自己啓発支援センター(R)
Self-Development Support Center



☆ライフプランから始める本気の自己啓発を支援します☆


所長 釼地邦秀
Kenchi, Kunihide



サイトの利用案内
(1) このサイトは各自の責任において御利用下さい。当方は一切の責任を負いません。
(2) このサイトの利用にあたっては著作権法などの関連法規を遵守し て下さい。
(3) ささやかなサイトではありますが自己啓発の一助になれば幸いです。  

開設(2014年6月22日)


三日坊主の対策

IMG_0470.JPG


~自己動機づけの方法~


【はじめに】

このページでは三日坊主の対策を多数紹介します。私が自ら体験したものばかりです。自己啓発に関連づけて「三日坊主の対策」としましたが、自己啓発以外の場面でも役に立つと思います。その意味で「自己動機づけの方法」という副題を添えました。自分で自分をやる気にさせる、自分のモチベーションを高める、自分のやる気のスイッチを入れたい時に活用して頂ければ幸いです。

なお、何によって動機づけられるかは人によって異なります。また、同じ人でもさまざまな影響因によって(刻々と)変化しますですので、現在の自分に合いそうな方法を見つけて下さい。複数選んでも良いのです。大切なことは自分自身の取り組み意欲を高めるヒント(切っ掛け)を発見することです。

なお、掲載されたヒントについては、あなた自身の判断で取捨選択のうえ活用してください。当方は一切の責任を負いません。

クローバ.pngクローバ.pngクローバ.png


hyoushi.jpg

拙著『自分のやる気を高める目標を見つけよう!』
LinkIcon[内容紹介]へ



yaruki_hyousi.jpg

拙著『人生目標を見つけて自分のやる気を高めよう』
LinkIcon[内容紹介]へ






【目次】

*順不同です。掲載の順番に特別の意味はありません。



【項目1-5】 ▶[本文]へ

[1]「メメント・モリ」を思い出す
[2]人生は一度切り
[3]天命の下(もと)で人事を尽くす
[4]人生目的・人生目標・自己啓発目標の関係を思い起こす
[5]「実現可能性」のチェックを忘れない。



【項目6-10】 ▶[本文]へ

[6]決めたら実行。実行無ければ成果無し
[7]時間不足対策のヒント
[8]ポジティブ思考 
[9]自己動機づけのための「シンボル」を活用する
[10]目標を達成した時の自分をイメージしてみる



【項目11-15】 ▶[本文]へ

[11]出来たことに意識を向ける
[12]自己動機づけになる本を読む、映像を観る、音声を聞く
[13]自分を励ます言葉を持つ
[14]自分で自分にご褒美を
[15]ほんの少しで良いからやってみよう



【項目16-20】 ▶[本文]へ

[16]1回の取り組み時間を短くして、取り組み回数を増やす
[17]小刻みに期限(時限)を設定する
[18]「明日頑張ろう」ではなく、少しでも取り組んで明日につなげる
[19]復習だけでも良いから毎日取り組む
[20]切り替え上手になる



【項目21-25】 ▶[本文]へ

[21]「このまま行ったらどうなるか?」と考えてみる
[22]一歩ずつ前に、一歩だけでも前に
[23]勉強は、次に始めやすい状態にして終える
[24]身心の健康維持
[25]毎日、その日一日を振り返り、翌日の計画を確認する




【項目26-30】 ▶[本文]へ

[26]自己啓発のルーチン化を心がける
[27]自己啓発にあてる日時を一定にする
[28]何もしないで、ほっておく
[29]「杖ことば」を持とう
[30]原点に還る、初心に還る



【三日坊主対策の総括】 ▶[本文]へ

【三日坊主の意味】 ▶[本文]へ

【引用・参考資料/更新記録】 ▶[本文]へ


クローバ.pngクローバ.pngクローバ.png




【項目1-5】

[1]「メメント・モリ」を思い出す
メメント・モリ(memento mori)とはラテン語で「死を想え」という意味です。この言葉は、ペストが蔓延し、生が刹那的・享楽的になった中世末期のヨーロッパで盛んに使われたラテン語の宗教用語です。

*田辺元(昭和39年) 『メメント・モリ」 『田辺元全集』(第13巻) 筑摩書房 pp.163-175. および、藤原新也(2008) 『メメント・モリ』 三五館 序. 

私にとってはこれが一番の原動力、エネルギーの源になっています。具体的には、無常を説いた般若心経を読誦し、坐禅を組み、年末には遺書を書いています。そうすると「死を想いつつ、精一杯生きる」という気持ちが湧いてくるのです。死あるいは空(くう)を思うことによってライフプラン(人生目的+人生目標)や自己啓発プランについても真剣に考えるようになります。私の三日坊主対策の大前提になっているのです。本気で自己啓発に取り組もうというのであれば「メメント・モリ」を避けては通れないと思っています。


■以下には著名人の事例を紹介しておきます。

(1)
日本IBM・常務取締役の経験を持つ井上富雄氏は新聞に掲載された有名人の死亡告知記事を切り取ってスクラップ・ブックをつくり、折に触れてそれに目を通し人生意識(精一杯生きようという意識)を呼び起こしたと記しています。井上富雄(1994) 『人生設計・ライフワークの原理・原則』 総合法令 pp.51-52.

(2)
土光敏夫氏は毎日、早朝と就寝の前に法華経を読誦(どくじゅ)していました。土光敏夫(2009) 『土光敏夫 信念の言葉』 PHP研究所 p.26.

(3)
ネスレ日本社長兼CEOの高岡浩三氏は父親も祖父も42歳で亡くなったので自分も42歳で死ぬと覚悟を決め、人生を逆算して生きてきたと述べています。高岡浩三(2013) 『逆算力』 日経BP社 「はじめに」より.


