます。


【経営幹部のための実践ヒント】

経営幹部(役員クラス)の実践ヒントとしては「全社的親睦行事の実施」、「全社目標の共有化(参加型の目標設定)」、「プロジェクトチームの活用」、「小集団活動の活用」を紹介します。



ヒント1:[全社的親睦行事の実施]
これは所属と愛の欲求充足に直結する方策といえるでしょう。全社的親睦行事としては社員旅行、ゴルフ大会、ボーリング大会、親睦食事会、さらには運動会や昼食時を活用した誕生祝いなど、さまざまな方法があります。これらの行事は減少傾向にあるようですが現在でも中小・中堅企業を中心に実施されています。「所属と愛の欲求」を充足させることの出来る有効な一方策です。しかし、親睦行事の「組織貢献度」は全社目標の共有化、プロジェクトチームの活用、小集団活動の活用などに較べると、間接的であり、それほど高いものにはなりません。たとえば、社員旅行を実施したからといって、すぐには業績向上(すなわち組織貢献)に結びつかないでしょう。



ヒント2:[全社目標の共有化(参加型の目標設定)]
ここでは「リッカートの連結ピン」について復習します*。その考え方を活用すれば全社目標の共有化(参加型の目標設定)をしていくことが出来るからです。具体的には、各単位組織が上位組織の目標や方針を参考にしながら、全員参加で自分たちの目標を設定していきます。集団的意志決定への参加と発言自由な雰囲気が、目標に対する取り組み意欲(つまり組織貢献意欲)を高め、同時に所属と愛の欲求も充足させるのです。

なお、組織貢献度は“目標の重要度”によって異なります。重要事項についての参加型目標設定の場合にはその重要度に応じて組織貢献度も高くなるでしょう。

*「リッカートの連結ピン」についての説明:▶ [ 当該ブロックへ ]



ヒント3:[プロジェクトチームの活用]
プロジェクトチームを端的に説明するならば「特定課題を解決するための期限付き混成チーム」と言ってよいでしょう。通常プロジェクトチームは課題解決(組織貢献)を主目的にして編成されますが、強力な仲間意識が生まれるので所属と愛の欲求を充足させる方法としても大変有効です。プロジェクトチームは課題解決つまり組織貢献と、所属と愛の欲求充足とを比較的高いレベルで同時的に実現することの出来るすぐれたマネジメント手法なのです。もちろん、編成すれば良いということではありません。経営幹部としては、専門能力を持ち協働意欲に満ちたメンバーを集め、優れたリーダーを任命するする必要があります。



ヒント4:[小集団活動の活用]
小集団活動(グループによる自主的な改善活動)の活用も所属と愛の欲求を充足させ組織貢献度を高める有効な方法です。「小集団活動」とは,社内に自主的なグループを作り、そのグループごとに自分達でリーダーを決め,改善目標を決め,実施と結果の把握までしようという原則を持つ全社的な活動です(ZD運動, QCサークル活動、JK活動などは小集団活動の代表的なモデルです)。

通常,会社の仕事というのは,計画を立てたり目標を設定したり結果を評価したりする人と,実際にその業務の遂行を担当する人とに分けて行われています。つまり上司による業務命令→部下による業務遂行と報告→上司による業績評価という流れです。しかし、小集団活動では,原則的に、それらすべてを各グループの自主性によって遂行していきます。したがって,それは業務改善に役立つ(すなわち組織貢献となる)だけではなく、 コミュニケーションの改善とチームワークの強化(すなわち所属と愛の欲求充足)にも有効なのです。導入している企業の管理者は小集団活動を“お荷物”と捉えるのではなく、有効活用を工夫して頂きたいと思います。




【管理者のための実践ヒント】

管理者のための実践ヒントとしては「職場単位の親睦行事の実施」、「発言のしやすい参加型の会議運営」、「職場目標の共有化(参加型の目標設定)」を紹介します。



ヒント1:[職場単位の親睦行事の実施]
職場単位の親睦行事の実施については全社的親睦行事のミニチュア版と考えれば良いと思います。すなわち、職場単位の親睦旅行、ゴルフ大会、ボーリング大会、食事会、さらには運動会や昼食時を活用した誕生祝いなど、さまざまな方法があります。ミニヒントですが、これらの行事を独立で行うのではなく、業務上の区切りに合わせて行うとなお良いでしょう。たとえば、職場目標達成の機会に食事会を開く、といった具合です。そうすることによって所属と愛の欲求を満たすと同時に組織貢献度を高めることも出来ます。



ヒント2:[発言のしやすい参加型の会議運営]
会議運営はとても難しいことです。それだけで1冊の本が出来るくらいです(実際、会議運営の本は沢山出ています)。ただしここでは、所属と愛の欲求充足を念頭に置き、”発言のしやすい参加型の会議運営”に焦点を当てて説明します。以下には、管理者の方々が主催する会議で御注意頂きたいことを掲げておきます。

(1)
会議の目的(何のためにこの会議を開くのか)を充分に”自己確認”しておく。

(2)
自分としての一応の結論を持っておく。自分としての一応の結論(方向)を持っていないと”会議は踊ります”。一応の結論であるので、会議の経過・結果により変更や修正はあります。ただし、譲れないところは<充分な説明をしたうえで>譲ってはいけません。なぜならば、結果責任は自分にあるからです。部下は責任を取ってはくれないでしょうし、部下に責任を押しつけてもいけないからです。

(3)
会議の目的と方針(前提条件)を充分に説明する。

(4)
聞く耳を持つ。自分が話している間は部下の意見は聞けないのです。もし、部下の意見を聞かないのであれば、参加型とは言えず、所属と愛の欲求を満たすことにもならず、会議を開く意義は半減するでしょう。 

(5)
しかるべきタイミングで管理者(単位組織の責任者)として結論を出します。あらかじめ持っていた自分なりの結論に会議での部下の意見を統合して結論を出すことになるでしょう。相反する意見に対しては出来る限りのフォロー(説明)をします。

(6)
会議の結果を総括して実施要項を確認します。少なくとも、何時までに(期限)、誰が(担当者)、何を(目標項目)、何処までやるか(目標値)を全員で確認します。会議で決めても実行されなければ意味がありません。実行しないならば(会議で)決める必要も無いでしょう。ですので、実施要項の確認は必須の作業となります。

(7)
参加者に謝意を表明します。それが実施に向けての動機づけにもなるからです。たとえば、「どうもご苦労さん。建設的な意見をありがとう。賛否両論ありましたが会議での決定事項についてはそれぞれが自分の役割を十分に果たして下さい。また、問題が起きそうな場合には早めに相談に来て下さい」といった総括をします。なお、組織貢献度は“議題の重要度”によって異なります。重要事項についての参加型意志決定の場合にはその重要度に応じて組織貢献度も高くなります。



ヒント3:[職場目標の共有化(参加型の目標設定)]
職場目標の共有化(参加型の目標設定)は前項の「発言のしやすい参加型の会議運営」で進めます。ただし「職場目標の設定」という重要な会議になりますので、部下の意見や希望を十分聞くと同時に管理者として言うべき事は言わなくてはなりません。すなわち、上位方針、職場方針、前提条件、(最低の)必達目標レベルなどは部下の意見を聞きながら決定していくべきことではなく、管理者として話し合いを始める前に伝えておく必要があります。ただしその際には、十分に説明をしなければなりません。一方的に提示するだけでは職場目標の共有化(参加型の目標設定)は不可能です。したがって、所属と愛の欲求を満たすことも出来ません。繰り返しになりますが、方針や前提条件については充分に説明をし、納得してもらうことが肝要です。ロックとラザムも、「上司の指示する内容が当を得ていて、その根拠が十分に説明されるならば指示による目標設定でも十分に納得を得ることが出来る」と言っています。上司と部下の板挟みの中で指示に依るしかないことの多い中間管理者の方々にとって、このことは有効な示唆となるでしょう。所属と愛の欲求を満たすために可能な限り参加者の意見を尊重すると共に、方針や指示事項については”十分な説明”を心がけて頂きたいと思います。なお、組織貢献度は“目標の重要度”によって異なります。重要事項についての参加型目標設定の場合にはその重要度に応じて組織貢献度も高くなります。



[第6回目:文末]■






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▶[第7回目:文頭]



3.マズローの欲求リストと実践のヒント(その2)



3-4.承認の欲求

承認の欲求(the esteem needs)とは自尊の欲求と、他者からの承認を得たいという両方の欲求を意味しています。私はこの欲求に大いなる注目をしています。なぜならば、企業経営の現場では”承認”という行為が少なすぎると思うからです。しばしば「部下を誉めると、おだてなければ働かなくなる」、「甘やかせると、ろくな事は無い」といった声を聞きますが、おだてる必要は毛頭ありません。誉めるべき時に誉めれば良いのです。承認の欲求を充足させる工夫がもっと(もっと)必要だと思います。


【経営幹部のための実践ヒント】

経営幹部のための実践ヒントとしては「業績主義人事制度」と「表彰制度の創設・活用」を採り上げます。



ヒント1:[業績主義人事制度の導入]
努力と工夫を重ね業績を上げた社員の「承認の欲求」を充足させ、なおかつ「高い組織貢献度」を期待し得る全社的な方法としては業績主義人事制度を掲げることが出来ます。ただし、この業績主義人事制度は両刃の剣であり、理念、設計、運用を誤ると組織活性化に逆行することにもなりかねません。業績目標をどのように設定するか、業績の測定・判定はどのようにするのか、測定・判定結果と処遇(昇進・昇格;昇給・賞与)とをどのように結びつけるのか、さらには、業績と年功・能力・努力といった項目との整合性など、検討すべき事柄は沢山あります。他社事例もあくまで参考と考え、自社に合った方式を構築しなければなりません。



ヒント2:[表彰制度の創設・活用]
これも承認の欲求を充足させ、なおかつ高い組織貢献度を期待し得る全社的な方法の一つであり、多くの企業がさまざまな表彰制度を活用しています。たとえば、私が組織活性化の指導で伺ったある中堅企業では半期毎に業績にスライドさせた事業部表彰を実施し、社員の士気高揚と業績向上に効果を上げていました。当該事業部への副賞は数十万円の報奨金、使途も自由でした。限られた予算でも、個人や職場や事業部などを単位として、さまざまな表彰を行うことが出来ます。ぜひ前向きに工夫したいものです。



【管理者のための実践ヒント】

管理者のための実践ヒントとしては、「一言でも良いから労をねぎらう」、「部下の言動の中から意識的に誉める処を探す」、「職場単位の表彰制度を導入する」、「競争環境の構築」、「公正な人事評価をする」、「上司に対する発言力を獲得する」といった方法を紹介します。



ヒント1:[一言でも良いから労をねぎらう]
小さな成果でも一言掛けたいものです。たとえば、「良くやったね、ご苦労さん」の一言でも良いのです。以下は、そのポイントです。

(1)
事実の確認。労をねぎらう事実を確認します。大袈裟なことは必要ありませんが見当違いの一言を掛けてしまうと逆効果です。

(2)
原則ですが、「間を置かないで、その時に」、がコツです。思い出したように「ご苦労だったね」と言われても、言われた本人にはピンとこないでしょう。

(3)
その部下に合った言い回しにします。男性か女性か、年配者か若年者か、(変な言い方ですが)体育会系か文化会系か、そういったことが参考になります。

(4)
出来れば“気の利いた一言にしたいものです”。お互いに忙しい状況にあると思います。印象に残る一言を掛けたいものです。

(5)
感謝の気持ち、育成の気持ちを忘れない。口先だけでは気持ちは伝わりません。下手をすると逆効果です。心から労をねぎらう気持ちが無いのならば、何も言わない方が良いです。