■念のために、私の取り組み方を補足しておきます。

私は「五薀皆空(ごうんかいくう)、桜花たるべし」と手帳に書き込んであります。「心身はすべて空なのだから、桜の花のように精一杯生きよう!」という意味で使っています。1日1回はそれを見ます。「五薀皆空」は代表的な仏教経典である般若心経に書かれている言葉です。さらに、就寝前には般若心経を読誦したあとに坐禅をします。そのうえで明日の予定を思い浮かべながら床に就くのです。そうすると気持ちの整理がつき明日への希望が湧いてきます。年末には遺書も書きますが、書き終わると新年に向けての新たな意欲が湧いてきます。

私は実在したゴータマ・シッダッタという人間が説いた教え(仏教)を宗教哲学的な観点から捉え、人生を歩んでいくための拠り所としています。私の人生観や人生目的の根底を支えている大切な拠り所です。ゴータマ・シッダッタ(Gotama Siddhattha)とは古代インドの言語(パーリ語)による釈迦の姓名です(ゴータマが姓、シッダッタが名)。中村元(2007) 『中村元選集(決定版) 第11巻 ゴータマ・ブッダⅠ』 春秋社 p.85.



[2]人生は一度切り
人生は一度切りと思えば、人生目的・人生目標に整合した自己啓発にも真剣になります。

(1)
山本有三氏は次のように言っています。「たったひとりしかない自分を、たった一度しかない一生を、ほんとうにかゞやかし出さなかったら、人間、うまれてきたかいがないじゃないか」。山本有三(1962) 『路傍の石』 新潮社 p.122.

(2)
土光敏夫氏は次のように言っています。「人間は宇宙の原理で生まれてくるわけだから、生まれてきた以上、各自がこの自分の一生をどう生きるかを真剣に考えるべきだろう。このことだけはいっておきたい。自分の一生だもの、二回ないんだからね」。土光敏夫(2009) 新装版 『土光敏夫 信念の言葉』 PHP研究所 p.17.



[3]天命の下(もと)で人事を尽くす
「ひとの生(しょう)をうるはかたく、やがて死すべきものの、いま命あるはありがたし。ただ今日、まさに作(な)すべきことを熱心になせ。天命の下(もと)で人事を尽くし、人事を尽くして天命を待つ」。私は経営学研究科の出身ですが、伝統寺院で修行をし、仏教系の大学院でも学びました。その結果、空観(くうがん)を是(ぜ)とするに至った次第です。そのうえで、この言葉を人生の指針にしています。


【付記】

(1)
「ひとの生(しょう)をうるはかたく、やがて死すべきものの、いま生命(いのち)あるはありがたし」は『法句経(ほっくきょう)』にある偈(げ)です。「偈」とは仏教の真理を詩句の形で述べたものです。友松圓諦(2005) 『法句経』 講談社 p.125.および、中村元(訳)(1999) 『ブッダの真理のことば感興のことば』 岩波書店 p.36.

(2)
「ただ今日、まさに作(な)すべきことを熱心になせ」は『中部経典(一夜賢者経)』にある偈(げ)です。増谷文雄(2005) 『仏教百話』 ちくま書房 pp.202-203.

(3)
「人事を尽くして天命を待つ」は胡寅(こいん)という人の書いた『読史管見(とくしかんけん)』にある言葉です。「座右の銘」研究会編(2011) 『名言』 里文出版 p.81.





[4]人生目的・人生目標・自己啓発目標の関係を思い起こす
このサイトでは、ライフプラン(人生目的+人生目標)に整合性を持たせて自己啓発プラン(自己啓発目標+実行計画)を設計するよう勧めています。つまり、人生目的→人生目標→自己啓発目標→実行計画→実行という展開になるわけです。したがって、コーナー「自己啓発の進め方」に取り組んだ方は「人生目的」を定め、それに整合性を持たせて「人生目標」を決め、さらにその「人生目標」に整合性を持たせて「自己啓発目標」を決めたと思います。その自己啓発目標が人生目標・人生目的につながっていることを思い起こして自己啓発に取り組んで欲しいのです。そうするときっと自分自身を継続的に動機づけることが出来ます。あなたの自己啓発目標は、あなたのライフプランの重要な構成要素になっているのです。



【付記】

(1)
「継続的なやる気」を確保するためにはライフプラン(人生目的・人生目標)が必要です。そのことを忘れないようにして下さい。まだライフプランを創っていない方はコーナー[自己啓発の進め方]>第3章[ライフプラン]を御覧下さい。

(2)
拙著『ライフプランから始める本気の自己啓発』も役に立つと思います。

IMG_0118.JPG[▶内容紹介]へ



[5]「実現可能性」のチェックを忘れない
必ずシミュレーションをする、ということです。シミュレーション(simulation)とは模擬実験のことです。このサイトでは「実際の取り組みの前に(すなわち意思決定の段階で)、実行のプロセスを想定しながら、起こりそうな問題をあらかじめ予想し、その対策を考えておくこと」、という意味で使用しています。たとえば、どの段階でどの位の費用が必要になるか、自己啓発に充当した時間は現実的に可能なものになっているか、会社の繁忙期と重なる時期の計画に無理はないかなど、取り組みの手順に従ってあらかじめ確認するのです。そして問題が予想されたら、事前の対策を講じたり、問題が起きた場合の対応策をあらかじめ考えておきます。シミュレーションは「転ばぬ先の杖」、目標達成確率を高めるためには欠かせない作業です必要に応じて[自己啓発の進め方>第2章:意思決定>意思決定のポイント-4c:必ずシミュレーションをしてみる]を参照して下さい。




クローバ.png
LinkIconpage top



クローバ.png
▶ 「自己啓発の進め方」へ







【項目6-10】

[6]決めたら実行。実行無ければ成果無し
計画は実行するために創るものです。実行しない計画では意味がありません。一日に一回は「実行計画表」を見て進度チェックをしましょう。その作業が自己動機づけになります。

付箋紙に「実行無ければ結果無し」と書いて手帳に貼っておくのも有効です。手帳を開くたびに目に入ってくるからです。可能であれば、その時に声に出して読み上げます。(お呪いのように)黙読しても良いです。そうすると一日に何回も意識付けをすることが出来ます。