「労いの言葉をかける」というこの方法の組織貢献度には幅があり一概には言えませんが、承認の欲求に対応した方法としては採用し易いものの1つと言えるでしょう。



ヒント2:[部下の言動の中から意識的に誉める処を探す]
部下が成果を出した時はもちろんですが、それに加えて意識的に誉める処を探し、一声掛けることも大切です。上手な電話応対など、小さなことでも良いのです。「見つけたら、なるべく早く」、がコツになります。この方法も組織貢献度には幅があり一概には言えませんが、採用し易いものの1つです。「忙しくて、そんな余裕は無い」などと言わずに少しずつ取り組んでみて下さい。



ヒント3:[職場単位の表彰制度を導入する]
筆者が金融機関でT主任の部下として得意先係を担当していた頃の話ですが、主任手当を原資とした個人表彰制度がありました。どのようなものかといいますと、月間目標を達成した場合、同僚の前で「ご苦労さん」という労いの言葉と共に筆記具や道路地図などをプレゼントしてくれるのです。言うまでもなく、これは承認の欲求に対応した方法ということになるのですが、筆者も何度か受賞したことがあり、ほのかな満足感を得たのを覚えています。私がコンサルタントになってから、この話をある管理者研修会で披露したところ、休憩時間に一人の受講者が筆者の処へ来て、「先生、私もやっています」と言っていました。この方法は(特別賞与などに対応させた全社的な表彰制度ほどではありませんが)業績に対応させた欲求充足方法になっているので組織貢献度の向上も期待出来ます。


ヒント4:[競争環境の構築
職場に業績グラフなどを張り出し、お互いの実績が時系列で分かるようにする方法です。一般に広く行われていますが、努力して業績を上げた人の承認の欲求を充足させると共に、部下の人達の組織貢献度を高めることが出来ます。職場単位の表彰制度との組み合わせも可能です。

ヒント5:[公正な人事評価をする]
部下に対し、業績に見合った公正な評価をすることは、承認の欲求を満たすと共に、組織貢献度を高めることになります。図表-8に「公正な人事評価のポイント」を掲げておきましたので参考にして下さい。


図表-8 公正な人事評価のポイント

公正な人事評価.jpg




ヒント6:[上司に対する発言力を獲得する]
昇進、昇格、異動、昇給、賞与、表彰といった処遇に関しては、中間管理者としての権限に限界があるため、現実的にはなかなか自分の思うような処遇をしてやれない(すなわち、部下の欲求を充足してやれない)ことが少なくありません。しかしながら、そのような場合でも上司に対する発言力を獲得していれば上司を説得することにより上司の権限を使うことが出来ます。すなわち貴方の部下の欲求充足率を高めることが出来るのです。そのためには、上司が自分に期待していることは何か、上司が困っていることで自分が力になれることは無いだろうか、自分が上司の立場だったらどんな部下が欲しいだろうか、そういった観点に立ちながら日常の業務遂行に取り組んで行くことが大切です。そうすることによって、自分の部下の処遇に関して、自分の上司の協力や支援を引き出すことが出来、ひいては自分の部下の承認の欲求に対する充足率を高めることが出来るのです。



3-5.自己実現の欲求

マズローは自己実現の欲求について、「人の自己充足への願望、すなわちその人が潜在的にもっているものを実現しようとする傾向をさしている。この傾向は、よりいっそう自分自身であろうとし、自分がなりうるすべてのものになろうとする願望といえるであろう」と説明しています。小口忠彦訳(1987)。端的な言い方をするならば、「自分の能力を限りなく発揮していきたいという欲求」といって良いでしょう。したがって、この欲求は充たされ切ることの無い、永続的な欲求ということになります。



【経営幹部のための実践ヒント】

ここでは「全社的適材適所」について採り上げてみます。



ヒント1:[全社的適材適所]
経営幹部のための実践ヒントとしては”全社的適材適所”があります。適材適所とは本人の”意欲”と”能力”に合った仕事への配置のことであり、「自己申告制度」や「キャリア支援制度」などをとおして個々の従業員が希望している仕事を把握し、本人の希望を叶えるような配置を行うことです。従業員の意欲と能力に合った仕事への配置は自己実現の欲求を充足させる基点になります。欲求充足のみならず組織貢献にも有効な方策です。

具体的には、定期人事異動の中で実施するのが基本ですが、それ以外にも、社内FA(フリーエージェント)制度といい、希望部署への異動を随時所管部署に申請出来る制度もあります。たとえば、損保ジャパンでは「ドリームチケット制」という名称で、一定の選考基準を満たした社員に対し本人の異動希望を必ず実現する独自の社内FA制度を展開しています。

さらには[職務充実]という方法も有効です。これは職務担当者の意欲と能力を高めるべく職務内容の“質的な改善”を行うことです。たとえば、「宮崎ダイシンキヤノンではベルトコンベアによる流れ作業から、少人数で構成する『セル生産』へと移行し、一人ひとりが自らの技能レベルに応じて多くの工程をこなして製品を組み立てています。各人の工夫と努力は直接、品質の向上へとつながり、作る“喜び”が実感できるうえ、技能向上はセル自体の人数を減らし、他の製品の生産へとつながった、と報告されています。なかでも特にすぐれた技能を身につけ、発揮する社員をキヤノンでは、“優秀技能者(マイスター)”に認定。その最高レベルのS級マイスターは、1,000点以上の部品の組み付けを記憶し、決められた時間内で、一台の製品をひとりで組み立ててしまう達人のなかの達人です」。(宮崎ダイシンキヤノンのHPより)。自己実現の欲求を充足させると共に組織貢献度を高めることの出来る優れた方法の一つと言えるでしょう。


【管理者のための実践ヒント

管理者のための実践ヒントとしても適材適所が大切です。「職場内適材適所」として説明していきます。



ヒント1:[職場内適材適所]
基本的な考え方は[全社的適材適所]と同じです。すなわち、本人の意欲と能力に合った仕事への配置が自己実現の欲求を充足させる基点になります。準備としては、「ヒヤリング」や「自己申告制度」などをとおして個々の部下が望んでいる仕事を把握しておくことが必要になります。そのうえで機会をみて(あるいは機会を作って)その者の望んでいる仕事を担当させるのです。

私事で恐縮ですが、日本能率協会で経営コンサルタントをしていた時期には次から次へとチャレンジングな仕事を任せられ(少々大袈裟ですが)毎日が自己実現の連続、充実した緊張感の中で日々を送っていました。管理者としては、日頃から部下育成を心掛け、チャレンジングな仕事を(思い切って)部下に任せることが出来るようになりたいものです。


[第7回目:文末]■




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▶[第8回目:文頭]



4.三隅の欲求リストと実践ヒント

三隅(1987)は「働くことの目的」について、日本を含む7ヶ国のアンケート調査結果を報告しています。以下においては日本における上位項目に着目して実践のヒントを提示していくことにします。




4-1.職務内容と自己の能力や経験がよく合致していること

【経営幹部のための実践ヒント】

経営幹部のための実践ヒントとしては「全社的適材適所」が効果的です。


ヒント1:[全社的適材適所]
「職務内容と自己の能力や経験がよく合致していること」に対応して、すぐに思い浮かべるのは全社的適材適所ですが、このことについては「自己実現の欲求」のところで述べたばかりですので説明は省略します。


【管理者のための実践ヒント】

管理者のための実践ヒントとしては「職場内適材適所」が効果的です。


ヒント1:[職場内適材適所]
このことについても「自己実現の欲求」のところで述べたばかりですので説明は省略します。





4-2.自律性が高い(自分の仕事のやり方は自分で決められる)こと

【経営幹部のための実践ヒント】

ここでは「事業部制の導入」、「職務権限規定の見直し」、「目標管理の導入」、「小集団活動の導入」および「改善・提案制度の導入」を紹介します。



ヒント1:[事業部制の導入]
やや大上段に構えすぎているかもしれませんが、事業部制の導入は組織全体の自律性を高める有効な一方法になります。もちろん名称や形だけを事業部制にしても効果はありませんが事業部の自律性を高度のレベルで確保した導入・展開は自律性の高い組織風土を創っていく上で大きな効果が期待出来ます。欲求の充足だけではなく組織貢献度も高まります。なお、事業部制というとすぐに大企業をイメージしがちですが、私の経験では従業員数百人の中堅企業でも十分に導入が可能です。


ヒント2:[職務権限規定の見直し]
これは職務権限規定を見直して、決定権を出来る限り組織の下方へ委譲していく方法です。全社的権限委譲と考えても良いでしょう。自律性の欲求充足に有効な方法であり、(委譲された担当者の能力にもよりますが)組織貢献にも有効です。規定の無い中堅・中小企業も多いと思いますが、少しずつ前向きに取り組んでいきたいものです。


ヒント3:[目標管理の導入]
第1章ですでに述べましたが、これは「自己統制を基礎においた、全体目標の連鎖化による、経営管理の一方式」です。そもそもは目標による管理の一方式なのですが”自己統制”を尊重するので業務を担当する本人が主体になって目標設定が行われます。したがって自律性を求める欲求の充足に有効なのです。さらに目標は業務上の目標が中核になりますので自ずと組織貢献度の向上にも繋がります。


ヒント4:[小集団活動の導入]
小集団活動とは「グループによる自主的な改善活動」のことです。「マズローの欲求リストと実践ヒント(その1)」で「所属と愛の欲求」に対応した実践ヒントとして紹介済みですが、自律性の欲求充足にも効果があります。なぜならば、「何を」・「何時までに」・「どのように」改善していくかがその小集団に任されており、職場の問題点を自主的に(つまり自律的に)改善していけるからです。それと共に、業務上の改善活動ですので組織貢献度も高まります。管理者の方々は小集団活動を“お荷物”と考えず、部下の育成や自職場の業務改善に活用したいものです。


ヒント5:[改善・提案制度の導入]
ここでいう「改善・提案制度」とは、職制をとおして改善を実施し、その結果を報告する「改善実施報告制度」と、アイディアの段階で提出することが認められる「提案制度」の両方を意味します。小集団活動と似ていますが個人での活動が主体になります。すなわち、自分の仕事について自分で改善をしていく、会社はそれを支援・表彰する、という制度です。自律性の欲求充足と共に組織貢献にも繋がる有効な制度です。小集団活動と同様、管理者の方々はこの制度を“お荷物”と考えず、部下の育成や自職場の業務改善に活用していただきたいと思います。



【管理者のための実践ヒント】

ここでは「権限委譲」と「参加的意思決定」を採り上げます。


ヒント1:[権限委譲]
管理者のための実践ヒントとしては[権限委譲]が重要です。管理者の責務の原点には「部下を通じて所管する組織の目標を達成すること」があります。組織目標の達成については改めての説明は不要でしょうが、「部下を通して」ということについては少し申し上げたいことがあります。というのも、実務の場面においてはプレイングマネジャーがかなり多く見受けられるからです。本来部下が為すべきルーチン(routine)な仕事に関わっていると結構忙しく、なんとなく仕事をしている感じを得ることが出来るからでしょうか。あるいは、部下の能力不足によってやむを得ずやっているのか、部下に任せてしまうと自分の存在価値が減ずるように思われるのか、理由はいろいろとあるのでしょう。しかし、「部下を通じて組織目標を達成すること」が管理者本来の責務だとするならば、それは決して望ましい状態ではありません。管理者たる者どんどん部下に権限を委譲し、自分は、重要事項の意思決定、自分が担当している組織の将来構想、自分の上司・幹部への提言、さらには突発事項の緊急処理などに時間を割かなければなりません。この[権限委譲]は欲求充足のみならず組織貢献にも大変有効な方法です。大いに活用したいものです。


ヒント2:[参加的意思決定]
自律性の欲求に関しては、意思決定の側面からの検討が必要になってきます。まず「自己決定」が第1です。もし、遂行すべき事柄について本人に自己決定させることが出来るならば、それが一番納得度の高い(自律的な)決定方式になるのは明らかでしょう。そして、第2が「参加的決定」です。第2章の3.「マズローの欲求リストと実践ヒント(その1)」で述べたように、何らかの事情により自己決定が不可能な場合、部下が上司と共同で意思決定出来るならば、それは自己決定に次いで納得度を高めることになります。以下、第3として「説明を伴った指示」、第4として「説明の無い指示」という順になります。