[7]時間不足対策のヒント
時間不足の原因がはっきりしていない状態を仮定して考えていきます

(1)
まずは「現状の把握」が必要です。時間をどう使っているかのデータを取るのです。いろいろな設定がありますので、状況に応じた測定方法を決めて下さい。少なくとも、データをとる期間(1週間? 半月? 1ヶ月? 3ヶ月?)と、データを取る単位(10分単位? 15分単位? 30分単位? 1時間単位?)を決めなければなりません。そのうえで「何時から何時まで何をしていたか」を記録するのです。使いやすいアプリがあれば、それらを活用してもよいでしょう。

(2)
次は「新たに自己啓発の時間に取り込めそうな部分」を選び出します。「それを止めることが出来ないか」、「それに費やしている時間を減らすことは出来ないか」、「それを他人にやって貰うことは出来ないか」と、多面的に検討していきます。そして振替可能となった部分を自己啓発の時間に追加するのです。時には、「時間をお金で買う」という方法も使えます。つまり、自分でやっていたことを有償で他人に頼むのです。ベビーシッターを頼む、代行業者に依頼するといったように、現在ではさまざまな支援を活用することが出来ます。費用が掛かるので状況に対応させながら上手に活用します。

(3)
もし、自己啓発への追加時間を捻出出来なかったら、現在の持ち時間が与件になります。対策としては、その持ち時間の中で如何に効率的な学習をするか、その方法を考えていくことになります。それでも学習時間が足りないのであれば取り組み期間を延長するしかありません。たとえば、1年計画を1.5年計画にするのです。大切なことは、取り組み期間を延長してでも自己啓発への取り組みを諦めないことです。私の経験談ですが、英語のヒヤリング教材を1,000時間聞くことにした時、(どうしても時間を捻出出来なかったので)1年ではなく2年の取り組み期間にしました。そして2年間で目標を達成しました。熟慮・検討した結果の与件であるならば、それに囚われるのは生産的ではありません。なぜならば、どうしようもないことは、どうしようもないからです。 それよりも、その与件の中で取り組み可能なことを探すことが大切です。諦めてしまうよりはずっと良いのです



[8]ポジティブ思考
否定的な言葉を使わないようにします。たとえば、「出来ない」と言わないで「何か方法があるはずだ」と考えます。「最善策が無理なら次善の策を探そう」と考えるのです。雨が降ってきたら「うっとうしくて嫌だ...」と考えずに「草木の緑が綺麗に見える」と考えます。どんなことにもプラスの面とマイナスの面があります。理性的にプラスの面に意識を向けると言うことです。単純な楽観主義とは違います。時にはマイナス面しか見ることが出来ないシリアスな場面もあるでしょうが出来る限りポジティブに解釈したいものです。



[9]自己動機づけのための「シンボル」を活用する
つねに身の回りに自己啓発目標をちらつかせておく方法です。簡単で、楽しくて、とても効果があります。いろいろな方法がありますが私自身が取り入れている方法をいくつか紹介します。

2014年の5月現在、私はこの「ホームページの開設」を目標にしていますが、HP開設のためのに購入したソフトのパッケージ(空箱)を仕掛かり棚に置いてあります。私は椅子に坐ったままで手の届く処(したがって目に付く処)に仕掛かりの仕事をおく棚を設けてあります。そこにパッケージを置いているのです。そうすると一日に何回となく目にすることになります。見るたびに「決めた日までに開設しよう!」と思います。

話を続けます。皆さんには笑われそうですが、中小企業診断士になるための受験勉強をしていた頃の話です。先輩が持っていた中小企業診断士のバッジをコピーさせてもらい、切り抜いて紙のバッジを作り手帳に貼っていました。手帳を開く度に目に入ってくるので自己動機づけにはとても効果がありました。

また、工夫と努力をして目標を達成した有名人の写真をインターネットで探し、パソコンの壁紙にしていたこともあります。パソコンを起動する度にその人が現れ、「お前も頑張れ!」と言うのです(そのように感じていました)。デジタルフォトフレームや携帯電話の待ち受け画面を活用しても良いと思います。自分なりのやり方を考案して下さい。そうすることによってあなたに合った自己動機づけが可能になります。作っている時も楽しいですよ! あなたの「決意表明」や「実行計画表」を壁に貼ったり、縮小して手帳に挟み込んでおくのも有効な方法です。



[10]目標を達成した時の自分をイメージしてみる
自分が立てた実行計画表を見ながら、目標が実現した状態をイメージするのです。中間目標を達成した時をイメージしても良いです。私事ですが、中小企業診断士の受験勉強をしていた頃には良くこれをやっていました。背広の襟に中小企業診断士のバッジを付けてセミナー講師をしている自分をたびたびイメージしたものです。「人は、なりたいと思っている自分になれる」といった表現に出会うことがありますが、心底からなりたいと思えば、自然に工夫と努力をするようになり、その結果、実現確率が高まるからです。私の場合には、20代(学部3年の時)から大学教授になりたいと思い始め、30代からは心底「大学の教員になりたい!」と思うようになりました。そして(教室で講義をしている自分をイメージしながら)工夫と努力を重ねた結果、37歳で大学院に正規入学し、42歳ではじめて短大の教員になったのです。博士の学位を取得したのは57歳、実践女子大学に移籍したのは60歳の時でした。長い年月をかけた回り道でしたが、「なりたいと思っていた自分」になれたわけです。もちろん、将来の自己像をイメージしたり工夫と努力をしても、なりたい自分になれないことがあるでしょう。でも、イメージした方が、イメージしないより、目標達成の確率は高まるのです。自分自身の意識が変わり行動が変わるからです。



クローバ.png
LinkIconpage top


クローバ.png
▶ 「自己啓発の進め方」へ









【項目11-15】

[11]出来たことに意識を向ける
ポジティブ思考に重なりますが、出来なかったことではなくて”出来たこと”に意識を向けましょう。それによって達成感を(再度)味わうことが出来、自己啓発への取り組み意欲を高めることが出来ます。ただし、「失敗に目をつむれ」ということではありません。失敗については、その原因を冷静に分析して必要な対策を取らなければなりません。申し上げたいのは、いつまでも失敗に引きずられないで欲しい、ということです。原因分析をし、対策を取ったならば、可能な限り意識を切り替えて欲しいということです。その場合にも、過去に成し遂げたこと(出来たこと)を想起すれば自信が蘇り、より早く切り替えが出来るでしょう。自己啓発に関することだけでなく、過去の出来事すべてを対象にして、「出来たこと、成し遂げたこと」を想起するのです。小さな達成や成功でも良いのです。私はしょっちゅうやっていますが、いつも元気が出てきます。