なお、現実的には自己決定に委ねることの出来る状況は希であり「参加的な意思決定」が中核となりますが、松井(1982)は「参加的な目標設定が生産性を高める」との報告をしています。参加的意志決定でも充分なのです。この方法は自律性の欲求を充足させるのみならず組織貢献にも有効です。とくに、重要事項についての参加的意思決定は組織貢献度をいっそう高めることになります。状況が許す限り参加的な意思決定を活用しましょう。





4-3.「給料」がよいこと

【経営幹部のための実践ヒント】

経営幹部のための実践ヒントとしては「業績に応じた賃金制度の導入」と「表彰制度の導入」を採り上げます。


ヒント1:[業績に応じた賃金制度の導入]
給料はさまざまな欲求を満たすことの出来る手段的な要素を持っており、したがって、働く目的を問うた場合には必ずといってよいほど掲げられる欲求項目です。しかしながら、この”給与”は現実的には”原資”が限られており、すべての対象者に要求どおりの支給をするわけにはいきません。したがってこの項目に関する全社的な実践ヒントとしては、業績に応じた支給方式を掲げる、ということになります。すなわち、”原資”の増大に貢献した程度に応じて支給の大きさを決めるという方式です。これは業績に対応させた欲求充足の方法なので当然に組織貢献度も高くなります。ただし、この業績対応型の賃金制度は両刃の剣であり、理念、設計、運用を誤ると組織活性化に逆行することにもなりかねません。他社事例もあくまで参考であり、”自社に相応しい賃金制度”を構築することが肝要です。


ヒント2:[表彰制度の導入]
表彰制度も一つの対応策になるでしょう。なぜならば、表彰制度は通常”金一封”を伴うので(承認の欲求に対する方策になるとともに)金銭的な欲求充足の方策として捉えることが出来るのです。マズローの承認の欲求のところで紹介したように、半期毎に業績にスライドさせた事業部表彰を実施、副賞として数十万円の報奨金を(当該事業部に)支給して社員の士気高揚に効果を上げている中堅企業もあります。業績対応の欲求充足方法なので組織貢献度の向上も期待出来ます。


【管理者のための実践ヒント】

ここでは「公正な人事評価」採り上げます。


ヒント:[公正な人事評価]
管理者のための実践ヒントとしては、「公正な人事評価」を掲げることが出来るでしょう。中間管理者の立場では賃金制度を直接的に変更することは出来ないので、公正な人事評価を行うことにより部下の抱いている”給与”への欲求充足に対応するのです。「やってもやらなくても、どうせ評価に大差は無い」といった職場風土にならないよう、公正な人事評価を心がけたいものです。それにより部下の欲求充足レベルを高めることが出来ると共に組織貢献度を高めることも出来ます。先に掲げた図表-8:[公正な人事評価のポイント]を参照して下さい。





4-4.仕事の継続性・安全性が十分に保証されていること

【経営幹部のための実践ヒント】


ヒント:[長期雇用慣行の維持]
この欲求の充足については「長期雇用慣行の維持」を掲げることが出来ると思います。ただし、このことについては多くの議論があり、ここでそれらを論ずることは出来ませんので、私見の骨子を述べておくにとどめます。

私は、「長期雇用慣行の維持を前提とし、採用方法、社員教育、人事評価制度、昇進・昇格制度、賃金制度などについての改善・改革を図る。さらには、ワークシェアリング(work sharing: 仕事の分かち合い)なども視野に入れておく」、という考え方を持っています。ただし、これは年功序列型の処遇を意味するものではありません。「理不尽な解雇の心配をする必要は無いが、組織貢献度に応じた処遇をする」、という考え方です。


【管理者のための実践ヒント】


ヒント:[部下育成]
管理者としては「部下育成」が大切になります。つまり、自分の部下を「組織に必要とされる人材(人財)に育てる」ということです。そのためには管理者自身の自己啓発も忘れてはなりません。積極的な自己研鑽を心掛けたいものです。なお、「部下育成」については第3章で詳しく説明します。


[第8回目:文末]■





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▶[第9回目:文頭]



5.釼地の欲求リストと実践ヒント

釼地(2003)は中堅・中小企業の従業員約590名を対象としたアンケート調査の結果、50%以上の人が抱いている欲求として(つまり、2人に1人以上が抱いている欲求として)、より多い給与・賞与、職務上の達成感、成果に対応した承認、教育訓練の機会、を報告しています。以下はそれぞれの欲求に対応した実践のヒントです。





5-1.より多い給与・賞与

【経営幹部のための実践ヒント】


この欲求を充足させ、組織貢献を引き出すには「業績に応じた賃金制度の導入」と「表彰制度」が有効ですが、すでに説明済みです。必要に応じて復習して下さい。


ヒント1:[業績に応じた賃金制度の導入]
「業績に応じた賃金制度の導入」についての説明: ▶[当該ブロック]へ


ヒント2:[表彰制度の導入]
「表彰制度の導入」についての説明:▶[当該ブロック]へ



【管理者のための実践ヒント】


管理者のための実践ヒントとしては、すでに紹介した「公正な人事評価」があります。


ヒント1:[公正な人事評価]
復習にあたっては先に掲げた図表-8:[公正な人事評価のポイント]を参照して下さい。





5-2.職務上の達成感

【経営幹部のための実践ヒント】


職務上の達成感を充足させる方法としては、「目標管理の導入」、「プロジェクトチームの活用」、「小集団活動の導入」、「改善・提案活動の実施」、および、「職務充実」を紹介したいと思います。これらの導入・実施は職務上の達成感を充足させるとともに、高い組織貢献を生み出します。すでに紹介・説明済みですが、ここでは“職務上の達成感を充足させる”という観点から説明していきます。