[12]自己動機づけになる本を読む、映像を観る、音声を聞く
自己動機づけになる本は沢山あります。書店やインターネットで調べてみましょう。自伝や経験談や歴史ものなど、ジャンルは問いません。自分自身の動機づけになりそうな本は(出来るだけ)気がついたその時点で入手しておいた方が良いです。私はそうしています。本代にお金を使うので他の出費を控えています。そうまでするのは、必要な時に必要な本が手元に無ければとても不便だからです。手に入るまでに日数がかかると、読もうとする気持ちが萎えてしまうのです。本と同様に映像や音声も役に立ちます。私が繰り返し観ている映像は高倉健(主演)、森谷司郎(監督)の『海峡』です。青函トンネルの開通に執念を燃やした男達を描いた映画ですが、何度観ても感動し目標達成意欲が蘇ってきます。NHKのテレビ番組「プロフェッショナル・仕事の流儀」も録画保存しています。その他、音声(CD講演録)を聞いたり、インターネットで元気の出そうな情報を探すこともよくあります。



[13]自分を励ます言葉を持つ
自分を励ます語呂の良い言葉を創っておき、なるべく声に出して言うのです。読者に笑われそうですが、私は結構やっています。最近、私が口にしている言葉を3つ4つ紹介しておきます。

(1)
「元気だしてゆこう♪ 日本(にっぽん)男児でゆこう♪」。これは河島英五の持ち歌です。歌詞の順序は入れ替えてあります。この一節だけを何回か繰り返して歌うのです。そうすると元気が出ます!

(2)
「雑念無用!執筆専念!」。これはメロディー無しです。数回繰り返すと集中力が蘇ってきます。この原稿を書いている現在も時々唱えています。私には「効果あり」です。

(3)
「よし!」。何かを完了した時や幸運に出会った時に言います。小さなことでも一段落ついたら言うようにしています。ちょっとした幸運に出会った時も同じです。時には両手の親指をたてて拳を握りながら言うこともあります(親指の腹は自分に向けます)。たんなるおまじないですが気持ちが前向きになります。先々も上手く行きそうな気持ちになるのです。朝の洗面が終わったあとに鏡を見ながらやることもあります。

(4)
「I can do it !」。この言葉を口にすると、「やれば出来る! きっと出来る!」といった気持ちになります。

(5)
ページ「私の杖ことば」も参照して下さい。▶[私の杖ことば]



[14]自分で自分にご褒美を
自己啓発は基本的に自分一人の営みです。したがって、目標の探索・決定からその結果を得るまで自己統制(self-control)を中核として進めることになります。もちろん、随所で他の人の支援を得ることが必要になるでしょうが、自己啓発というのですから原点・中核は自分自身でしょう。とすると、取り組み意欲の向上も自分が主体となって行うべきです。「自己動機づけ(self-motivation)」が肝心なのです。たとえば、「中間目標を達成したら...」、「最終目標を達成したら...」というように、自分で褒美を用意しておくのです。人からの褒美も嬉しいことですが、それは当てには出来ません。しかし、自分で自分に褒美をあげるのは100%実行可能なのです。しかも他人を当てにしないので、とてもすがすがしい思いで受け取ることが出来ます。自己動機づけのために、私はこの方法を最大限に使っています。次の目標へのスプリングボード(springboard)にもなります。小さな中間目標の達成と音楽CDの購入をセットにしたり、大目標の達成と1泊2日のドライブ旅行をセットしたりします。カメラを持っての一人旅ですが、私はそれが大好きなのです。ただし目標達成時の本当の褒美は達成感です。CDの購入や小旅行は目標達成の副賞という位置づけになります。取り違えないようにしましょう。



[15]ほんの少しで良いからやってみよう
計画していた作業量・取り組み時間をさらに分割して取り組んでみるのも有効です。小さな単位だと取り組みへの抵抗が少なくなり手を付けやすくなります。あなたにも経験があるかもしれませんが、一度着手してしまうと、いつの間にか夢中になってしまうことも少なくありません。一口食べることで食欲が出てくるようなものです。気持ちが乗らない時には、ほんの少しでも良いからやってみましょう。「30分だけでもやってみよう」、「10ページだけでも読んでみよう」、「1回だけでもやってみよう」といった感じです。私はよく”短時間の復習”をします。気持ちが乗らない時にはすでに学習して理解している部分を復習するのです。取り組みへの抵抗が少ないですし、短時間でも出来ます。時にはそれが切っ掛けとなり、知らず知らずの内に夢中になってしまうことも少なくありません。


【付記】

(1)
フランソワ・ラブレー(François Rabelais)は『ガルガンチュワ物語』の中で「食慾は喰うにつれて来(きた)る...」と書いています。フランソワ・ラブレー(作)・渡辺一夫(訳)(1988) 『ガルガンチュワ物語』 岩波書店 p.45.

(2)
慶應義塾大学保健管理センター教授の大野裕氏は「最近の脳科学の研究から、何かをしようという私たちの気持ちは、自然にわき起こってくるわけではなく、少し行動をすることがきっかけになって、生まれてくるということがわかってきた」と言っています。日本経済新聞(2007, 1, 16). 

(3)
池波正太郎氏は「その日その日に、先ず机に向かうとき、なんともいえぬ苦痛が襲いかってくる。それを、なだめすかし、元気をふるい起し、一行二行と原稿用紙を埋めてゆくうち、いつしか、没入することができる」と記しています。池波正太郎(1996) 『私の歳月』 講談社 p.239.




クローバ.png
LinkIconpage top


クローバ.png
▶ 「自己啓発の進め方」へ





【項目16-20】

[16]1回の取り組み時間を短くして、取り組み回数を増やす
これは年配者向けのヒントになるのかもしれません。私ごとですが、古希を過ぎてから若い時の様な体力や根気が無くなってきました。書斎のデスクでパソコンに向かったり、和室の座り机に移動したり、畳の上でごろっと横になったり、お茶を飲んだりと、自分をだましだまし仕事をしています。ところがけっこう上手い方法があるのです。1回の取り組み時間をかなり短くして、何度も何度も繰り返すのです。丁度ジグソーパズルを少しずつ組み立てるようなやり方です。そうすると、知らず知らずのうちにけっこう仕事が進みます。1回の作業時間は30分~1時間くらいです。10分から15分休んで、またすぐに取り組みます。調子が良い時は休んでいる間に良いアイディアが浮かんできたりもします。けっこう生産的な方法なのではないかと思っております。今現在もそうしています!



[17]小刻みに期限(時限)を設定する
中間目標期限を設定する方法に似ていますが、中間目標期限をさらに小刻みにするのです。たとえば、1ヶ月単位の中間目標期限の場合には、週単位の目標期限にするのです。1週間単位の時には1日単位にします。さらには、1日の作業量を時間で分割することも有効です。「1日60頁読む」と計画していて、どうしても気が乗らない時には「1時間以内に20頁読む」と分割し、3回に分けて読むわけです。そうすることにより取り組みやすくなり、小刻みに達成感を味わうことが出来、取り組み意欲を刺激することが出来ます。時には、2回目あたりに気持ちが乗ってきて、そのまま予定ページ数のすべてを読み終えてしまうこともあるでしょう。



[18]「明日頑張ろう」ではなく、少しでも取り組んで明日につなげる
たんなる「明日頑張ろう」は掛け声だけで終わってしまいがちです。それより、少しでも取り組んで明日につなげましょう。どうしても気分が乗らなかったら半分だけでもやっておくのです。3割でも1割でも良いです。理由は2つ。ため込む量を少しでも少なくしておきたい、そして気持ちを明日につなげておきたいのです。私の経験ですが、3割程度のつもりで始めたのに、いつの間にか7割くらいやってしまったということが何回もありました。もちろん取り組み意欲は随分と回復し、翌日につながりました。



[19]復習だけでも良いから毎日取り組む
先の項目[18]では「気分が乗らなかったら半分だけでもやっておきましょう。3割でも1割でも良いです」と申し上げましたが、それすら気が重いという時もあるでしょう。そんな時には「復習」をして下さい。時間も短くて構いません。10分でも20分でも良いのです。「自己啓発への取り組みを”中断”したくない」というのがその理由です。自己啓発は、それを習慣にしてしまうことが理想です。そのためにもなんとかして中断を避けたいのです。短い時間の復習だけでも良いですから、かならず毎日続けるようにしましょう。私は毎日、英書を読むのを日課の一つにしていますが、しばしばこの方法で(自己啓発意欲を)翌日につないでいます。



[20]切り替え上手になる
気持ちを切り替える、オンとオフを切り替える、仕事や勉強と休憩を切り替えるのです。仕事や勉強ばかりではなく、反対に休憩ばかりではなく、それらを切り替えるのです。少しずつ自己訓練していくことを勧めます。上手に出来るようになると大変便利です。気分転換をしながら、色々なことを遂行していくことが出来るのです。あなたの近くにも、「あんなに忙しそうなのに、結構いろいろと楽しんでいる」といった感じの人がいませんか? その人はきっと切り替え上手な人だと思います。そのためには複数の気分転換法を持つようにします。意識的に少しずつ増やしていけば良いのです。そうすることによって状況に応じた気分転換をすることが可能になります。気軽に短時間で出来ることから、事前に予約を取ったり予定に組み込む必要のあることまで選択肢を増やしていきましょう。

事例として私の方法を披露します。まずは休憩のとり方です。私も勉強疲れの時には小休止を取るのですが、ほとんどの場合「○時○○分まで」と決めて休みます。読者の方から笑われそうですがキッチンタイマーを使っています。横になって休むことが多いからです。タイマーを使わないと眠ってしまうのです。眠ってしまうと小休止になりません。小休止は大休止になってしまうし、起きたあとは頭がボーっとして再開意欲が減少してしまいます。ちなみに私の場合の小休止は15分位が丁度良いです。あなたも自分なりの小休止スタイルを作ってみては如何でしょうか。とても便利ですよ。

次は気分転換の方法です。簡単なものから言うと、(a)白檀香を焚いて青竹踏みをする、(b)CDで音楽を聴きながら、もしくは世界遺産のDVDを観ながらコーヒーを楽しむ、(c)目薬を差してソファーで音楽を聴きながら10分ほど目をつむる、(d)20~30分ほどの散歩、(e)シャワーか入浴、(f)1時間ほどのDVD鑑賞(紀行ものが多いが、やる気を刺激してくれるようなドキュメントや人物インタビューなども観る)、(g)半日ドライブ、(h)まる一日のドライブ(写真も趣味なのでカメラと一緒)....といった感じです。もちろん、(i)1日中何もしないと決めて心のままに時を過ごすことや、(j)麦焼酎の水割りを(一杯だけ)飲んで昼寝することもありますし、(k)一泊二日の観光・撮影旅行にいくこともあります。間を置くので少しも上達しませんが、(l)クラシックギターの練習をすることもあります。

ところで、私は気分転換にいくつかの原則を持っています。(1)何時まで、どんな方法で気分転換するかを決めてから気分転換をします。なんとはなしの、時限を設定しない気分転換は原則としてしません。何もしない時も、「何もしない」と決めてから、心のままに過ごします。(2)一人が基本原則です。他人を誘わない、巻き込まない、当てにしなくて済む方法を選んでいます。(3)出来るだけ中間目標の達成とセットにしています。原稿を5枚書いたらお菓子付きのお茶にする、4時までの2時間を休まずに勉強してから風呂に入り6時までは大相撲を観る、完成期限の迫った大仕事を予定どおりに終えて一泊二日の撮影旅行に出かける! といった具合です。くどいようですが、自己啓発のための気分転換です。本末転倒にならないように冷静に工夫して下さい。