ヒント1:[目標管理の導入]
目標管理(MBO:management by objectives)とは、自己統制を基礎においた、全体目標の連鎖化による経営管理の一方式です。その内、「自己統制」とは自己の目標を自分の納得のもとで設定し、必要とされる権限の委譲を得、経過を自己点検しながら主体的に目標の実現に取り組み、完了時点では自らが評価をする-といったサイクルを意味しています。もちろん実際の運用にあたっては完全な自己統制というのは難しいことですが目標設定から評価までの各ステー ジにおける”参加”の活用により、出来る限り高いレベルの自己統制に近づけようという努力がなされるのです。そして、このような理念を持つ目標管理の実施にあたっては”全力を尽くさなければ達成出来ないレベルの目標設定”が推奨されます。したがって、高度なレベルの目標を自らが主体的に設定していくことになり、その目標の達成時には高い”職務上の達成感”を得ることが可能になるのです。したがって管理者は、このことを念頭におきながら部下の目標設定に助言をしていく必要があります。




ヒント2:[プロジェクトチームの活用]
特定課題を解決するための期限付き混成チームであるプロジェクトチームは通常”挑戦的な課題”に取り組みます。したがって、その課題の解決時(目標達成時)には大きな満足感すなわち職務上の達成感を得ることが出来るのです。「何時でも、何処でも、どんなプロジェクトでも」と言う気はありませんが、プロジェクトチームの活用は(課題解決による組織貢献のみならず)職務上の達成感を実現するためにも有効な方法なのです。


ヒント3:[小集団活動の導入]
小集団活動はグループによる自主的な改善活動ですが、自主的に設定した目標の達成が職務上の達成感をもたらします。第一線現場の問題解決が中心になるので目標管理やプロジェクトチームほどではありませんが組織貢献にも有効です。管理者の方にとっては自職場の改善や部下育成にもなるのですから、良き支援者としての役割を果たして頂きたいと思います。


ヒント4:[改善・提案活動の実施]
「改善・提案制度」は、職制をとおして改善を実施しその結果を報告する「改善実施報告制度」とアイディアの段階で提出することが認められる「提案制度」の両方を意味しています。小集団活動と似ていますが個人での活動が主体になります。すなわち、自分の仕事について自分で改善をしていく、会社はそれを支援・表彰する、という制度です。自らが主人公になって自分の業務改善が出来るので、職務上の達成感をもたらすのみならず組織貢献にも繋がる有効な方法になります。


【管理者のための実践ヒント】


管理者のための実践ヒントとしては、「容易には達成できない目標にする」、「目標への納得度を高める」、「報酬を組み込む」を採りあげます。これらもすでに紹介・説明済みですが、ここでは“職務上の達成感を充足させる”という観点から説明していきます。


ヒント1:[容易には達成出来ない目標にする]
本人の(その仕事に対する)能力との関係において、容易には達成できない目標設定をすることが肝要です。易しすぎれば達成感は味わえないですし、極端に難しすぎれば始めから諦めてしまうからです。私は、その仕事について、その担当者の意欲と能力を勘案しながら、”頑張ればなんとか達成出来る”という水準に目標設定することが望ましいと考えていますし、そのように現場指導をしてきました。そうすることにより、目標が達成された時には組織貢献が実現し職務上の達成感を得ることも出来るのです。



ヒント2:[目標への納得度を高める]
前項で述べたように、目標は本人の(その仕事に対する)能力との関係において、容易には達成できないレベルで設定することが必要ですが、その際、目標への納得度が高ければ職務上の達成感はいっそう高まります。復習になりますが、第1に望ましいのは「自己決定」で、第2が「参加的決定」、第3が「説明を伴った指示」、そして第4が「説明の無い指示」という順になります。“指示”の場合には十分な説明が肝要です。


ヒント3:[報酬を組み込む]
「自分の納得した、容易には達成できない目標」に「報酬」を組み合わせると、いっそう効果的です。すなわち、“自分の納得した、容易には達成できない目標”を達成した時に“満足できる報酬”を手にすることが出来るならば、職務上の達成感はさらに高まるということです。管理者としては部下に対する「公正な人事評価」が中核となります。必要に応じて図表-8を復習して下さい。




5-3.成果に対応した承認

この欲求を満たす方法については[3.マズローの欲求リストと実践のヒント(その2)>3-4.承認の欲求]で詳しく説明しました。ここではその項目のみを再度掲げておきます。

【経営幹部のための実践ヒント】


ヒント1:[業績主義人事制度の導入]

ヒント2:[表彰制度の創設・活用]

【管理者のための実践ヒント】


ヒント1:[一言でも良いから労をねぎらう]

ヒント2:[部下の言動の中から意識的に誉める処を探す]

ヒント3:[職場単位の表彰制度を導入する]

ヒント4:[競争環境の構築]

ヒント5:[公正な人事評価をする]

ヒント6:[上司に対する発言力を獲得する]




5-4.教育訓練の機会

【経営幹部のための実践ヒント】


”教育訓練”に関する経営幹部対象の(すなわち全社的な)実践ヒントとしては「教育体系の整備」と「OJT(職場内訓練)の実施」を採り上げます。


ヒント1:[教育体系の整備]
教育体系は、大企業ではかなり整備されていますが中堅・中小企業においてはまだまだ不十分です。理由はさまざまですが専門の教育担当部署が無かったり、予算不足や時間不足が主要な障害になっているようです。そこで私は、中堅・中小企業の教育体系として[公的研修機関の活用]+[OJT]+[通信教育]を勧めています。と言うのも、教育訓練の基本的な体系を階層別教育と職能別教育および自己啓発とした場合、階層別教育は公的研修機関の活用で、職能別教育はOJTで、自己啓発は通信教育で行うことが出来るからです。しかもこれらの組み合わせは費用的・時間的に負担が少なくて済みます。詳細は第3章[部下育成]のところで説明します。