クローバ.png
LinkIconpage top


クローバ.png
▶ 「自己啓発の進め方」へ





【項目21-25】

[21]「このまま行ったらどうなるか?」と考えてみる
気持ちが乗らないと時にはコーヒーでも淹れて、「このまま行ったらどうなるか?」と考えてみましょう。「このまま(だらだらと)1週間経ったらどうなっているだろうか」、「2週間たったら...」、「1ヶ月後には...」と思いを巡らせていくのです。ライフプランから始めて本気の自己啓発に取り組んだあなたならきっと「こうはしていられない!」と感じてくるはずです。そうしたら、すぐに小さな単位の(簡単に一区切りのつく)自己啓発課題に取り組んでみましょう。それが終わる頃には少し「やる気」が戻っているはずです。あとは、少しずつ負荷を増やして(やる気を高め)、もとのやる気に満ちた自分に戻していきます。



[22]一歩ずつ前に、一歩だけでも前に
この言葉は私が創ったのですが、古(いにしえ)の格言には「千里の道も一歩から」という諺があります。『老子』の第64章にある「千里の行(こう)も、足下(そっか)より始まる」が元になっているようです。小川環樹(2005) 『老子』 中央公論社 p.123. また、「象一匹を食べるにはどうすればいいか?」→「ひと口ずつ食べる!」といった問答もあります。ブライアン・トレーシー(著)・門田美鈴(訳)(2002) 『カエルを食べてしまえ!』 ダイヤモンド社 p.22. 私は大学の教員になりたいと思ってから実際に大学の教員になるまでに(20歳から42歳まで)22年かかりました。学位論文を完成させるためにも長い年月を費やしました。今振り返ると、まさに「一歩ずつ前に、一歩だけでも前に」の繰り返しでした。



[23]勉強は、次に始めやすい状態にして終える

自己啓発のための勉強をしている場合、その区切り方にもコツがあります。普通は区切りの良いところで終えるようにすると思いますが、そこにちょっと工夫を凝らすのです。その工夫とは「次に取り組みやすい状態にして終える」というものです。つまり、再開がおっくうにならないような状態にして終えるのです。

具体的には、区切りの良いところまでやって(小さな達成感を味わって)、その先の分に少し手を付けて終えるようにします。注意したいのは、区切りの良いところの手前で止めないことです。区切りの良いところまでやって(小さな達成感を味わって)、その先の分に少し手を付けて終えるのです。そうすると中途半端な状態が(良い意味で)気になるため次の取り組みへの抵抗感が薄らぎます(時には、すぐにでも再開したい気持ちになることがあるでしょう)。

私はほとんどこのやり方です。原稿の執筆も、次回すぐに書き始めることの出来る項目を用意して(あるいはその項目の一行目を書いたところで)終えています。取りかかりの抵抗感が少ないのでとても具合が良いです。



[24]身心の健康維持
身体と心を健康に保ちましょう。仕事を持っている人は思うように維持管理出来ないでしょうが「出来ない」と言ってしまってはお終いです。「出来ない」と言ってしまうと次善の方法を探さなくなってしまうからです。最善の方法が無かったら次善の方法でも良いではありませんか。身心の健康は人生の基盤なのですから可能な限り工夫をして健康の維持をして下さい。私自身方は「少し早めに(こまめに)休養を取る」のを原則にしています。少し目が疲れてきたら目薬を差して10分ほど目を閉じます。足がむくんできたら3分ほど青竹踏みをします。両方とも一日に何回もやります。人混みでは(夏でも)マスクをします。風邪かな?と思ったらすぐに薬を飲みます。疲労が重なってきたら、消化の良い栄養バランスを考えた食事を採り、最優先で睡眠時間を確保します。そのためには風呂に入らないで寝床に入ってしまうことも平気です(顔と手足は洗います)。アルコールは採らずに寝床に就きます(その方が熟睡出来るのです)。さらには、「健康維持」を自己啓発テーマにしても良いと思います。そうすれば、日頃から健康管理に気をつかうようになるでしょう。どうか「出来ない」とは言わずに「出来る方法」を探して下さるよう、お願いします。



[25]毎日、その日一日を振り返り、翌日の計画を確認する
最初は「振り返り」についてですが、自分で作成した計画をどの程度遂行出来ているか知ることは自己啓発目標実現の観点からとても大切になります。その理由は以下のとおりです。(1)毎日、計画遂行状況を確認するということは1日単位での計画修正が可能になるということです。1週間に一度、あるいは1ヶ月に一度の振り返りと比べてみればその有効性は容易に想像出来るでしょう。一般に計画は遅れがちになりますので、早めに小刻みに進度チェックをするのはとても大切なことになります。(2)予定どおり進めることが出来た場合には達成感を味わうことが出来、自己啓発への取り組み意欲を高めることが出来ます。いずれにしても三日坊主の対策になるのです。

私は手帳を使っています。下図がそのイメージですが、毎日やると決めたことが常時3項目ほどあります。表頭(ひょうとう)部分のアルファベットがその省略表記です(人に見せる物ではないので暗号のようになっています。たとえば[ZZ]は坐禅のことです。[TW]はポストイットに書き出した項目(その日やるべきこと)の全体を意味しています。表側(ひょうそく)は暦日とその日の総合評価欄になっています。やるべき項目については、予定どおり出来たら「○」、まったく出来なかったら「×」、中程度の場合には「△」を付けています。総合評価欄は「BST」と表記してありますが、これは「出来た/出来なかった」ではなく、今日一日ベストを尽くしたかどうかを「○・△・ ×」で記入します。つまり、計画どおり出来たかどうかという「成果」の評価と、今日一日、自分として「精一杯の工夫と努力をしたかどうか」の両面から評価しているのです。この方式は30代から続けています。めったにないことですが、1つの項目でも3日連続で「×」が付くと自責の念に駆られ、「明日こそは!!」という気持ちが湧いてきます。私にとっては、とても有効な三日坊主防止策になっています。