ヒント2:[OJT(職場内訓練)の実施]
OJTとはOn the Job Training の略であり、通常は”職場内訓練”と訳されています。「仕事の場において仕事そのものについて、実施計画を作成した上で教える教育訓練方式」のことです。教育訓練に対する欲求を充足させるだけではなく組織貢献度の向上にも有効です。詳細は第3章[部下育成]のところで説明します。


【管理者のための実践ヒント】


“教育訓練の機会が欲しい”という欲求に対する、管理者のための実践ヒントとしては、「OJTによる部下指導」と「その都度教育訓練」を採り上げます。


ヒント1:[OJTによる部下指導]
会社がOJTを導入すると管理者はその指導者になります。たとえば、あらかじめ作成したOJT計画に従い、工場の生産現場で先輩が後輩に作業をしながら機械操作を教えるとか、先輩営業マンが新人営業マンに実際のセールス活動を行いながら応酬話法を教えるといった教育訓練のことです。自社のOJTシステムを活用した熱心な部下指導が望まれます。OJTの詳細は第3章[部下育成]のところで説明します。


ヒント2:[その都度教育訓練による部下指導]
管理者は、会社がOJTを導入するとその指導者となるわけですが、それと同時に日常の業務遂行の中で気づいたことを(教育訓練計画無しに)その都度教えていくことが必要になります。それが「その都度教育訓練」です。教育訓練機会への欲求を充足させると共に組織貢献度を高めることの出来る大変有効な方法になります。詳細は第3章[部下育成]のところで説明します。



[第9回目:文末]■





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▶[第10回目:文頭]



6.部下の欲求を知る方法

ここまでは、マズロー、三隅、釼地の欲求リストをもとにして、それぞれの欲求を充足させるための実践ヒントを提示してきましたが、以下においては個々の状況に対応する方法に触れていきたいと思います。すなわち、ある経営幹部が“自社の従業員の欲求”に対応した方策を採るにはどうしたら良いか、ある管理者が“自分の部下の欲求”に対応した方策を採るにはどうしたら良いか、という問いへの回答です。

ここまでに紹介してきた欲求、すなわち、収入を増やしたい、努力や成果を認めて欲しい、好きな仕事を担当したい、達成感が欲しい、自分の能力を高めたい、自分で決めたい、決定に参加したいといった欲求は、かなり共通性の高い欲求として取り扱っていくことが出来ます。しかし、個々の経営幹部や管理者の人たちが自分の会社の従業や自分の部下の欲求を知ることが出来れば、より的を得た欲求充足の方法を選択あるいは創出出来るわけです。つまり、自社の従業員や自分の部下の欲求充足と組織貢献を、より高いレベルで実現させる方法を見つけることが可能になります。


【経営幹部のための実践ヒント】

経営幹部のための実践ヒントとしては「従業員意識調査」、「自己申告制度」などを紹介します。


ヒント1:[従業員意識調査の実施]
従業員意識調査とは自社の従業員を対象にしたアンケート調査ですが、その質問項目の中に「欲求調査項目」を織り込みます。ただし、回収後の扱いを十分に検討してから実施しなければいけません。なぜならば、無記名方式にせよ、記名方式にせよ、回答者は自分の書いた希望や要望の実現を期待して待っているからです。あらかじめ調査票に「希望・要望については前向に取り組むが実現を約束するものではない」といった趣旨の断りを付けておくのも一つの方法です。


ヒント2:[自己申告制度の導入]
自己申告制度は「自己申告書」というフォームを使用し自社従業員の希望・要望などについての情報を得る方法です。ただし、従業員意識調査と同様に回収後の扱いを十分に検討してから実施しなければいけません。自己申告書は記名式ですので、会社・上司からの丁寧なフィードバックも必要になります。

ヒント3:[企業としての欲求充足能力の向上]
これまでの説明でお分かり頂けたことと思いますが、動機づけの基点が従業員の欲求にあるとすれば、企業は多種多様な欲求充足方法を獲得(用意)していかなければなりません。多様な欲求充足の方法を準備出来れば出来るほど、多様な人材を採用し、生き生きと働いてもらえるのです


【管理者のための実践ヒント】

管理者の方々には「ヒヤリング」を勧めます。



ヒント1:[ヒヤリングの実施]
これは管理者が自分の部下と面談し、部下の希望や要望など必要な情報を(個人単位で)入手しようとするものです。その要点は図表-9に掲げておきましたので参考にして下さい。


図表-9 ヒヤリングのポイント

ヒヤリングのポイント.jpg




ヒント2:[場合によっては説得が必要]
自分の部下が抱いている欲求を管理者として充足させることが出来ない場合には「説得」が必要になります。つまり、管理者として充足させることの出来ないその欲求を、充足させることが出来る欲求(しかも、本人が望む欲求)に変えていくことが必要になります。なかなかに簡単なことではありませんが避けて通るわけにはいきません。さもなければ、部下が仕事意欲を高めることはないでしょう。


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7.「動機づけ」の実践ヒント(一覧表)


以下には、ここまでに紹介した実践ヒントをチェックリスト風に総括しておきます。時々セルフチェックをして頂きたいとの思いからです。縮小して手帳などに挟み込んで活用することも出来るのではないでしょうか。



<<マズローの欲求リストと実践のヒント>>

<所属と愛の欲求>

【経営幹部のための実践ヒント】
ヒント1:[全社的親睦行事の実施]
ヒント2:[全社目標の共有化(参加型の目標設定)]
ヒント3:[プロジェクトチームの活用]
ヒント4:[小集団活動の活用]


【管理者のための実践ヒント】
ヒント1:[職場単位の親睦行事の実施]
ヒント2:[発言のしやすい参加型の会議運営]
ヒント3:[職場目標の共有化(参加型の目標設定)]



<承認の欲求>

【経営幹部のための実践ヒント
ヒント1:[業績主義人事制度の導入]
ヒント2:[表彰制度の創設・活用]