私のセルフチェック方法
BST.jpg


次は「翌日の計画」についてです。振り返りをしたら翌日の計画を確認します。寝床に就く前に明日の自己啓発項目と取り組み時間帯を決めておきましょう。さらに、床に入ってからも頭の中でそれを確認します。翌日への意識付け、動機づけをするわけです。ただし、床の中で考え始めてはいけません。明日の予定を確認するだけです。そうしないと眠れなくなってしまいます。

私は朝が弱いので起床の工夫もしています。寝る前に翌日(在宅日)の予定を確認して床に入ります。床の中では「明日は○時に起きて、○○をやることから一日を始める」、「明日は□□をやらなければならない」、「明日は△△をやるのが楽しみ!」といった自己暗示を掛けます(ただし眠れなくなるといけないので、あれこれと考えることはしません)。

そして翌朝、床の中で目が覚めたら寝たままの状態で背伸びをして○○や□□や△△を思い起こし、起床してしまいます。そのまま床の中にいては駄目なのです。二度寝の危険性があるからです。

朝の床離れが苦手な人は、翌日の予定の中に「必ずやらなければいけないこと」あるいは「やりたいこと(楽しみ)」を最低1つはセットするようにしましょう。そうすると起きる切っ掛けを掴みやすくなります。小さなことでもかまいません。私は特製の梅干しを使った朝粥を翌朝の楽しみとしてセットすることもあります。その朝粥を思い起こすとサッと起床出来るのです。笑われそうな話ですが本当のことです。






クローバ.png
LinkIconpage top


クローバ.png
▶ 「自己啓発の進め方」へ





【項目26-30】

[26]自己啓発のルーチン化を心がける
三日坊主の対策に「ルーチン化」というのは本末転倒の感がありますが、少しの間お付き合い下さい。すでに御承知のように「ルーチン化」とは「習慣化」とほぼ同義です。三日坊主対策の最終的な目標は「自己啓発を習慣化する」ことにあります自慢する気はありませんが金融機関に勤めていた20代のころ、中小企業診断士の受験勉強のために”夕食後は勉強時間”と決めました。仕事が終わって帰宅し、入浴・夕食のあとに12時までの勉強時間を取ったわけです。当初は眠気に襲われて、とても辛かったのを覚えています。しかしながら、何ヶ月か続けていく内に次第に辛さが薄らぎ、半年を過ぎる頃にはほぼ習慣となっていました。眠気も克服出来るようになりました。もちろん途中には、全く出来ない日や12時まで出来なかった日もありましたが、諦めずに続けた結果でした。それ以降、「帰宅→入浴→食事→勉強」は現在までずっと続いています。テレビはほとんど見ません。私にとって帰宅・入浴・食事のあとは正にゴールデンタイムであり、その時間帯を核として、いくつもの自己啓発目標を達成することが出来ました。



[27]自己啓発にあてる日時を一定にする
自己啓発を志す人間にとって、目標とすべきは「自己啓発の習慣化」と申し上げてきました。しかしながら習慣はすぐには身につきません。少しずつ自分を作っていくことが肝要です。卑近な喩えですが、自己啓発に取り組むことが毎日の歯磨きのようになればしめたものです。まず第一歩として固定化出来る日時を設定しましょう。たとえば、日曜日の9:00~12:00 and/or 14:00~17:00 and/or 20:00~22:00 といった具合です。最初の段階で大事なことは実行可能な設定をすることです。習慣化しようというのが目的ですから、やったりやらなかったりでは駄目です。100%実行出来る日時を設定してください。そして、その日時は必ず自己啓発に充てるのです。そのようにして、最小限の確実なところから始め、習慣化が出来てきたら徐々に範囲を広げていきます。他の曜日に広げたり、通勤時間帯に耳から聞く学習教材を導入したりします。平日の帰宅後も、22:00~23:00は自己啓発に充てるといったように決めます。少しずつです。1つの習慣化が出来てから次の習慣づくりに取り組むようにして下さい。各自の事情に合った取り組み方で良いですが、決めたことは必ず実行しましょう。逆に言うと、必ず実行出来るように決めるのですそしてその成功経験を元にしてさらなる習慣化に取り組みます。自己啓発を一生続けるつもりならば、急ぐ必要はありません。半年がかりでも良いのです。万が一頓挫しても自己啓発を止めてはいけません。ぜひ再開して下さい。再度取り組む、再々度取り組む、諦めずに忍耐強く取り組み、自己啓発を習慣化して下さるようお願いします。



☆継続は力なり☆

     * 住岡夜晃(2003) 『讃嘆の詩(上巻)』 樹心社 p.60



[28]何もしないで、ほっておく
文字どおり、何もしないで、ほっておく方法です。心のままにしておきます。人生目的→人生目標→自己啓発目標→実行計画と進めてきた方なら必ず立ち直れるはずです。「開き直りの三日坊主対策」と言っても良いでしょう。私自身も年に1.2回はこの方法を使っています。もちろん、立ち直れなかったことはありません。



[29]「杖ことば」を持とう
分かりやすい辻説法で定評のあった松原泰道老師は実に多くの「杖ことば」を持っておられました。自作の言葉を含めて、自分を支えてくれることば、自分を慰めてくれることば、さらには自分を励ましてくれることばを「杖ことば」と名づけておられたのです。『心の杖ことば366日』(海竜社)という著作もあります。自分自身を老師と並べる気は毛頭ありませんが、私も似たようなことをやっています。自分を支えてくれる、心に響く言葉を日頃から集めて活用しているのです。自分で創ることもあります。現在は「継続は力なり」(住岡夜晃の言葉)」をノートパソコンの蓋に貼っています。以下の言葉は自作の一部です。

 ・ 為命為己(いみょういこ)*
 ・ 目標・計画、そして実行!
 ・ 実行無ければ成果無し!
 ・ 努力は幸運を呼ぶ確率を高める。
 ・ 一歩ずつ前に、一歩だけでも前に!
 ・ I can do it ! 
 ・ページ「私の杖ことば」も参照して下さい。▶[私の杖ことば]