【管理者のための実践ヒント】
ヒント1:[一言でも良いから労をねぎらう]
ヒント2:[部下の言動の中から意識的に誉める処を探す]
ヒント3:[職場単位の表彰制度を導入する]
ヒント4:[競争環境の構築]
ヒント5:[公正な人事評価をする]
ヒント6:[上司に対する発言力を獲得する]


<自己実現の欲求>

【経営幹部のための実践ヒント】
ヒント1:[全社的適材適所]


【管理者のための実践ヒント】
ヒント1:[職場内適材適所]


<<三隅の欲求リストと実践のヒント>>

<職務内容と自己の能力や経験がよく合致していること>

【経営幹部のための実践ヒント】
ヒント1:[全社的適材適所]


【管理者のための実践ヒント】
ヒント1:[職場内適材適所]



<自律性が高い(自分の仕事のやり方は自分で決められる)こと>

【経営幹部のための実践ヒント】
ヒント1:[事業部制の導入]
ヒント2:[職務権限規定の見直し]
ヒント3:[目標管理の導入]
ヒント4:[小集団活動の導入]
ヒント5:[改善・提案制度の導入]


【管理者のための実践ヒント】
ヒント1:[権限委譲]
ヒント2:[参加的意思決定]



<「給料」がよいこと>

【経営幹部のための実践ヒント】
ヒント1:[業績に応じた賃金制度の導入]
ヒント2:[表彰制度の導入]


【管理者のための実践ヒント】
ヒント1:[公正な人事評価]



<仕事の継続性・安全性が十分に保証されていること>

【経営幹部のための実践ヒント】
ヒント:[長期雇用慣行の維持]


【管理者のための実践ヒント】
ヒント:[部下育成]





<<釼地の欲求リストと実践のヒント>>

<より多い給与・賞与>

【経営幹部のための実践ヒント】
ヒント1:[業績に応じた賃金制度の導入]
ヒント2:[表彰制度の導入]


【管理者のための実践ヒント】
ヒント1:[公正な人事評価]



<職務上の達成感>

【経営幹部のための実践ヒント】
ヒント1:[目標管理の導入]
ヒント2:[プロジェクトチームの活用]
ヒント3:[小集団活動の導入]
ヒント4:[改善・提案活動の実施]


【管理者のための実践ヒント】
ヒント1:[容易には達成出来ない目標にする]
ヒント2:[目標への納得度を高める]
ヒント3:[報酬を組み込む]



<成果に対応した承認>

【経営幹部のための実践ヒント】
ヒント1:[業績主義人事制度の導入]
ヒント2:[表彰制度の創設・活用]


【管理者のための実践ヒント】
ヒント1:[一言でも良いから労をねぎらう]
ヒント2:[部下の言動の中から意識的に誉める処を探す]
ヒント3:[職場単位の表彰制度を導入する]
ヒント4:[競争環境の構築]
ヒント5:[公正な人事評価をする]
ヒント6:[上司に対する発言力を獲得する]



<教育訓練の機会>

【経営幹部のための実践ヒント】
ヒント1:[教育体系の整備]
ヒント2:[OJT(職場内訓練)の実施]


【管理者のための実践ヒント】
ヒント1:[OJTによる部下指導]
ヒント1:[その都度教育訓練による部下指導]




<<従業員・部下の欲求を知る方法>>

【経営幹部のための実践ヒント】
ヒント1:[従業員意識調査の実施]
ヒント2:[自己申告制度の導入]
ヒント3:[企業としての欲求充足能力の向上]


【管理者のための実践ヒント】
ヒント1:[ヒヤリングの実施]
ヒント2:[場合によっては説得が必要]

[第10回目:文末]■






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連載講座>組織活性化と管理者の役割:目次


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プロローグ

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本題に入る前の準備です。内容は以下のとおりです。本講座の構成、管理者・組織・組織活性化の意味、6つの役割の抽出、6つの役割の体系化、統合モデルの提示、統合モデルの総括的説明、管理者の役割(自己評価チェックリスト)。

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第1章 目標設定

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「目標設定」の役割について理論と実践ヒントの両面から説明します。内容は以下のとおりです。「目標設定」を管理者の役割とした理論的根拠、経営幹部のための実践ヒント、管理者のための実践ヒント、「目標設定」の実践ヒント(一覧表)。 

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第2章 動機づけ

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「動機づけ」の役割について理論と実践ヒントの両面から説明します。内容は以下のとおりです。動機づけのメカニズム、「動機づけ」を管理者の役割とした理論的根拠、マズローの欲求リストと実践ヒント、三隅の欲求リストと実践ヒント、釼地の欲求リストと実践ヒント、部下の欲求を知る方法、「動機づけ」の実践ヒント(一覧表)。

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第3章 部下育成

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「部下育成」の役割について理論と実践ヒントの両面から説明します。内容は以下のとおりです。「部下育成」を管理者の役割とした理論的根拠、経営幹部のための実践ヒント、管理者のための実践ヒント、学習意欲の研究、「部下育成」の実践ヒント(一覧表)。

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第4章 問題解決

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「問題解決」について理論と実践ヒントの両面から説明します。内容は以下のとおりです。「問題解決」を管理者の役割とした理論的根拠、「問題」とは、経営幹部のための実践ヒント、管理者のための実践ヒント、「問題解決」の実践ヒント(一覧表)。

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第5章 報酬

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「報酬」について理論と実践ヒントの両面から説明します。内容は以下のとおりです。「報酬」を管理者の役割とした理論的根拠、従業員・部下の欲求の確認、業務目標と報酬の結びつけ、従業員・部下への支援、目標達成と報酬の獲得、「欲求充足の報酬化」を多様化する、「報酬」の実践ヒント(一覧表)。

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第6章 コミュニケーション

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「コミュニケーション」について理論と実践ヒントの両面から説明します。内容は以下のとおりです。「コミュニケーション」を管理者の役割とした理論的根拠、経営幹部のための実践ヒント、管理者のための実践ヒント、「コミュニケーション」の実践ヒント(一覧表)。

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引用・参考資料/更新記録

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・釼地邦秀(2006) 『組織活性化と経営管理者の役割』 白桃書房。
・その他。

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