【付記】
為命為己(いみょういこ)は私の造語で、「命あるものの為に尽くすことが自分自身の為でもある」という意味です。ですので、「与件の下(もと)で、人類のために己の能力の限りを尽くす」と決心しています。自分には如何ともしがたい条件すなわち与件の下で、少しでも人様の役に立ちたい、そしてそのこと自体を自分自身の喜びとしたいのです。さらには、いわゆる生きものだけではなく森羅万象のすべてに命(機能・働き)があると理解していますので、人間や動物だけではなく山・川・草・木も大切にしたいと思っています。「自即他。他即自」、すべては一つなのですから。





[30]原点に還る、初心に還る
時には、本気で自己啓発に取り組もうと思った初心に戻り、その時の気持ちを思い出してみましょう。「なぜ今、自分はこの自己啓発目標に取り組んでいるのだろうか」と自問してみるのです。そうすることによりライフプラン(人生目的+人生目標)から始めた自己啓発であることを再認識出来ると思います。思いつきの自己啓発ではなく、一度切りの人生であることを念頭において、人生目的・人生目標に整合性を持たせながら設定した自己啓発目標であることを思い出して下さい。あなたの自己啓発目標は、あなたの人生目標と人生目的につながっているのです。




クローバ.png
LinkIconpage top


クローバ.png
▶ 「自己啓発の進め方」へ





【三日坊主対策の総括】

三日坊主の対策は以上ですが、総括として2つの点を復習し強調しておきます。

(1)
自己啓発目標の達成を諦めない「工夫と努力」。ここまでに掲げてきた三日坊主対策のヒントの中には、きっとあなたに役立つ項目があったと思います。どうか自己啓発を諦めないで、工夫と努力を続け、目標を達成して下さいますように。

☆努力無ければ成果無し☆


(2)
自己啓発の「習慣化」。自己啓発の実践という観点からは、工夫と努力を続けて自己啓発を「習慣化」することが最終目標になります。自己啓発への抵抗感が無くなり、毎日の歯磨きのように、ごく自然に取り組めるようになって頂きたいのです。そのために三日坊主対策として30項目ものヒントを掲げた次第です。これらのヒントを活用して三日坊主を防ぎ、三日坊主を克服し、自分の人生目標を実現するための自己啓発を習慣化して下さい。そうすることによって、一生涯にわたり自分自身を成長させていくことが出来るのです。




クローバ.png
LinkIconpage top


クローバ.png
▶ 「自己啓発の進め方」へ




【三日坊主の意味】

ここでは「三日坊主」の意味を確かめておきたいと思います。というのも、「三日坊主」の解釈によって、それへの対策が異なってくる可能性があるからです。『広辞苑』(第6版)では「飽きやすく何をしても永続きしないこと。また、そういう人をあざけっていう語」とあります。ポイントは「永続きしない」ということでしょう。そうすると次には「永続きしない」の意味を確認する必要があります。なぜならば、自己啓発については「永続きしない」にも色々な状態があるからです。たとえば、「計画は立てたが、なかなか始められない」、「始めても、すぐに止めてしまう」、「始めたあとの継続性が無く、やったりやらなかったりで、結局は目標を達成出来ずに終わってしまう」、「始めたあとずっと継続するが、目標達成まで続けることが出来ずに諦めてしまう」といった状態です。

*最初と最後の状態は三日坊主とは言えないかもしれませんが、(実行計画の遂行過程で起こりうることですので)、これらすべてを「三日坊主」と考えてこのページを作成しました。




クローバ.png
LinkIconpage top


クローバ.png
▶ 「自己啓発の進め方」へ





【引用・参考資料】 

*池波正太郎(1996) 『私の歳月』 講談社.
*井上富雄(1994) 『人生設計・ライフワークの原理・原則』 総合法令.
*小川環樹(2005) 『老子』 中央公論社.
*神谷美恵子(1980) 『遍歴』 みすず書房.
*川上哲治(2009) 『禅と日本野球』 サンガ.
*ゲイリー・レイサム(著)・金井壽宏(監訳)・依田卓巳(訳)(2009) 『ワーク・モティベーション』 NTT出版. 
*釼地邦秀(2013) 『ライフプランから始める本気の自己啓発』 三恵社.▶[内容紹介]へ
*幸田露伴(2008) 『努力論』 岩波書店.
*「座右の銘」研究会(2011) 『名言』 里文出版.
*住岡夜晃(2003) 『讃嘆の詩』(上巻) 樹心社. 
*高岡浩三(2013) 『逆算力』 日経BP社.
*土光敏夫(2009) 新装版 『土光敏夫 信念の言葉』 PHP研究所. 
*友松圓諦(2005) 『法句経』 講談社.
*中村元(訳)(1999) 『ブッダの真理のことば感興のことば』 岩波書店.
*中村元、他(2006) 『岩波 仏教辞典』(第2版) 岩波書店.
*新村出(編)(2008) 『広辞苑』(第6版) 岩波書店.
*藤原新也(2008) 『メメント・モリ』 三五館.
*藤原新也(1983) 『メメント・モリ』 情報センター出版局.
*ブライアン・トレーシー(著)・門田美鈴(訳)(2002) 『カエルを食べてしまえ!』 ダイヤモンド社.
*フランソワ・ラブレー(作)・渡辺一夫(訳)(1988) 『ガルガンチュワ物語』 岩波書店. 
*増谷文雄(2005) 『仏教百話』 ちくま書房.
*松原泰道(1999) 『心の杖ことば366日』 (上・下) 海竜社.
*山本有三(1962) 『路傍の石』 新潮社. 
*NHKエンタープライズ21(2004) 『永平寺』(DVD) NHKソフトウェア. 

*日本経済新聞(2013, 5, 6/2007, 1, 16).


【更新記録】

* 2020/06/22_変更無し。
* 2019/07/01_変更無し。
* 2018/06/22_変更無し。
* 2017/06/23_変更無し。
* 2016/06/03_変更無し。
* 2014/06/22_掲載開始。



クローバ.png
LinkIconpage top


クローバ.png
▶ 「自己啓発の進め方」へ